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67・ラミルスの事件簿



 収穫祭を二週間後に控えていた午後、騎士団本部で事件が起きた。


「大変です! 本部の部屋で数名が部屋で倒れています!!」



 被害者は俺が受け持っている紅蓮ぐれん騎士団員の3名、そして蒼黒そうこく騎士団3名。

その中には、なんとアデルバードも含まれているらしい。

裂傷などは見受けられず、全員が同じ部屋で倒れていたということらしい。


 真っ先に不審者情報も調べてもらったが、騎士団に出入りしているのはユリア位だ。


 確かにユリアは、アデルバードのすきを唯一突ける存在と言っていいが、

普段の彼女の様子を見ても怪しい様子は見られない。

それに何より、ユリアは今日一度も訪問した形跡は無かったというし。



(一応ユリアも調べてみたけれど、見かけたものは居ないらしいし、

 ユリアの匂いはしないな……流石にあの娘は除外していいか……)



 彼女は根が素直だし、何よりアデルバードを慕っている。

これまでの事が俺達を欺く言動とは思えないし。



(それに前にアデルバードが言っていた様に、

 印を付けられた者が、主人である者を攻撃する事は出来ない筈だ)



 では一体誰が……? 俺は部下を数名連れて同僚が倒れた現場を見に行けば、

被害にあった者達はまだ現場で倒れたままだった。


「介抱しようと部屋に入った者も巻き込まれたので……」


「そうか……」



 俺が来るまでは現状維持するしかなかったという訳か。


 毒か怪我かは知らないが、とにかく手当てを急がなければ。

俺は直ぐに救護班を呼んで来るように、部下の一人に指示を出す。



「くっ……それにしても酷いな……これだけの被害者とは……。

 それもアデルバードまで一度にやられている上に、

 騎士団でも腕が立つ奴らばかりじゃないか、これは何かの陰謀か何かか?

 この忙しい時期を狙うとは、犯人は内部に詳しい刺客かもしれない」


「し、刺客ですかっ!? 俺達騎士団よりも手強い相手が……」


「モータルのような危険な魔物も居るんだ。世の中は広いからな、上には上がいる。

 現にアデルバードが来るまでは俺の親父が最強だったしな」



 事を急ぐ状況だ。これはもっと詳しく調べなければ。

団長である親父と司令官の指示も仰がないといけないか。


 そう思い、辺りを警戒して仲間の介抱の為に部屋に入った瞬間、

ぐらりと俺の視界は床へと引きずりこまれ、倒れこむ。

その瞬間に俺は悟った。



「う……こ、これは間違いない。

 俺の推理が正しければ、この事件の犯人は――……」


「ぐ……やりすぎた」


「アデルバード!! やっぱりお前かあああ――っ!!」



 解決時間、約5分。犯人はやはりアデルバードだった。



 異例の速さでこの事件は解決したのである。

そうだ。よく考えてみれば「アデルバードが居る」と言う時点で、

俺は奴を真っ先に疑うべきだった。奴は騎士団で一番の実力の持ち主だが、

その反面、一番問題を起こす男だ。


 最近は戦う事以外のことにも興味を持ち始めたのだが、

何というか、「ユリアに関する事のみ」なんだよな。

それ以外の事には、相変わらず興味すらないらしい。



「……お前は毎回、ほんっと、ろくでもない事ばかりをするな!?

 おい、聞いているのかアデルバード!!」



 部屋に充満するこの悪臭に制服のそでで鼻を覆う、何かの薬剤の匂いだ。

そして倒れこんでいるのは皆、「龍族」の者達限定。

なるほど、どうりで連れてきた部下達に被害がないわけだ。

無事だった彼らは全員人間なのだから。



(殿下に密命を受けた同胞が、アデルバードの騎士団にも数名紛れ込んでいたけど、

 まさか、ことごとく巻き込まれる事になろうとはな……っ!)



