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贖罪  作者: 北村 達也
69/320

贖罪69

「それでは、ご案内致します。失礼いたします。」


 マリスが再びストローフィーの肩に手を乗せると、違う場所に移動したがそこは真っ暗で彼には何も見えなかった。


 暗闇のどこからか声が微かに聞こえてきたが、荒れのいる場所からは遠いようでよく聞こえなかった。


「ここは、どこなんだ?」


「来客用のスペースです。」


 暗闇の中でマリスが言った。


「マリス。彼女は一体どこにいる?それになんで暗いんだ?何も見えない。」


「いらっしゃいますよ。そのまま真っ直ぐお進みになってください。」


 言われた通りストローフィーが進むと、砂を踏んだような感覚があった。


 そのまま進んでいくと砂のようなものはずっと続いていた。


 声が段々と近くなってきたのだが、それは泣き声であることに気が付いた。


「フォス。君なの?」


 ストローフィーの声を聞くと泣き声は止まった。


「ストローフィー?そこにいるのは、あなたなの?」


「ああ、そうだよ。フォス。やっと会えた。どれほど君に会いたかったことか。でも、なんで泣いてるの?」


「これが泣かずにいられる?」


「嬉しくて…泣いてるの?」


「あなたにまた会えたことは言葉にならないほど嬉しいけど、この涙は違うの。」


「じゃあ、なんで泣いてるの?君が死んで僕たちは離れ離れになったけど、それももう終わりだ。これからは一緒じゃないか。」


「ああ、ストローフィー。悲しくて恐ろしくて涙が止まらないの。」


 フォスは再び泣き出した。


「悲しい?恐ろしい?」


 ストローフィーは困惑した。


 とにかく、真っ暗では何も分からなかった。


「マリス。明かりを点けてくれないか。」


「宜しいので?」

マリスが言う。


「ダメよ!」

フォスが割って入った。


「でもこれじゃ、何も見えないじゃないか。」


「私を見たら…あなたはもう私を愛してくれなくなるわ。それが恐ろしいの。」


「君を愛さないなんて、そんなことあるわけないじゃないか。」


「愛してくれると…約束できる?」


「約束するよ!」


 彼女が一体どんなことになっているのか恐ろしかったが、彼女への彼の愛が揺らぐはずはなかった。


「…分かったわ。」


「さあ、電気を点けてくれ。」


「お望みのままに。」


 マリスが指を鳴らすとやっと明るくなったが、暗闇に長いこといたために、光が眩しくてストローフィーはとても目が開けていられなかった。


 時間が経つにつれて段々と見えてくるようになり、目の前にはボンヤリとしか分からないが誰かがいた。


 フォスに違いないと思うと喜びに震えた。


 だが目が慣れていくにつれて、おかしいと思い始めた。


 白いフォルムが目の前に見えた。


 洋服が白いのかと最初は思ったが、そうではなく顔も手も白いようだった。


 彼女であって彼女でない何かが目の前にいる、そう思うと見えるようになるのが彼は怖くなってきた。


 ぼやけていた視界が更にはっきりしてくると、その姿に驚愕した。

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