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現実世界でチートだった男が異世界に行ってもほぼチートだった件  作者: 松本隼龍


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老人と3つの間違い

「み‥3つの間違い‥ですか?」


俺は指を1つ1つ立てながら説明する。

「1つは私の矜持 『自身の経験したものと知り得たものでしか語らない、伝えない』 を貴方側の事情で踏み躙ろうとしている事。 国を挙げて行った事である以上貴方の責任は上司のサウラ女王の責任。今話された覚悟は伝えても、その事実を私が曲げて他に伝える事は出来ません。不愉快です。」


「すみません‥ 自分の事ばかりで‥。」


今ので少し我に返ったのか涙は止まったようだ。

「2つ目はソーアの心根を自身の固定観念で測り、愚弄している事。 パープル神官は騎士上がりで事情無く起こる戦は無い事をその身で知っている方。こちらのメキも戦の指揮を取っていましたが街の復興と私の使命に準ずる事を条件に許し、長として只々街の発展継続に目を向け努める事を民にも示している。」

「神官めっちゃ良い人だぜ。で、復興の手伝いしてても街の連中からも扱き使われるのはあっても恨み事を言われた事はない。みんな主の家どんなんにしてやろうかな?とか前向きな連中ばかりさ。」


うんうんと頷きながらメキもソーアの様子を補足してくれる。えっ?ちょい待ち。なんか気を衒った家が建てられてんの?


「こういった復興に向いたソーアの心根をまた貴方の事情で怨恨に戻す訳には行きません。それはソーアに対する侮辱です。」


「戦を仕掛けられて恨みを持たない街が‥。」

「それこそが貴方の固定観念です。持ってないのではなく、次を目指す力に変えているんですわ。公人なら力の向け所を誤ってはならないとカナリ様は仰りたいんだと思います。」

イセも補足してくれる。今日は皆作業にも話にも積極的に入ってくるね?

「その通りです。ソーアに詫びたい気持ちがあるなら提案されている物の取り扱いの件と合わせて一度パープル神官と話してみて下さい。同じ事を言うはずです。お互い街を良くしよう国を良くしようとしている同志なんですから。」

「そうですね‥。」


ここで1つため息をつく。これはわざわざ言わないといけないことかねぇ‥‥



「そして3つ目は‥ サウラ女王自身の気持ちです。」

「サウラ様の‥。」


そう、これが一番疎かにしてはいけない基本。この人は本当にここまで大変だったのだろう。暗中模索の中で自責の念に駆られながら動いてきた結果、本当に大切なものを忘れている状態に気づかない状態にあったのだ。


「サウラ女王は貴方の言う通り優しい心根の方です。でも寂しがっていた。それが何故か今分かりました。他ならぬ貴方に自分の結婚という一大事を相談に来た所を見ても、本当に信頼し大切に思っているからこそです。その大切に思っている人を自分の決断により苦しませてしまっていると感じている。お互いにね。だがサウラ女王は自身の悔やんでいる気持ちは自責の念に捉われた状態の貴方には伝わっていないとも気付いた。それは共に結果を受け入れてくれる者と思っていたのに突き放されたのと同義だ。戦を決断した時も恐らく止めて欲しかったと思いますよ。」


優し過ぎはお人好しと一緒とは言うがそれがお互いに出てしまった結果なのは経験があるから良くわかる。磁石の様に同じものが近寄ると反発してしまうようなものなのだ。


「自身で悔い悩む事は所詮は『我だけ』の事です。切羽詰まれば防衛本能の元でそういう行動に移ってしまう。最前線にいる者は特に陥り易い。だがサウラ女王は心の自衛に走った貴方の行動も心理も受け入れて自分が責を負い、それ以上の善行にして返す気でいる。そんな気概を見せているのにも関わらず『自分に責を集中すれば』とサウラ女王の心意気をまた突き放すんですか? それが大切に思っている人間に対してやる行動とは全く思えない。それでも貴方が納得出来ない、誰かに強制されなければ動けないというなら御使として1つ命を下しましょう。」


人差し指を立てて一国の大臣に命を下す。あっちじゃ考えられないことだな。


「サウラ女王を笑顔へ導き続けなさい。勝手な罰を乞うて救われようなどという甘えは許さない。そんな事を考える『暇人』である事も。サウラ女王が笑顔になる事は何か、それは先生である貴方が笑顔でいて、且つ一緒に困難に立ち向かう同志として傍らにあり、闘う姿勢を見せ続ける事のはず。原点に帰り、常に考え、笑顔で尽くすせ。 以上。」


「はい!!分かりました!!」


「その返事に恥じぬ生き方を。」


最後は口調も保てなかったな‥ 皆にも悟られたかな?



そんな事をしていたらジャー油のある蔵へ到着したようだ。


「着いたか‥‥大臣。一つサウラ女王に依頼して頂けますか?」

「なっ‥何でしょう?」


!!!!!!!!!!!!!!!


自分では分からないが恐らく怒りの表情で目から光が無くなっていたのだろう。そこにいたチャル以外の一同が驚愕の表情を示す。



「 『やりたくもねえ年長者への説教をする羽目となって、かの世界での嫌と言うほど食らわされた前世代の傲慢で怠慢な発言や出来事達を思い出し、例のものが発動寸前の為、今夜1人になる為のなるべく広い部屋を用意して欲しい。』  そうお伝えください。」



「は‥‥ はい‥‥‥。」


自分で引き出しておいて何を泣きそうになっているのだか。 大臣はそのままへたり込み、一団からも外れる。



「さーて何とか頭切り替えてドーレルさんと料理研究しますかね。」


楽しい楽しいお料理研究会の始まりだ。

そろそろ一度キャラ設定資料を纏めようかと思います。 なんとか妻は快方に向かってます。

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