 嗅覚きゅうかくの鋭い龍族が、こんな強烈な匂いに耐えられる訳がなかった。

俺は床をいながら、部屋の入り口で呆然とする部下(人間)に、

手を振って助けを求める。俺達では身動きが取れない。



「お、おいお前達、鼻をつまんで部屋の窓を開けろ。

 お前は風属性の術が使えたな? この部屋の空気を入れ替える術を使ってくれ」


「は、はい!!」


「分かりました!」


「直ぐに!!」



 俺は鼻を摘んでなんとか起き上がるも、やはり体がおかしい。

目の前で震えながら丸まっているアデルバードを指先でつつくが、

元凶である奴は俺よりも被害が大きかった。

野生育ちだけに、五感は俺よりもいいからな。


 俺は安否確認の為に、あることを話してみる。



「ふ……っ、安心しろアデルバード。もしもこのままお前に何かあったら、

 俺が代わりにユリアを幸せにしてや――」



 言いかけた途中で、俺は右足首をがしりとつかまれ、後方に放り投げられた。



「うおおおわああっ!?」



 壁に全身を叩きつけられ、俺はずるずると床に倒れこむ。

何だよ、冗談だよ……そんな事を言う余裕すら俺には無かった。



「お前……ユリアに関することになると……なんでそんな馬鹿力が……」


「ユ……ユリ……ア……」



 がくっ……と、アデルバードはぴくりとも動かなくなる。

返事がない、完全に気絶したようだ。



「うわあああっ!? アデルバード様が、アデルバード様がああっ!!」


「刺客の手に落ちたああっ!!」


「いや? こいつ……自滅しただけだからな?」




 ――奴の最後の言葉は「ユリア」だった。


 なんと言うか……ダイイングメッセージで、奴がユリアの名前を書かなくて良かった。

彼女にとばっちりが行く所だったぞ。




※  ※  ※  ※





「……はあ」



 ――二時間後。



 アデルバードはため息を吐くと、今回の騒動を起こした始末書を書くことになった。

奴は濡れた髪を拭いながら疲れた顔で机に向かい、書類を書いている。

で、俺はまた奴が妙な事をしないようにと、上からの命令で監視役として傍に居た。



(なんで毎回俺なんだよ……)



 そう言いたいところだが、こいつをあのまま放って置いたら、

余計おかしな事をするのは目に見えているので、

俺は大人しくその命令に従う事にした。殿下もあれで怒ると結構怖いんだよ。

蒼黒龍アデルバードを見守り、指導するのは俺の大事な役目だし。


 殿下にも、くれぐれも、くれぐれも宜しく頼むと頼まれているし。



「……酷い目に遭った」


「いや、それ俺達の方だからな? 俺らが巻き込まれたんだぞ?」


 


 奴は最近奇行が目立つ様に見える。

いや、元から変だっただろ? という意見もあるのだが、最近は特にそうだ。

もしかすると、悪龍へと変じる兆候ではと、俺や殿下は危惧している。

こいつが理性を失い悪龍になったら、この国を守れるのだろうか……。

ただでさえ通常でもアデルバードに勝てないので、そうなって欲しくないな。


 弱体化している白龍のライオルディ殿下や、

龍の力を引き継げなかった代わりに、魂の目を開眼させたリハエル殿下、

野生の能力には及ばない紅炎龍の俺達では、奴を制御出来る者は居ないのだから。



「……お前、ユリアへの求愛が上手くいってないのか?」



 そう……ついに先日、ユリアとこいつは恋人同士になったらしい。

とうとうユリアも、アデルバードのものになったのか……と、

少々どころか、芽生えかけていたものがあった者としてはかなりのダメージだが、

それはそれ、友としてきちんと祝ってやったよ。俺って良い奴だろ?



(こいつが、蒼黒龍の同胞もいないここでずっと苦しんでいたのは知っていたしな。

 惚れた娘が傍に居るのなら、辛い過去も和らぐだろうし、

 ユリアなら……きっとアデルバードを支えてくれるだろう)



 だが……まさか、もうフラレたって事はないよな?

幾らなんでも早すぎるぞ? また何かやらかしたのかお前?

それならば、俺にもまだチャンスが……はっ、いかんいかん。




「……これでも頑張ってはいるのだがな、

 どうも、人間の娘の好む求愛は違うらしい。

 遠征の時にも、大量の薔薇をメサージスバードで贈ってもいるんだが」



 ――本部への連絡道具がなくなっていたと思ったら、お前か!!



「そんな個人的すぎる私用で使うな! いざって時に俺達が困るだろ!!

 しかもその言い分だと、騎士団にある物を殆ど持ち出して使っていたな!?」


「騎士団への連絡よりも、ユリアへの求愛の方が大事に決まっているだろう。

 報告など、”解決した”とか”了解した”位しかやり取りがない。

 ならば、もっと実用的な利用方法があるだろうに。

 騎士団はある程度の実力がある者達だが、ユリアは戦う術もそんなにない。

 一人、心細い思いで待っているんだぞ? 気遣わなくてどうする」



 ――言ってのけたよ、こいつ――っ!?



 アデルバードの最優先事項は、ユリア一択になっているらしい。

もはや、他に選択の余地もないのかお前は?



