オーロビルにて
バス停へ行って呆然としているよりも、ホテルのボーイに、バスの番号を聞こう。それでも分からなければ、日本領事館へ電話を頼もう・・・・・
悲壮であった。
以上、趣味人へhttp://smcb.jp/_ps01?post_id=6972937&oid=235598
以上、アメブロへ http://ameblo.jp/syosetu-123/entry-12161595028.html 連載小説&休憩愚考
以下、趣味人へ http://smcb.jp/_ps01?post_id=6975302&oid=235598
それでも分からなければ、日本領事館へ電話を頼もう・・・・・ 悲壮であった。
バス停へ行って呆然としているよりも、ホテルのボーイに、バスの番号を聞こう。それでも分からなければ、日本領事館へ電話を頼もう・・・・・
悲壮であった。フロントへの狭い通路を行きながら、ふと、振り返ると、入口の目映い光りの中に、小柄な人影が見えた。
松川であった。
「何してるんだ? 荷物なんか出して?」
「貴方はいないし、ボーイに聞けばみんなチェックアウトしたというので・・・・」
「田沼がいるやないか」
「それが見当たらないから慌てた」
そして、田沼の部屋へ行った。
「こいつ、俺たちがもう出たと思ったらしい」
田沼が冷笑する。
「久米さんは一人で行きたいのなら行けばいい」
ドアの隙間から田沼の室内が見えた。部屋を斜めにロープ掛けをして、そこへ下着がぶら下がっていた。
「寝坊したし、誰もいないから行ってしまったかと思って・・・・」
「僕に聞けばいいだろう!」
「この部屋を知らなかった。集合時間は聞いていなかったし」
まるで小学生レベルのハプニングであった。
「いよいよ、今夜はオーロビルですね?!」
二泊は無理としても、一泊はするはず。そして、霊を感じるか否か、いよいよ体験することになる。
と、思いきや、田沼からの返事は、
「もう日程が足りない」
? 夫人が補足した。
「ここが、オーロビルなんよ」
荷物を置いて、目的のオーロビルへ行くという。
バスと大型リキシャとを乗り継いで広大なオーロビル村に入った。行き交う人々に白人を見掛けた。バイクに乗っている者もいた。
展示館であの独特な円形のドーム、瞑想堂?その構造見本や、ビデオ解説などを見て、本物を求めて邸内をひたすら頑張って歩いた。
ところが、瞑想ドームを遠望できる所から先へは、もう近寄る道はなかった。
中には、入れなかった。なぜ?
「瞑想室へ入るには、予約が必要」
田沼がぶっきらぼうに言う。
「久米さんはそこへ行きたくて来たのでしょう。それなら自分で予約して行けばいい」
夫人がまたも冷たい言葉を発する。
ハンディカムとスマホ付属のカメラで写真を撮って、それで終わりであった。
オーロビルの精霊?は、私を斥けたのであろうか?
私に入ってこられて、正体を暴かれるのを避けたのかも・・・・
「オーロビルに行くのならお香を買うといいわよ。あそこでしか手に入らない香があるから」
と、バンコクの乗り継ぎ空港で世話になった亜喜音さんから聞いていた。小さくても良いから(大きいと困る)香の土産物が欲しかった。でなければ記念になる品物。それを展示していると思える建物には、彼らは興味を示さない。一つ立ち寄った所に絵葉書が展示していた。せめて絵葉書を、と、幾種類か見ていると、いつの間にか、彼らの姿が館内から消えていた。
なにも買い出せずに、ようやく彼らに追いつくと田沼から注意された。
「自分で日本に帰れるのなら、自分勝手にしておればいい。そうでないのなら我々を見失わないように付いて来なさい」
オーロビル施設の出口には小型シャトルバス(送迎用)があると分かって、帰りは広い敷地内を歩かずに済んだ。私の前に白人の男が座っていた。怪訝そうに私を見る。視線を外さないので、目の遣り所に困った。カメラで風景を写そうとするのだが、方向によっては必然的に男が入る。それを嫌っているのかな?
