表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
PR

死神を斬る者

作者: 神宅 真言
掲載日:2020/03/13

死に魅入られて、死に心掴まれ、

それでも逃れようと無様に藻掻き苦しみ、

やがて己の内の剣を密かに研ぎ澄ます。

生きるとはかくも醜く、

しかしだからこそ美しいのだ。

視界は漆黒よりもなお暗く


汚泥に塗り潰された内に死神の嗤いだけが


ひたすらに「死ね」と木霊する


  ・


目眩に脳を犯され繰り返し吐瀉する度に


逆流した反吐と胃液が喉を灼き


握る拳に食い込む爪が血を滲ませた


  ・


憎悪と憤怒と恐怖が叫びとなって口を衝き


声が枯れ果て力尽きて眠りに墜ちて


また自らの絶叫で揺さ振り起こされる日々


  ・


生きながら腐る身体から垂れる血膿


己の血溜まりの中のたうち回り


絶望という痛みに蝕まれ涙すら涸れた


  ・


それでも剣を手放したりはしない


その重さが冷たさが手の内に在る限り


正気と命はまだ自分のものだと信じ唇を噛む


  ・


刀身は赤く錆びようとも


辛うじて刃微かに研がれ


薄く細く放たれる一条の光


  ・


言葉は己の中に渦を巻く


あたかも怨念の如くさりとて悲願の用に


やがて凝縮された決意は更に刃を尖らせる


  ・


座して瞠目し命の灯火のみを見よ


狂気を払い静かな熱で内を満たせ


冷えた闇が背越しに陰を落とそうとも


  ・


静謐が心を凪いでゆく


悟られぬようひたすらに耐えただ待ち続けろ


死とやらが慢心しその手が緩む瞬間を


  ・


鎌が首許に押し当てられようと


奥歯が砕ける音を子守歌に


覚悟という剣をただ静かに握り締めている





気が狂いそうな程の苦しみに苛まされながらもギリギリで踏み留まり、己の内で死神の甘言に抗う精神の戦い。

そんな血の涙を流し食い縛った奥歯が割れる程の声にならない絶叫を表現出来ないかと書き記してみた。

そして13日の金曜日なので死神がテーマのものを上げたかったというのもある。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 死病に侵され、死を待つばかり。それでも死に抗ってみせるという強い意思を感じました。
[良い点] ランキングで発見し、また読んでしまいました! ベルセルクのガッツを思い出しました!
[良い点] 家紋武範様の「看板短編企画」からお伺いしました。 5か月ぶりの再読です。 やはり切れ味を感じました。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