(恐るべき求愛思考だ……。人間での常識を超越している。

 俺もユリアに本気になっていたら、見境もなくこうなっていたかも)



 きっとアデルバードは、真顔で司令官にも言ったに違いない。

司令官には後で胃薬を送っておくか、俺も常用しているのがある。

そんな事を考える俺の目の前で、アデルバードはペンを動かしている。


 

「求愛を怠って、ユリアに愛想を尽かされたくないし、

 俺が離れている間に、他の雄との差を作りたくない。

 ならばこれ位の事は当然だ。恋人になったとはいえ、油断は出来ないな。

 それ相応の求愛方法を選ぶべきだ。手は抜けない」



 ああ、その時の光景が眼に浮かぶようだ。

遠征先から放たれた大量のメサージスバードの群れが、

ユリアの居る屋敷に一斉に行くのを……。ユリア、驚いただろうなあ。


(なんて言うか……ユリア頑張れ)



 俺は少々遠い目をして、心の中でささやかに彼女の幸せを願った。



(きっと、大騒動になった事だろうなあ。

 だが、まだ犠牲者が出ていないのが救いだな。

 そう考えると、まだましな方だと思うべきか……)



 そう、唯一危惧していた龍の暴走は未だ見られない。

このまま行けば、上手く収まるのではないだろうか?

ユリアがこいつの気持ちを拒んだ時を想定し、身構えていた俺としては、

最悪の事態だけは免れた気がする。



「とりあえず余り持って行くなよ? いざという時の為の物なんだから、

 1つだけ借りて、後はきちんと返して置け、いいな?」



 渋々ながら、アデルバードは俺の言葉に頷いた。

この所、こういう姿をよく見かけるようになったな。

出会った頃は疑り深く警戒していたが、相談をしてくれるようになったのは良いことだ。

ユリアを介する事により、人間の世界に順応しようとしているらしい。



「……実は本格的に給餌きゅうじも始めてみたんだが……口移しで、

 なかなかユリアは口を開けてくれなくてな? 俺の求愛を拒むんだ。

 俺もこの姿では上手くユリアに食べさせてやれなくて困っている」


「ぐほっ!? く、口移しって……おま、お前またそんな荒業を……」



 恋人同士になったばかりで、既に給餌きゅうじまで……。それも人型でだ。

幾らなんでも高度な接し方ではないのか? 俺だったらそんなこと急に出来ない。

俺は震えながらその時の様子を聞くと……。



「勿論ユリアを“何時ものように”自分のひざに乗せ、

 口移しでユリアの好きな焼き菓子を食べさせようとしたが?」


「何時ものようにって何だよ? 何時ものようにって!?

 お前、そんな事を普段からやっていたのか?」


 で、肝心なユリアの反応はというと……。



『あっ、アデル様……一人で食べられますから……っ! ふぐっ?!』



 その瞬間、菓子で塞がれたユリアの口。

ついでなので、そのままキスもしでかしたらしい。

俺は頭を抱えた。やることなすこと大胆すぎる。




「ユリアが口をわずかに開けた時がチャンスだった。

 だが、その後にユリアが顔を真っ赤にしてうつむいてしまって、

 余り食べさせてやれなかったんだ。ユリアに食べさせてやるのは楽しかったのだが。

 出来ればもっと上手くなりたいと思っている」


「う、上手くって……」


「心を通い合わせた娘に給餌きゅうじするのはいいな。

 なんだか……そう、温かい気持ちになれる」



 いや、無理やりだろそれ……。



「ユリアはまだ男と付き合った事もない娘なんだぞ?

 もう少し配慮して待ってやれよ。がっつき過ぎだぞ? お前」


「そうか? 俺は普通の愛情表現だと思うのだが。”恋人”だしな」


「……恋人を強調すんな!」



 その後はユリアが気絶してしまったので、

口の周りに付いた菓子の欠片を丁寧に拭いてやり、

ユリアが目覚めるまで髪をなでながら、じいいい~っと寝顔を愛でていたそうだ。


 俺は口から砂を吐くような心境に見舞われた。



(うわあああ~っ! ユリアがっ! ユリアがああああっ!!)



 お前、なんてうらやま……いやいや、流石にその姿でやったらやばいぞ!?

まだユリアだって、其処までの覚悟なんて出来てないだろ!!

本当に付き合い始めたばかりなのか、お前らは!!

普通もっと……手をつなぐだけでも気恥ずかしくなったりするものだろ、おい!



(げに恐ろしきは、野生の求愛本能かっ!!)



 奴の求愛方法は、溺愛発作によるものだろう。

話には聞いた事があるが、此処まで羞恥なくやってのける所が恐ろしい。

アデルバードに狙われたら、きっとユリアもただでは済まないだろう。

というか、もう既に済まないレベルではないだろうか?



