1089話 押し売り廃神vs押し付け爺
〜モンティートside〜
どうして僕は、二日酔いで惰眠をむさぼることもできず、上級神と戦った翌日に「迷惑な押し売り」を断るハメになったのだろう?
リソース爆益で中級神になれた恩恵で、オムツ生活から解放されるくらい肉体も若返ったから、体力面は問題ないけど……
仮にも数日間まで圧倒的格上の神様だった、中級神<エース>の押し売りを受け、1時間以上ムダな押し問答を続けていると、やはり虚しくなってしまう。
『ですから、どうか私をメグミ様の下僕として加えてくださいませ!!』
「いや、さすがに間に合ってますんで」
『そこを、どうにか御本人に取り次いでいただき〜〜〜〜〜』
「いや〜、ちょっと厳しいですかねぇ〜」
ダメなのだ……すでに中級神<エース>は、<恵の加護札>に脳を焼かれて神格も壊され、不可逆的な社畜キョンシーに成り果てたので……
いくら断っても「脳筋ゴリ押し営業」の態度を崩さないし、「戦略的撤退」という概念が消失している。
そして本人に自覚はないようだが、以前の名残で無意識的に僕等を下に見ているため、土下座して頼めばどうにかなると思っているし……
その脳筋営業が僕等の時間を奪い反感を買っていることに、気付けない。
「(そんなポンコツ、受け入れてもメグミ君が困るだけだよ。しかし、どうして彼は……ここまで堕ちたかね〜。危ないクスリをやった中毒者の末路みたいだ)」
メグミ君の眷属の中にも、自発的に"喝"を入れようと身体に加護札を貼りつけた猛者が大勢いたが、不可逆的に脳が壊れた"廃人"は誰一人いなかった。
「(いや、そんな事もなかったか。転生で復活したとはいえ、同じように加護札の被害を受けた中級神達も、狂い散っていたな〜)」
メグミ君の眷属達が無事なのは、元々のメンタリティーが"メグミ仕様"で、ちょっと特徴のある彼のクローンみたいな存在だから……なのかも。
「現時点で返済の目処が立たないなら、いっその事……ご自身の所属する派閥に戻って、上級神になるべく旗揚げされてはいかがですか?」
頭が壊れた<エース>が今さら上級神を目指したとて、その夢が成就する見込みなど無いに等しいが、夢を抱いてここから旅立ってくれればラッキー。
まかり間違えて上級神候補にでもなれば、財布にも余裕ができて、ブッチされそうなメグミ君の債権も無事回収できるかもしれない。
『いや、さすがにそれは無理です。ウチの派閥には、先々代のご子息が複数名いるので。先代の血筋も残っていますし、これから血生臭いポジション争いですよ』
うん、心底興味ない。
僕等に迷惑がかからなければ、殴り合いでも殺し合いでも好きにしたらいいさ。
「(だけど残念ながら、無関係とはいかないんだろうなぁ。冷静に考えて、地獄世界で生き残った上級神……メグミ君だけだもんね)」
他にも、地獄世界の果てに"ボッチ神"的な上級神がいるのかもしれないが、討伐軍に参加しておらず闇神の関係者でもない以上、其奴はモブだ。
中級神<エース>がわざわざ下民上がりのメグミ君に、「下僕として派閥に加えてくれ」と願い出ている時点で、地獄世界の勢力図はおおよそ察せるんだよ。
「ちなみに、上級神不在で壊滅する派閥とか……あるの?」
『むしろ、壊滅しない派閥など皆無かと。上級神のイスが空く機会は滅多にないので、周りの迷惑を考えない出世争いが、繰り広げられるに決まっていますし』
だよね〜、そうじゃなきゃ貴方もここに来ないもんね。
メグミ君の派閥に入ったら、上納が緩い代わりに「加護札貼りつけ」の恐怖が付きまとうし、マトモな神経じゃやっていられないもの。
『だからこそ、私は新たな"主人"に仕えて"やり甲斐のある働き場所"を見つけなければならないのです! ですから、どうか派閥入りを〜〜〜〜〜』
「いや、それとこれとは話が別なんで〜〜〜〜」
中級神<エース>の未来はどうでもいいとして、地獄世界が戦国時代みたいな状態になると、やっぱり…………来るよね、天界勢が。
実はここに来る前、元勇者のマサル君に「ステータス欄の勇者の文字から違和感が〜〜」という報告を受けたんだよ。
もう少し派閥の有力者が潰しあってから、地獄制覇目指して乗り込んでくるのか、漁夫の利狙いかは定かじゃないが……
物語の神様と違って、現実は天界勢だろうと「胡散臭い建前野郎」でしかないので、利益があるならヨダレを垂らして乗り込んでくるんじゃないかな?
あっ、そうだ!
「いっその事、地獄世界から天界へ移籍なさってはいかがですか? 10の派閥がリーダーを失い、1つは完全解体済み。地獄世界にいる事自体がリスクですよ」
僕等が暮らす<サルトー区・ポルカト界>が天界勢に飲み込まれ、理不尽な扱いを受けるのは勘弁だが……
ポンコツ廃神を引き取ってくれる分には、大歓迎だよ!
『いや……地獄世界でも移籍者の末路は暗いのに、それよりヤバイ仕打ちが待っている"裏切り行為"は…………』
大丈夫だって!
たしかに移籍後の貴方の未来はないだろうけど、それは現在も変わらないし、天界へ寝返っても貴方を処罰する上級神……残っていないじゃん!
読んでくださり、ありがとうございます!
この小説を読んで面白いと思ってくれた、そこの貴方(≧∀≦)
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作者はお豆腐メンタルなので、燃料に引火させるのはやめてね(・Д・)






