第十七話 仲間って、どんなカタチ?
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「自分はドミナ様と、孤児院で出会いました」
「それって、子供の頃からの付き合いってこと?」
レウィスの問いにセルウィーは一瞬顔を曇らせる。
貴様には話してない、とでも言いたげな顔だ。
「……そうだ。自分が世話になっていた院に、ドミナ様がいらっしゃった」
「子供の頃から、こんな感じだったの?」
「いいや、ここまで攻撃的ではなかった。知的好奇心が豊富で、誰にでもお優しく、愛情深い人だ。それは今も変わらない」
「いやどのあたりに愛情感じてんの!? そういう性癖としか思えないよ!?」
……レウィスが遠慮なしに聞いてくれるから、僕が話すまでもないな。
それに、正直聞いていい内容なのか……。
「……そう見えているのなら、ドミナ様は完璧に演じられているということだな」
セルウィーが少し悲しげな顔で笑う。
「演じている……?」
「はい、ドミナ様は嫌な女を演じておられます」
「なんのために!? 良いことなくない!?」
「女性でありながら賢者になられた。そんなドミナ様の苦労を知らぬから、貴様は呑気なことが言えるんだ」
「どういうことか、説明してくれるかい?」
*
「女性でありながら賢者、という立場の意味をご存知ですか?」
「意味? すごい!」
「全員が貴様の様な人間ならいいのだがな……」
「それ絶対褒めてないよね!? またバカにしてるでしょう!」
「レウィス、静かに。確かに女性賢者はほぼ聞かないな……」
攻撃魔法も補助魔法も華麗に扱う『賢者』
その道を進むものが、最終的な目標とする職業だろう。
ただし、どれだけ研鑽を積んだとしても到達できるのはごく一部の人間だ。
若くしてその立場にあれば、どの様な扱いを受けるかは想像に容易い。
——それが、女性であれば尚更。
「はい。フォル様の仰る様に、賢者はそもそも数が少ないのです」
「じゃあ、やっぱりすごいじゃん!」
「レウィス、すごいことはすごいんだよ。でもね、みんながキミみたいに素直に人の成功を喜べるわけじゃないんだ」
「フォル様の仰る通りです。最初のパーティでは、ドミナ様は慰み者にされかけました」
「えぇ!? そんなの犯罪だよ!! おかしいのは相手だよ!!」
テーブルを叩きながら、レウィスが立ち上がる。
「そんなのはわかっている。しかし女性であれば、奴隷の様に扱われることも多いんだ」
「でも、賢者だよ? ドミナは強いじゃん!」
「強いからだ。女性が自分たちよりも地位が高く、優れた職業であることを許せない者もいる」
「そんなのさ、そいつらがクズなだけじゃん……。ドミナは悪くないじゃん!」
「だからドミナ様は嫌な女を演じている。自分を人前でゴミの様に扱えば、相手を選別できるからな」
その言葉に、僕もレウィスも何も返せなかった。
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「ファファ!!」
メデリの声が響き渡る。
少女は祈るように手を組んでいた。
ファファの身体から溢れる魔力が、辺りをふんわりと明るく照らす。
「だいじょうぶだよ、メデリ先生」
「大丈夫って……メデリいつの間にこんなの教えてたの!?」
「教えてませんよ! それに攻撃魔法とも、治癒魔法とも違います!」
「じゃあなんなのこれ!」
「わかりませんが、ルディアに近い感じがします」
踊り子は舞いで祈りを捧げ、地脈を通じて相手に魔力を送れる。
ファファは、あれが祈りってこと!?
でも、こんな祈りを捧げる支援職なんてあったっけ……。
「とりあえず、支援職なのはわかった! メデリ、まだ大丈夫?」
「えぇ。ファファのおかげでまだ踏ん張れます」
「ファファもまだ頑張れる?」
「うん、大丈夫だよ」
全く……。
か弱いレディがこんなに頑張ってるのに、男どもは何やってんだか!
ルディアが二人の方に視線を向けると、相変わらずアルデオはレシと言い合っていた。
「ちょっと! いつまで喧嘩してんのさ!!」
「だって、アルデオがひどいんだ!」
「俺は、あいつらにも事情があるだろって言ってんだよ!」
「うるっさい! アルデオはさっさと斧拾う! レシ、あんたはあの魔牛の言葉通訳して!」
「でもよ、ルディア。あいつらが襲ってこなかったら——」
「そん時は斧降らなきゃいいでしょ!? 襲ってきたらどーすんのよ!」
フンッとルディアは鼻を鳴らす。
そんな彼女の姿を見て、アルデオは渋々斧を構えた。
「……そっか、お前たちもそうだったんだな」
「なんて言ってんの、レシ」
「前住んでた村が襲われて、みんなで新しく住むところを探してたんだって」
「やっぱり、理由があったじゃねぇか……」
「でも、人間が怖くて攻撃しようとしてたって言ってる。ごめんなさいだって」
「そっか! もう攻撃しないって約束できるなら、みんなここに住んだらいいじゃん!」
クリスもキュルもいるし、みんなも今更反対しないでしょ。
そんなルディアの考え通り、アルデオもメデリも首を縦にふる。
レシがその条件を魔牛たちに伝えた。
「ブモウウウ!」
「ありがとう、きっと役に立ちますって言ってる」
「まじ? 毎日牛乳出してくれるとかかな〜。それなら助かるな〜、レパートリー増えるし!」
「そんなことよりも、ファファの身体が心配です……」
「だいじょうぶだよ、メデリ先生! なんでできたのかはわからないけど……」
「すごかったよファファ! でも無理はしないんだよ〜」
ファファの頭をわしゃわしゃと撫でると、にっこりと微笑まれる。
そんなあたしたちを、アルデオは少し離れた位置から眺めていた。
アルデオ……