(奴の求愛方法は制限と言うものがないな。

 多分、良いと思ったものは何でも取り入れる気だろう)



 ま、まあ、ユリアの問題はとりあえず置いておこう。

今回の事件……いや、騒動の引き金になった奴の動機を聞かねばなるまい。

俺は傍にあった椅子を引き寄せて、奴と向き合うように座り込んだ。



(それにしても……今現在、俺の中で非常に気になる物が……)



 始末書の書類の横に置いてあるのは……。

大量の【毛生え薬】そう、なぜか毛髪用の毛生え薬がなぜかあるんだが。



「……なあ、アデルバード、悩みでもあるのか?

 なぜこんな物がお前の部屋にあるんだよ。おい」



 アデルバードの頭頂部をさりげなく見るが、そんな兆候はとても見られない。



「おいおい、お前、別に髪の毛がきわどい訳じゃないだろうが、

 それとも何か? 今から万全の準備をしておきたいとでも言うのか?

 そんなの司令官辺りにでもあげてやれよ。

 今から気にするなんて、考えすぎじゃないか?」



 ……はっ!? まさかライオルディ殿下にか?


 以前、ティアルがライオルディ殿下に「ハゲの歌」を歌っていた事がある。

もしや今の髪はヅラなのか? とっても気になるぞ?

今度、報告する時にでもじっくり見ておくか。


 いや、それとも他に理由があるのかも。



「あのさ、アデルバードにはまだ必要ないと思うんだが……?

 まさか、ユリアに“ハゲ嫌い”とでも言われたのか?」



 求愛した娘の発言は、時に龍の衝動的な行動を加速させる。

何かに対し、「嫌い」とか「怖い」と言ったら、アデルバードが即それを消し去る程に。


 だからこそ、殿下はアデルバードの傍に置く娘を見定めていたのだ。

もしもユリアがそう言ったのならば、こいつは命を懸けてでもハゲを阻止するだろう。



(……まあ、俺達龍族はそんな心配は無いと思うけどな)



 人型で暮らし始めてからの年季が短いアデルバードは、

それが分からないのかもしれない。


 先ほどの悪臭と、空になっている毛生え薬のビンの山。

そして……寄宿舎で念入りに湯浴みをしたアデルバード。

どうやらこいつは、一度にこの薬を大量に使い込んだようだ。



「大丈夫だって、それについては心配する必要はないからな。

 俺が保障してやるよ。何なら俺からもユリアに説明してやるし」



 そう言って俺が奴の頭をわしわしと、わざとなでつけたら、

アデルバードはじっと俺の目を見つめてきた。な、なんだ?



「ラミルス……お前を友と見込んで、一つ聞きたいんだが?」


「お、おうなんだよ? とりあえず聞いてやる。

 俺はとっても優しい先輩だからな、相談にはのってやるぞ?」


「……この薬は、龍体には有効だと思うか?」


「……は?」


「全身を……ふわふわの毛皮に、毛玉状態にしたいんだ。

 俺には無い毛玉、冬が近づいてきたら尚更俺の需要は無くなってしまう。

 という事は、俺は恋人から即、格下げの地位になってしまうのでは……?

 このままではユリアとの距離が遠ざかってしまう。

 折角、ユリアが恋人になってくれたのに……」



 いやいやいや? まてまてまて?

落ち着こう、うん、まずは落ち着こうな~?

一体どうして何があったら、そんな発想になったんだ?

すると、アデルバードは俺にこう言った。



「お前は俺に言ったな、ユリアは人間の女の子だと。

 だから、人間の娘に適した求愛方法を見直してみた結果、分かったんだ。

 彼女の体を冷やさないで、寝所に侍らせて貰うには、今の姿では不利。

 俺は龍の誇りをなんとか捨ててでも、ユリアの為に毛玉になろうと思う!」



 ――気高き龍の誇りを簡単に捨てるなよ!? それにそりゃ無理だっ!!



「無理だろ? まず無理だよな? うん。

 ティアルが、大きくなったらリファみたいになるの~とか、

 言っているのと同じ位に無理だからな?」



 だがそうか……最近は遠征の魔物討伐ばかりで忙しかったものな?

もう直ぐ祭りが近かったから、俺達は日夜走り回っているし。


 多くの観光客や商人が来るから、この時期は特に忙しい。

外貨を稼ぐ上でも、大事な時期だからだ。


 治安と秩序を正し、魔物の襲撃が無いように周辺各地で戦闘三昧。

王都にある屋敷に帰ることも滅多にできなくなっているのが現状。

そのせいで、こいつは疲れて自分は何を言っているのか分からないのか。




(……気づいてやれなかった。

 ユリアと過ごせない事が続いたのが、そんなに辛かったなんて)




