第18話 デジャヴ感やばし。
なんだろう、このデジャヴ感。
かつてこんな場面に遭遇した事があった気がする。
太陽の日差しを反射して輝いているナイフが目の前に向けられている中、あたしは呑気な事を考えていた。
凶器が目の前にあるというのに、全く怖くないのはなぜだろうか。
この世界に慣れてきたという事なのか。
「・・・何か用?」
あたしは黒い布で隠されている相手の顔を見ながら言う。
すると、
「・・・あれっ?」
という素っ頓狂な声が黒い布の中から聞こえた。途端に殺意が消え、ナイフが降ろされる。
今までナイフを持っていなかった方の手でばっと自分の布を外すと、綺麗な女の子の顔が露わになった。
それから、大きい目を細くしてじっとあたしの事を見つめる。
「・・・だれ?」
「・・・それってあたしの台詞だと思うんだけど?」
ああ、また変な女の子に会ってしまったようです。
なんであたしが出会う可愛い女の子っていつもこうなのだろうか。
目の前にいる少女はふぅ、とため息をつき、ナイフをポケットにしまった。
それから何事もなかったかのようにくるりと踵をかえし、
「あーあ、人違いかあ。無駄足だったなー」
と、呟きというにはちょっと、いやかなり大きい声でいいながら歩き始める。
人を苛立たせるのが得意な子のようだ。
ってか。
「あれ?ごめんなさいがないぞ?あいむそーりーひげそーり?
・・・って古いわ!!!」
「おばさんなにやってんの?」
「ごめんなさいほんとごめんなさい。
・・・ってあれ?」
光の早さで土下座をかました後、ふっと顔をあげると目の前にはまた先ほどの少女。
「さっき去ったはずじゃ・・・。どうしたの?あとあたしはまだおばさんじゃない」
「おばさんでしょ。あんたに用があるわけじゃない。僕はそこで倒れてる人に用があるんだ」
なんと生意気なんだこいつは。
特技に人をイラつかせる事って書けるよ君。
やったね。
「そ、そっかあ〜〜」
あたしは今にも殴りかかりそうになる右手を僅かな理性で抑え、笑顔を引きつらせながら言った。
それにしても、レイに話という事は知り合いということだろうか。
少女(僕って言っていたのでほんとに少女かは少し自信はなくなってきた)はあたしの隣を通り過ぎて、倒れているレイの隣に立つ。
すると、レイは突然立ち上がり、
「くぉら朔ウウウウウウウ!!!!!
お前ウチのプリン食べただロオオオオオ!」
と思いっきり叫びながら勢いよく飛びかかった。
いきなりの事でびっくりして、あたしの心臓はどきどきと脈を早く打ち始める。
対する朔と呼ばれた少女?は、
「こんのクソ姉貴いいいいいい!!!
てめぇだって僕のシュークリームくっただろぉがああああ!!!!!」
と怒鳴り返しながら、飛びかかってきたレイに蹴りかかった。
・・・なんてくだらない姉妹喧嘩!!!!
組合ながら喧嘩する姉妹を見ながら、あたしはとばっちりをくらわないように、2人からだんだんと離れて行った。
あれ、グダグダ。
いつもの事ですね!!←