続
次の日、嫌でも登校時間はやってくる。
由宇を司が迎えに来て一緒に登校。
由宇が男子の半分を敵にまわすいつもの登校風景だ。
司と由宇の二人は挨拶を欠かす事はない。
だが男子も女子も司にしか朝の挨拶を返さない。
男子はともかく女子を敵にまわした覚えが無い由宇は毎朝少しずつ魂が削られている。
午前中の授業が終わり、どうしても納得がいかない由宇がいた。
今回の冒険の発端は小噺先生だ。
先生が「転移した」と司に告げなければ今回の無駄な冒険は起きなかった。
由宇は昼休みを利用して小噺医院へ向かい先生から話を聞いた。
「怪我をした四人? 残念だけどうちでは扱いきれなかったから転院したよ」
久しぶりに会った小噺先生は相変わらず年を感じさせないほど元気だった。
まぁ真相なんてこんなものだ。
由宇は納得して学校へ戻り、すっきりした気持ちで、午後の授業を受けた。
放課後。
由宇は一週間続く当番の仕事をしながら晶と昨日の話をする。
一人読書をする鶴も教室へ残っていた。
「と言う訳で【転移】じゃなくて【転院】だったってオチだ」
「あの階段を下まで落ちて誰も怪我をしなくて良かったです」
「本当だな。あの星空が見れた事と誰も怪我をしなかったのだから良い冒険だったな」
「…私の悪魔が護ってくれた…」
「それしか考えられないな。俺にはもう見えないけどさ」
「…おかしい…もう一度血の契約をする…」
「いや。勘弁してくれ。普通は悪魔に呪われていない方が良いのだろ」
由宇は後ろに突然現れた鬼の存在を察して鶴へ断りを入れた。
「…そう…残念…次に契約をしたら血の伴侶へなれたのに…」
「栗戸さんをそんな者にはさせません!」
「…やっぱり由宇と晶はあやしい…」
「黒井さん。そんな事ありませんからね!」
「…晶…顔真っ赤…あやしい…」
その時教室の扉が勢いよく開いた。
現れたのは満面の笑みを浮かべた司。
彼女は嬉しそうに喋り始める。
「みんな! 異世界の入口が見つかったわ!!」
四人の冒険はまだまだ続く?