 求愛期を迎えた龍は、半身と望む娘と離れるのは想像以上の苦痛を伴う。

自我を失い、暴走する事を思えば、奴の行動はまだ微笑ましいレベルだ。

そういう事情なら俺も何も言わん。早くユリアの元へ帰してやらなければ。


 野生育ちだもんな……制限された生活は俺よりも辛いのだろう。



「な、悩みがあるなら、洗いざらい吐けよ。俺はとっても優しい先輩だからな?」


「……ユリアの嗜好を調べたら、彼女は毛玉が好きなんだ。

 ぬいぐるみも好きでな? 先日は俺に似たぬいぐるみを嬉しそうに抱いていた。

 ふくふく、ふわふわの毛に覆われた種族が好きで、肉球があると尚良い。

 だが俺は固いうろこと鋭い牙と爪と角しかない……肉球なんてある訳も無い。

 ユリアの求める条件が何一つ無いんだ。俺はもっとユリアに触れられたい」


「……おい、それはちょっとちが……」



 違うと言えたら良かったんだが、

取りあえず俺は奴の悩みを一通り聞いてやる事にした。

毛玉って……つまり、リファやティアルの様な事を言っているんだよな?

確かにユリアはそういうのを好きだとは言っているが、

それは違う好きのたぐいだと、俺は思うぞ?


 こいつは……求愛で我を忘れているのか。

何時もよりも頭のねじがおかしくなっている気がするんだが……。

まあ、最近は見慣れた事なので話を続けることにした。



「其処でだ。俺もあれから色々考え、ユリアの持つぬいぐるみでぴんと来た。

 ユリアが喜んで抱き付いて来てくれるなら、好みである毛玉姿になる事を目指せばいいと!」


「えーと……あのさ、絶対にそれは無理だから止めとけ?

 人間の毛生え薬で種族の壁は越えられないからさ」



 俺がユリアに怒られそうだから。

まーたアデルバードに変なことを教えたとか、あの子に誤解されるのは嫌だ。



「なぜだラミルス。これは大事な事だぞ?

 求愛した娘の好みを熟知し、望みの姿となるのは……!

 ユリアがそれを求めるのなら、叶えるのは求愛する俺の責務だ」


「いや、だからさ……毛生え薬って、毛根の無い所には流石に無理だろ。

 うろこに毛は生えない。こけ位なら出来るとは思うが……」


「!?」



 どうりで最近、毛玉、毛玉とぶつぶつつぶやいていたのか。

奴は龍体で全身もこもこの毛を生やし、ユリアの気を惹きたかったらしい。

いや……それでユリアが喜んだとしても、龍の雄としてはどうなのか?

恋愛対象外として扱われるだけだと思うぞ?


 まあ確かに……ティアルみたいに腕に抱かれて一緒に眠ったりするのは、

とてもロマンを誘うとは思うけどな? ユリアは胸も大きくて柔らかそうだし。


 ……って、こんな事を奴に言ったら、殺されそうだから言わないが。



「毛生え薬は効かないのか……残念だ。

 どんな体質でも効くと書いてあったのだが。あれは嘘だったのか」


「いや、体質って“人間”のだからな? 龍体は流石に範囲外だ」



 龍族は普段、薬なんて滅多な事じゃ必要ない。

奴が人間の薬の知識が無いのも無理は無いだろう。

……こいつ、興味があるのって毒薬とか、しびれ薬とか

人間が自分を陥れる可能性のある物だけだからな。



「そうか……ならば……やはり、もう一つの方法しかないか」


「お?」



 アデルバードは、ごそごそと羊皮紙で作られた地図を取り出してきた。

そしてそれを目の前の机に広げる。お前、書いていた始末書は終わったのか?

こんな事をしていて良いのか? あ、出来てる……仕事が早いな。



「収穫祭前なのに悪いが、暫く旅に出ることにする。

 今まで有給は一度も使っていないから、それを使わせて貰うか、

 俺は目的の物を集める事にした。なに、心配は要らない。

 祭りの日までには戻ってくるから安心してくれ」


「……は? 旅!? 今から?」


「ユリアとまた暫く離れなくてはならないが……仕方が無い。

 これまでの求愛方法では無理だと分かったので、

 他のことも試しておきたい。まずは行動だ」



 その地図には、所々にバツ印が付けられていて、

ここが何かの目的地であることが分かった。

いやいやいや、この繁忙期に居なくなるってどうなんだよ。騎士団長様よ。

俺は直ぐに、旅の支度を始めそうな奴を背後から取り押さえた。


 お前の所は副団長が不在だから、お前が居なくなると統率が大変なんだぞ?

まさかまた、俺に兼任しろとか言わないよな? な?



