贖罪28
彼女が見えなくなってから彼も帰ろうと思って、一旦その場で寝転んで伸びをして空を見た。
彼はその空に彼女の顔を思い浮かべ、遅い時間だということで憂いを帯びた表情をしていたことを思い出して、彼は急に起き上がった。
「もしかして暗いのが怖いのかな?こんな遅くに一人で返すのは危ないかもしれない。黙ってただ見送るなんて何て馬鹿な真似をしたんだろう。すぐに行って送ってあげよう。」
彼は立ち上がって急いで走って行き、2分ほどで彼女に追いついた。
後ろから走ってくる人がいて怖がった彼女はそれが誰だか分かるとほっとした。
「あら、どうしたの?」
「あの、遅いから、送って、行こうと思って。」
走ってきて息が上がっていたので、途切れ途切れで言った。
彼の予想通り彼女は怖かった。
こんな時間までいるつもりはなかったから暗い中帰るのは心細かったものの、初めて会った人にわざわざ町まで送って欲しいとは言えなかったので、そんな時に走って駆け付けてくれた彼の優しさが嬉しかった。
「ありがとう。優しいのね。それじゃあお願いしてもいいかしら?」
道中はあまり話さなかった。山での時と同じように何を話したらいいか彼は分からなかったし、
会話をリードしてくれた彼女も今は黙ったままで、あまり話したくなさそうな印象を彼は受けた。
暗い中の外出では彼女はあまり話す気がしなかったので、彼があまり話さなかったのは彼女には良かった。
そのまま殆ど会話をすることなく二人は黙々と歩き続けてやがて町に着き、安いからと彼女が選んだ町外れの粗末な家で彼女は立ち止った。
彼はそれを見てとても太陽のような彼女にはふさわしくないように思えた。
彼女はそんな彼の考えていることを察したようだった。
「あまり見てくれは良くないわね。でも住んでみれば慣れるものよ。」
「ごめん。変な目で見ていたかな。」
彼女を不快にさせたかと心配になった。
「ううん、そんなことないわ。今日は送ってくれてありがとう。初めて会った人に送ってもらうなんて初めてよ。でも不思議ね、あなたなら安心して送ってもらえたわ。本当にありがとう。」
無事に送り届けたことに安心したストローフィーは今来た道を引き返した。
彼が何気なく後ろを振り返ると彼女が窓の側にいて、彼が振り返るのを見ると小さく手を振ってくれた。
彼は嬉しくなって子供のように手をブンブンと振って彼女に応えて、彼女はそれを可愛く思い笑顔を見せた。
「あの方とはいいお友達になれそうだわ。」
ストローフィーが見えなくなった後、そう言って彼女は窓から見えなくなった。




