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贖罪  作者: 北村 達也
27/320

贖罪27

 この時24歳になっていた彼女はとても美しかった。


 前にいた所でもこの新たな地でも、彼女のもとにはたくさんの男たちが言い寄ってきたが、父が紹介した男性と同じように彼らもただ彼女を欲していただけだったので彼らに興味を示さなかった。


 人を愛することを知っている彼らのような恒星は自分で光を放つことができるのだから、彼女のような太陽から光を受け取る必要はなく、彼女がいなくても大丈夫だった。


 彼女が必要としていたのは彼女を欲する人ではなく、彼女を必要とする人だった。


 美しい彼女をそばに置いて眺めておきたい多くの恒星たちからのアプローチに目もくれることなく、太陽という恒星である彼女はまるで惑星のようにたどり着くべき場所を求めて彷徨っていた。


 そうして出会ったのがストローフィーであり、彼こそ彼女が探していた存在であったが、出会ったときにはまだ彼女はそのことには気づかない。


 そして人を愛することを知らないこのストローフィーという月は、皆から離れて寂しくクルクルと地球の周りを回っていた。


 彼の愛する動植物や物との触れあいは月の一部を照らす光る花であり、彼は自分のいる辺りが照らされていることで満足していた。


 彼が知る月はそれが全てであったが、闇の向こうで何かが彼を待っている気はいつもしていた。


 フォスとの出会いは彼の宇宙に太陽を出現させ、闇を切り裂く美しい光に彼は心を奪われた。


 闇の覆いは外されて月は眩く光り、彼の世界は大きな広がりを見せた。


 そこには光を待つだけの花畑があり、光を浴びた花たちは一斉に開花し始めて世にも美しい花畑が彼の眼前に広がった。


 闇の世界で彼を暖かく照らしてくれていた花はこれからも大切な花であるということには何ら変わりはなかったが、その花畑は彼に見つけてもらうのをずっと待っていた愛の花畑であり、彼はそれを見つけた時に、

彼もそれを探していたことに初めて気が付いた。


 彼の全てが光に包まれた今こそが本当の自分であり、光の元となっている彼女という太陽を愛した。


 彼らの最初の出会いのあと、陽が落ちてきて遅くなったので早く帰ろうと思い、彼に別れを告げて彼女は帰路についた。


 彼はその場に座ったまま彼女が帰っていくのを夢見心地で眺めていた。


 彼女との時間はあっという間に過ぎてしまった。そしてもうすぐ辺りは暗くなろうとしている。


 帰路につく彼女は正に太陽のようで、それは一日がもう終わってしまうかのような寂しさを彼に与えた。


「また、会えるかな…。」

ポツリと呟く。

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