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現実世界でチートだった男が異世界に行ってもほぼチートだった件  作者: 松本隼龍


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出発と到着

情報収集も済んだ所で出立の準備時間に入る。各々には装備を準備して貰い、俺は行く先の糧食を賄う事にする。ポガポガサンド、シャキット、ジャー油、マヨネーズ、ブルガンジーの肉は少なめだったがデミグラスソースを作りビーフシチューならぬブルガンジーシチューを拵えて寸胴鍋ごとアイテムBOXへ。そしてあちらの王へ渡す為の物も用意しておく。

「色々と食材を頂きすみませんドーレルさん。」

「いえいえ!明日からの旅に必要な物なんですから全然問題ないですよ。国益の為の必要経費です!ジャンジャン使って下さい!」

「ありがとうございます。では次は酢ポガを。」

「あれ私大好きです!」


クッキングタイムは3時間ほど続き、次いで今日の晩御飯まで拵える。旅の行程は3日間掛かり、その途中で宿を取れる様になってはいるものの、日中の食事は自前だ。モミージ主体になったが3日分我らの分の糧食は作り終えた。



「装備の方はどうだい?」

チャル達にサウ車の状態確認や其々の武器の手入れ、服装など任せていた物を確認する。

「サウ車も大丈夫でしたし、個々の武器もメッキーの双剣を急いで研いで貰ったぐらいっす。ポーゼの弓も調整と腕の確認も済んだっす。」

「チャルから見てどうだった?」

「腕は申し分ないっす。夜目が利くのも良いっすね。」

「それが一族の基準であるなら良い選択だったね。クオカーフとの謁見が済むまで何かとよろしくね。」

「了解っす。ご主人は頭脳作業頑張って下さいっす。」


そうしてその日は何も起こらず次の日の朝にチャルが横で丸くなっていた以外は変わった事もなく出発を迎えた。


「アタイは上空を旋回しながら周囲警戒してる。何かあれば伝えるよ。」

「こっちも食事や異変ですぐ呼ぶようにするよ。よろしくメキ。」

「あいよ!」

メキは翼を広げて上空へ飛び立つ。見える範囲で異変はないようだ。

先頭車はダミーの車両、次いで護衛兵、サウラ、我々、護衛(ホタ君)、ダミー、捕虜護送車の順で隊列を組んだ一団で構成された。ダミー車はサウラ達の荷物車を兼ねている。3日間の宿は全てクオカーフ国になる為警戒を怠れない。この期に及んで何か仕掛けて来るとも思えないが、国のトップが訪問するという事は、その国ごと移動しているのと同義。やり過ぎという事はない。アメリカとかは一月前から半年前の段階でチェックを入れると聞いた事がある。


「では出発する!」


今回の護衛団長を務める事になったホタ君の号令で一団は動き出す。


ポーゼは我々のサウ車の上に乗って周囲を警戒、落ちないように足を引っ掛ける所を急遽取り付けた。車内はソーアに向かった時の4人が揃う。


「ソーアに行く時を思い出しますね。」

「あの時は眠らされて車内の半分は寝ちゃってたのでね。今回も途中途中で眠らせては貰おうと思いますよ。」

「先は長いので今お眠りになりますか?」

「魔法は無しで。」

右手に魔力を込めたイセを止めて俺は一度眠りにつかせて貰った。ここガサとの交渉と同じく、貰った情報を精査して賠償と経済発展の提案をし、協定を結ぶ算段をつける為に夜更かしをしたからだ。お昼ご飯の時分まで寝かせて頂き、飯は振る舞う側でを繰り返して進むつもりである。


行程の2日目の夜、事件は起こった。


30人程の野党が襲って来たのだ。ポーゼが発見し、メキが上から急襲、最後はイセの魔法の餌食のコンボで全員撃退する。この一団を襲うならその3倍は持って来いと言わんばかりの活躍と容赦の無さだった。俺とチャルも参戦したが2人で倒したのはその野党が飼っていたスネーター。唐揚げの材料ゲットだ。


「ポーゼ。お手柄だね、助かったよ。」

ポーゼは礼を返してくる。

「さっそくお役に立てたようで光栄です。」


2日目の行程は長く、どうしても夜に街に到着する事になっていた。ポーゼは森の中に潜んでいた連中を見つけ、いち早く牽制と伝達をこなしてくれたのだ。夜目が利くとこういう時便利なのよね。

「この連中もこういうルートと知っていて狩場にし、安心していたのでしょう。相手が悪かったですね。」


ポーゼは捕まえた奴を尋問してみたがクオカーフ王とは一切関係なく、ただ襲って来たようだった。次の街まで連行し、兵に突き出す。


そして3日目の夜半。 ようやく一団はクオカーフの首都に到着した。


指定された迎賓館で待っていたのは、人間族に対する差別目線だらけの態度の魔人族達。

明らかに嫌そうに使用人達が動く中、俺とイセ達に充てられたのは人間族の使用人。


「お世話をさせて頂くツバサと申します‥‥。誠心誠意努めさせて頂きます。」


暗い目で礼をする彼女の首筋からは‥みみず腫れの傷が見える‥。


彼女はおそらく‥奴隷だ‥。

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