「待て待て、落ち着けよ。この地図はなんなんだ? アデルバード」


「毛皮を持つ大型の魔物が生息している所だ。

 ユリアが好みそうな淡い色、手触り、匂いに近い。

 俺の願いを叶えるには、きっとこれしかないんだ。

 出かけのついでに、王都周辺の魔物は倒しておくから安心しろ」


「……一つ聞くが、こんな情報を集めてどうするんだ?

 捕獲して贈るのか? 流石にそれは……」


「用があるのは毛皮だ。これを集める。

 狩りは俺の得意分野だ。直ぐに集められるだろう」


「集めてどうするんだよ? これ、かなりの数だぞ?」



 この時期、毛皮は高値で売れる。もう直ぐ寒い冬が訪れるからだ。

その為の準備として、毛皮の防寒具を仕立てる者が多く、

材料となる毛皮は需要が多かった。


 だから、ハンターは今の季節、とても忙しかったりする。

ちょうど季節の移り変わりで、魔物たちも毛が冬用に様変わりしていた。


 だから、ちょっとした小遣い稼ぎをする冒険者も居るのだが……。

まさか、それを売ってユリアとの結婚資金を稼ぐつもりか?

お前、給金を沢山貰っているだろうに……。



「――いや、龍体専用の着ぐるみを用意する。

 それには、俺の体を覆える量の毛皮を調達しないといけない」



 俺はよろめいた。



「お前はあほかっ!!」



 こいつはなんと、龍体用の大型の着ぐるみを作る気らしい。



「着ぐるみは、着た者の印象を変える特殊効果があるらしいんだ。

 ユリアは最近、俺に似た龍のぬいぐるみを大事にしている。

 俺が温かくないから、あれに温もりを求めているんだろう。可哀想に……。

 ならば、俺が着ぐるみを調達すれば、ユリアは喜んでくれるのではないか?」



 アデルバードは俺のツッコミを他所に夢見ていた。

ユリアが、リファ達のように「ふわふわですね」と喜んで抱きついきて、

もっと傍に居てくれるようになりたいのだと。


 人間の娘、ユリアへの究極の求愛方法=着ぐるみで求愛だと学んだらしい。


 どうしてそうなった。


 

「お前な、確かに種族の中には姿や色を変えてめすに気を惹くのはいるけど、

 俺達の様な龍族は流石に其処までしないものだぞ?

 よりによって着ぐるみはないだろう、着ぐるみは」


「仕方ないだろう。ユリアがそういうのが好きならば、

 俺はこの気高き龍の誇りを捨てでも叶えてやる必要がある。

 冬は着々と近づいているから、出来るだけ早く必要なんだ。羽毛でもいい。

 龍体でも、ユリアの体を包んで温められる存在に俺はなりたい」


「また怪鳥の所に特攻しに行くなよ。相手も迷惑だから」



 寒さが増してくるこの季節。

気づけば、朝、ユリアは子猫姿で一緒に眠っていたはずが、

アデルバードが目を覚ました頃には、ユリアが傍に居なくなっていて、

リファやティアル達と仲良く寄り添って眠っているのを見つけたそうだ。


 深夜にユリアは寒くて一度起きてしまい、

リファ達の所へ暖を求めて、仲間に入れてもらったらしいとのこと。


 アデルバードが気づいて取り返そうとすると、

母性本能むき出しのリファが気配に気づいて、奴を威嚇いかく

部屋の中でユリアを取り合い、大喧嘩の一歩手前になる所だったと。



『キシャーッ!!』


『ガウ!! ガウガウ!!』


『みい……?(何……?)』


『みにゃあ……ユリア……コッチデ、ネヨ~?』



 で、其処で物音に気づいて目が覚めたユリアと、

ぬくもりが無くなった事で同じく目を覚ましたティアルは、

眠たい目であくびをしながら、のそのそと起き上がり、

仲良くティアルのかごのベッドで寝直したそうだ。


 ぬいぐるみをそれぞれ抱えて眠る姿は、それはそれは可愛らしくて、

リファとアデルバードは、途中で喧嘩していたことも忘れ、

二匹のあどけない寝顔を見下ろしていたと言うが……。



『みい~みいみい(やっぱり~この時期は、リファ達のふわもこが恋しくなります)』



 と、目が覚めたユリアに言われて、衝撃を受けたらしい。

で、やつの溺愛発作が起きた様だ。



「こ、このままではユリアの寵愛を、毛玉種族に完全に奪われる。

 これでもし、毛玉の獣人がローザンレイツに来るようになったら、

 ユリアは惚れてしまうのではないか、毛玉に」


「あ――……それは仕方ないんじゃないか? ユリア小動物大好きだし。

 流石にそういうのはリファ達の方が暖かいからな」


「夏場は良く触ってくれたんだ」



 ますますうな垂れている。うん、それ単に暑かったからだろ?