外国人は大概は愛嬌があるものだが、その白人男は違っていた。膏肓にまで達した「霊」信仰者に違いない。
オーロビル共同村を出ると、次は大きなヒンズー寺院へ行った。ここは観光客相手の土産物や物売りが大勢いて、私にその品々を見せて、買えと付き纏う。
そのうちの一人に、変幻自在な装飾リングを自慢そうに見せる者がいた。球体になったり、太鼓状になったり、花形になったり、と様々に変わる。そして畳めば平たくなって嵩張らない。これなら荷物にもならない、と見ていると、彼は私から離れなくなった。
買おうにも連中からはぐれるわけには行かない。それで「ソォリー」と駆けて行くと、なおも付いてくるのだ。小走りしながら値段を聞いた。
五個で千ルピー、ノーサンキュウー。すると、九百ルピー、五百ルピーと下げてきた。
二百ルピーなら、と提示すると、彼は顔を顰めて立ち去った。
ヒンズー寺院へは、やはり裸足にならなければ入れないというので。私は表で待っていた。すると件のリング売りがまたもやって来て、三個で二百ルピー、という。どうしても欲しい物では無い。
一つ妥協して五個三百ルピーを提示して、それで買った。
安かったのか、高かったのか・・・・わからない。
以上、趣味人 http://smcb.jp/_ps01?post_id=6975302&oid=235598
小説「インドへの旅」オーロビルの瞑想ドーム
安かったのか、高かったのか・・・・わからない。
http://smcb.jp/_ps01?post_id=6975302&oid=235598 より続き
ゲストハウスから全ての荷物を取り出して、次の目標地へ行くことになったのだが、そのときに、またしても一大事が待ち受けていた。
乗り込んだバスの行く先は、チェンナイの終点では無いらしい。
後ろドアから乗って、私はまたしても荷物の関係で最前列に行かなければならなくなった。
他の者たちは後部席、後ろドアの近くに陣取っていた。
「一緒に前の方へ座って下さい。でないと、貴方たちが降りるのに合わせられないから」
ここで降りるぞ!と、親切に言って貰えたとしても、満員に成ってしまえば(インドのバスはほとんど超満員になる)、最前列の助手席前の荷物を取り出せなくなる。
その不安にも、
「終点か途中で降りるか、分からない」と白々しい。
夜行列車の騒動のあと、また、ホスペットのホテルでの待ち時間の間の悪魔的な虐め以来、彼らは私へ対する親切心は完全に放棄しているのだ。私が不安に陥っているのを快ち良げに見ている。
田沼に歩調を合わせてすっかり冷淡になった夫人が言う。
「置いて行かれると思っているのかね?!」
運転席の後ろでは、後部席に座っている彼ら三人が見えない。そこで、私はドアの無い乗降口に後ろに移動した。振り返れば、頭の高い田沼が見える。
停車場に近づくたびに、私は振り返って田沼の頭の動きを見た。立ち上がれば下車する意味となる。
最初の内は、乗客もそこそこであったが、やがて、驚くような超満員となった。立錐の余地も無いとはこのことであった。それでも車掌は移動する。新たに乗り込んできた者から料金を徴収する釣り銭を素早く渡せるように、左の五本の指の間に4種類の紙幣挟んでいる。肩から提げた鞄には小銭が入っているようだった。
それよりも驚いたのは、一度運賃を徴収した者に、二度も問うことが無い、ということだった。一人一人を覚えているのだ。みな似通った顔立ちというのに、区別ができている!
私には神業のように見えた。
やがて超満員の上に、さらに乗客が増えてきた。乗客が中に入れずに乗降口にはみ出してぶら下がりだした。停車すると、彼らは一度バスから離れる。降りる者がいなくなると車内へ入ろうとするが。滅多には入れないで、さらに新規のぶら下がりが増えていく。
車掌はそういう者からも隙を見て料金を徴収していた。
私はそれよりも、いつ田沼らが降りる態勢をとるかと、それを確認するのに必死だった。人の頭越しに田沼の禿げた頭が沈んで居ればよし。もし、降りるぞと(手ぐらいは振ってくれるだろう)立ち上がれば、どうする?
最前列の荷物を取り出さなければならない。隙間も無い超満員の中で、どうすればいいのだ?
そのときは死に物狂いで叫ぼうと思った。何と言うて?
「マイバゲッチ、プリーズ、バスウェイト、バスストップ、バゲッチ、バゲッチ、ブリーズ、バスストップ」
僅かな単語で、叫び捲ろうと思った。
果たして、そのバスは終点まで行った。
そうと分かっていれば、こんな気苦労はしなくてすんだのに。
私の横に、若い女性が座ってくれて、バスの揺れる度に手が触れていたのだが・・・・。顔を見合わせて微笑むだけで、それ以上のゆとりはなかった。豊かな腰はたまゆらの慰めではあったが・・・・
もし、降車の不安が無ければ「ポートOK?」とくらいは話して、ノーと言われなければ、彼女を写したかも・・・・。そしてスマホの写真を見せて楽しめたかも・・・・
以上、趣味人 http://smcb.jp/_ps01?post_id=6975311&oid=235598 小説 「インドへの旅」 さらばオーロビル
以上、アメブロへhttp://ameblo.jp/syosetu-123/entry-12161598904.html
つづく




