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2. 気がつけばそこは…砂浜?

よろしくお願いします。

頬に感じるザラザラとした感触に目をさますと、そこは砂浜だった。状況が把握できない。海岸から十数キロは離れている光山神社にいたはずが、どう見ても砂浜にいる。

立ち上がり、体に痛みがないか触れて見る。どこにも痛みは感じられない。確か長い石段を滑り落ちたはずだが…。

周囲を見回すとすぐ近くに北田さんと皆川さんが倒れている。少し離れて赤野と山本が倒れているのが見えた。

北田さんと皆川さんに近づくと、気を失っているだけのようで、呼吸をしていることが見て取れた。どこまで仲がいいのか、気を失っても手を繋いだままでいる。パッと見て、出血などの大きな怪我はないようだが、もしかすると頭を打っていたりするかも知れない。

「北田さん。皆川さん。」

驚かさないように静かに声をかけると

「ひゃっ」と小さく悲鳴をあげて北田さんが目を覚ました。続いて皆川さんも目を覚ますと二人で支え合うようにして立ち上がり、周囲を見回す。

「ここはどこ?」と北田さんが尋ねてきた。

「分からない。砂浜みたいだけど。どこか痛む所はない?」

北田さんと皆川さんは服に付いた細かい砂を払うように体のあちこちを触り、最後に頭を振ると異口同音に

「どこも痛くない。」と答えた。

改めて周囲を見渡すと20メートル位先に白い波頭が見える。海のようだ。反対に目をやると同じく20メートル位先に松林が見えた。

「赤野くんたちだ…。」皆川さんが赤野達に気づいて声をあげた。赤野達のこと忘れるところだった…。

皆川さんが赤野達に駆け寄る。北川さんと視線を交わしてから皆川さんの後を追う。

「赤野くん、山本くん、大丈夫?」

皆川さんは声をかけながら、赤野たちの頬をビタンビタンと叩くように揺さぶる。

「皆川さん。頭を強く打ってるかも知れないから揺すらない方がいいよ。」

太股の辺りを小突きながら、声をかけるとほぼ同時に目を覚ました。

「ってーな!!あぶねーだろーが!!」

赤野は起き上がると突然、大声で怒鳴りだした。

すぐ近くにいた皆川さんがびっくりしている。

「赤野君、頭を打ってるかも知れないから、急に動かない方がいいよ。痛いってどこか痛むの?」

とりあえず、痛む所があるのか声をかけてみる。

赤野は自分の体をペタペタと叩き、最後に頭を触ると

「どこも痛くないみたいだけど!!あぶねーじゃねーか!!」

「赤野くん、ごめんなさい。わたしが足を滑らせちゃって…」皆川さんが眉を八の字にさせて、謝る。

「綾子ちゃんは別に悪くないよ。てか、武藤、お前、女の子位ちゃんと支えてあげろよな。可哀想じゃねーか。だから、武藤はムノーって言われんだよ!!」

「ごめん、ごめん。気を付けるよ。それにしてもここ、どこかな?」

両手を合わせて拝むように謝りながら、こんな理不尽な話しに付き合ってられないので、話題を変えてみた。

「チッ、しょーがねーな…。海なんじゃねーの。見りゃ分かるじゃん。」赤野は辺りを見回しながら、当然のように言う。

「いや、まぁ、海なんだけど、どうして海にいるのか、どこの海なのかが問題なんじゃね?」

普段は赤野のおバカ発言をスルーする山本が珍しく指摘する。

「やまもっちゃん、そんなの分からないよ。石段から落ちたときに気を失って、拉致られたとか?」

辺りを見回してもただ海、砂浜、松林が広がるばかりで、近くに建物も見当たらず、良く見慣れたテトラポットや防波堤もない。

「あっ、人だ…。」北田さんが声をあげる。

北田さんの視線の先を見れば、松林から3人の男性がこちらに向かって出てくるところだった。

それにしても怪しい。一人は白に近い色のだらーんとした服を着ている。ちょうど、宗教画なんかで神様が着ているような服だ。後ろに従う二人は薄茶色の服に黒い革鎧を身につけ、腰には剣を差し、手には槍を持っている。さらに白い服の男は白に近い金髪、鎧の男たちは赤髪でこの距離なのに明らかに日本人じゃないのが分かる。

絶対に関わりたくない。如何にスルーするか考えていると赤野が

「すみませーん!!ちょっといいですかー!!」

大声で呼び掛けながら、走り出す。

「テレビの撮影とかかな?」皆川さんが呟きながら、赤野の後を追う。山本、北川さんと困惑しながらも赤野たちの後を追いかけた。


3人の男の前に立ち、漸く3人の風体が尋常でないことに気づいたようだ。

「ヤバい。日本語通じるかな?」こちらを振り返り尋ねてきた。

赤野の言葉に呼応するよう革鎧の二人は金髪の男の後ろに控えるように片膝をつく。そして金髪の男はゆっくりとそして吟うように朗々と話し掛けてきた。



お読みいただき、ありがとうございました。

赤野くん、嫌な人にしたかったけど、意外と好きなキャラクターになってきました。

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