 もうなんだか、今のお前だと、

このまま果実水とかでも悪酔いできそうな勢いだな。おい。



「もっと寒くなったら、俺はユリアに必要とされなくなる。

 これは求愛する俺にとって由々しき事態だ。

 その為には、もっと温かい姿になって求められる雄にならなければ、

 そしてゆくゆくは、毛玉種族と同等の地位を手に入れ、ユリアを俺の花嫁にっ!」


「うおおおい! 無理だから! ティアル達と可愛さで勝負しようとするな!!

 それについては、お前は完全に負けているから、

 お前が目指している方向性は全く違うものだからな!?」



 本気で龍体の着ぐるみ姿で求愛するのは止めとけ! 

誇り高い龍の長は何処へ行ったんだ!! 何処に!!

愛情駄々漏れで、おかしな方向へ変化球つきで突き進んでいないか?

こいつはユリアが絡むと、普段の冷静な判断が付きにくいらしい。



「それでか! どうりで買ってきた本の中にぬいぐるみの作り方なんてある筈だよ。

 お前、不器用なくせして着ぐるみ作る気満々だったのか!」



 狩ってきた毛皮をつなぎ合わせて、

ユリアが求める着ぐるみ姿で求愛する蒼黒龍……。

想像しただけで、とてもカオスな光景だな。


 それに、こいつ一人で作るのなら、着ぐるみ自体、まともな物は出来ない気がする。

完成予想図(アデルバード画)がとんでもないことになっている時点でお察しだ。


 危なかった……今止めておかなかったら、

ゴシップに騎士団長の奇行を書き込まれてしまう所だった。

そうしたら、一気に騎士団のイメージダウンだよ。



(この国最強と言われた騎士団長が着ぐるみ……胃が、胃が痛い)



 これは、放置したらきっとユリアにも泣かれるだろうな~。

いや、どん引きか? それはそれでちょっと見たい気も……。



(駄目だ。ユリアを失ったらアデルバードがどうなるか分からん)



 彼女が寒がるのならば、人型で一緒に寝れば……とも思ったのだが、

それだとユリアの身が危ない気がするので、黙っておいた。

……というか、もう一緒に眠っているのかよユリアと。

冒険先でもユリアを抱えて眠っていたが、まさか屋敷の中でもか。



(いや、まてまて、動揺するな俺、私情は後にしよう)



 被害は最小限でいい。また俺の差し金とか思われたら嫌だしな。

こんなので、上から監督不行き届きで始末書書かされるなんて嫌だし、

誇り気高き騎士団のイメージがお笑い担当になったら、とても困る。



「お前が心配しなくても、ユリアはお前の良さを分かっているよ。

 そうでなかったら、俺達みたいな龍族の傍に居て平気な訳がない。

 だからこそ、お前と恋人になったんだろ?」


「そう……だろうか?」


「ああ、ユリアもさ。色々事情がある娘だろ?

 それも配慮してやらないと駄目だ。まだ記憶は戻らないし、

 彼女の身内だって見つからない状態でユリアは凄く不安な筈だ。

 お前だって何時ユリアの記憶がまた無くなるのか心配だろ?」



 今は生活に慣れてきたとはいえ、ユリアには不安な事も多い。

記憶の喪失、それはとても扱いが難しいからだ。


 何かのきっかけで思い出す事もあるが、

その時に、記憶を失っていた頃の出来事を忘れてしまう事もあると聞く。

つまり俺達と出会い、心を通わせた思い出全てが白紙になるかもしれない。


 その時に、アデルバードがユリアを失う可能性はある。

こいつが焦るのは仕方ないのかもしれない。



「お前はユリアの不安を一つずつ取り除いてやれ、

 まずはそれからだ。その為にはユリアの負担にならないか見定めてから、

 きちんとお前の気持ちを伝えて安心させてやれよ。

 お前は行動力があるが、あんまり気持ちを伝えてないんだろ?」


「気持ち……か」


「勿論、種族の障害は大いにあると思うけど、

 とりあえずユリアが不安にならないように、沢山好きだという事からだな」



 そう言うと、奴の顔は薄っすらだが赤くなっていく。

持ち直した羽ペンがぼきりと折れ、机と床にはひびが入った。

なぜか、ゴゴゴ……と、奴から妙な地響きのような音も聞こえる。

俺は焦りながら身を低くし、見るからに動揺しているアデルバードを見上げた。



「おっ、おいアデルバード!?」


「好きだと……伝える……ユリアに……もっと……」



 今度は壁にひびが入った。



「――お前っ!! あれだけ大胆な求愛していて、

 好きだと伝えるのに動揺するなよ! 恋人になった時も言ったんだろ?!」



 俺の絶叫は部屋に響いた。

恋人になった時も好きだと伝えたと言うが、

やはり勢いがないと、伝えるのは奴でも恥ずかしいらしい。

淡々とやっているように見えたが、奴もいっぱいいっぱいの様だ。


 俺はこの後、必死でアデルバードを鎮めるのに苦労したのは言うまでも無い。





※  ※  ※  ※



 その日の夕方、寄宿舎に手伝いに来たユリアに、

奴の破天荒な話をネタにしてやった。何時も振り回されているからな、

たまには俺がこんな事をしてもいいと思う。

何時もは、俺の方がネタにされるくらいだもんなあ。



「そうなんだよ~。あいつったらさ、

 龍体で着ぐるみにするのはどうかと言ってきてさ、おかしいだろ?」


「アデル様の着ぐるみですか……それは可愛いでしょうね」


「……は?」


 冗談で済ませて、フォローも入れるつもりだった話が、

ユリアは聞いた途端に目をきらきらと輝かせていた。

しかし……可愛い? 奴が……可愛いだとっ!?



「ユ、ユリア……?」


「そうですか~アデル様も龍体用のナイトウェアが欲しかったんですね。

 確かに、冬場にあの姿だと寒くないのかなと心配していたんです」


「え、えと」


「可愛いんじゃないでしょうか、猫耳、ウサギ耳、犬も良いですね~。

 先日、アデル様に似たぬいぐるみを購入したのですが、

 ふわふわしていると、とても可愛いなと思えましたし」


「や、あの……」



 何と言うことだ。ユリアの感性は通常よりも斜め上らしい。

この時点でやはり、二人は似たもの同志なんじゃないかと思うほど、

思考がぴったりと言えた。



「……ええと、あのさ? 俺が龍体でやっても可愛いと思う?」



 そんな事を聞いてみたら、ユリアは暫し考えてこくこくと頷く。



「ラミスさんも可愛いと思いますよ?

 ええと……赤いから、真っ白なうさぎの着ぐるみが似合いそうですね」



 ……ユリアに着ぐるみ着用の求愛行動は効果あり。


 奴が必死になるのも分かる気がした。

俺も一瞬、恥をしのんでやってみようかと思ってしまったよ。



「でも、騎士団長をされている方の威厳を損なう事は出来ませんよね。

 後で私からもアデル様にお話しておきますね?」


「あ、ああ……そうしてくれると助かるよ」



 種族違いの恋で苦労しているようだが、この様子なら大丈夫そうだ。


 求愛した娘の影響による暴走を心配したが、

その反面、ユリアだけがアデルバードを止める術があるのだ。

それを彼女は良く理解しているのなら、安心だな。



「ユリア、今日は一緒に帰れる。おいで」


「あ、はい、アデル様。お仕事お疲れ様でした。

 では、ラミスさん。ごきげんよう」


「あ、ああ……またなユリア」



 帰宅できる日は、定時であがる事を徹底しているアデルバード。

先ほどのやり取りの後の報告で、殿下直々に帰宅命令が出ていた。


 そして、寄宿舎の部屋を整える手伝いに来たユリアを見つけると、

そのまま一緒に帰ろうと、奴は驚異的な速さで溜まっていた仕事を終わらせていたのだ。

本当に分かりやすいなお前は。まあ、時々破天荒な事をやらかすが、

基本、奴は真面目な勤務態度でいるので、大抵の事は大目に見てもらっている。


 ライオルディ殿下が後見人となり、直々に上層部には奴の事を頼まれているからな。



(一見すると、今までと変わらない様にも見えるが……)



 恋人になった直後の変化といえば、アデルバードがユリアを呼ぶ時の声。

少しだけ柔らかみを含んだ気がする。


 そして、手をつないでいた筈が、彼女の腰を抱くようになり……。

二人が恋人になったと言う事が、周りも思い知るようになった。

ユリアを狙っていた者達は指をくわえて見送っている。



(アデルバード、ユリアを傍に置くのなら覚悟を決めろよ)



 人間としてこの地で生きていくという覚悟。

それは過去との決別を意味している。



 事態はアデルバード達の知らぬ所で既に動き出していた。

二人が恋人になったと判明した直後、陛下から内密で王命が下されたのだ。



 ――蒼黒龍アデルバードの愛する娘を命をして守れ。



 表面上は、騎士団長の恋人は狙われやすいからとされているが、

同じ龍族なら分かる。彼女がローザンレイツの命運を握っているのだと。


 ユリアがもし人の手により、命を奪われる事にでもなったら、

今度こそアデルバードは人間の敵になるだろう。



「このまま、何も起きなければいいんだがな……」



 そう願いながら、俺は背を向けて宿舎へと戻った。




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