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勇者パーティから勇者を追放したので、もう魔王城には行きません!  作者: おやまみかげ(・8・)


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第十七話 仲間って、どんなカタチ?


 ♠︎


「自分はドミナ様と、孤児院で出会いました」

「それって、子供の頃からの付き合いってこと?」


 レウィスの問いにセルウィーは一瞬顔を曇らせる。

 貴様には話してない、とでも言いたげな顔だ。


「……そうだ。自分が世話になっていた院に、ドミナ様がいらっしゃった」

「子供の頃から、こんな感じだったの?」

「いいや、ここまで攻撃的ではなかった。知的好奇心が豊富で、誰にでもお優しく、愛情深い人だ。それは今も変わらない」

「いやどのあたりに愛情感じてんの!? そういう性癖としか思えないよ!?」

 

 ……レウィスが遠慮なしに聞いてくれるから、僕が話すまでもないな。

 それに、正直聞いていい内容なのか……。

 

「……そう見えているのなら、ドミナ様は完(・)璧(・)に(・)演(・)じ(・)ら(・)れ(・)て(・)い(・)る(・)ということだな」


 セルウィーが少し悲しげな顔で笑う。

 

「演じている……?」

「はい、ドミナ様は嫌な女を演じておられます」

「なんのために!? 良いことなくない!?」

「女性でありながら賢者になられた。そんなドミナ様の苦労を知らぬから、貴様は呑気なことが言えるんだ」

「どういうことか、説明してくれるかい?」




 *


「女性でありながら賢者、という立場の意味をご存知ですか?」

「意味? すごい!」

「全員が貴様の様な人間ならいいのだがな……」

「それ絶対褒めてないよね!? またバカにしてるでしょう!」

「レウィス、静かに。確かに女性賢者はほぼ聞かないな……」


 攻撃魔法も補助魔法も華麗に扱う『賢者』

 その道を進むものが、最終的な目標とする職業だろう。

 

 ただし、どれだけ研鑽を積んだとしても到達できるのはごく一部の人間だ。

 若くしてその立場にあれば、どの様な扱いを受けるかは想像に容易い。

 ——それが、女性であれば尚更。


「はい。フォル様の仰る様に、賢者はそもそも数が少ないのです」

「じゃあ、やっぱりすごいじゃん!」

「レウィス、すごいことはすごいんだよ。でもね、みんながキミみたいに素直に人の成功を喜べるわけじゃないんだ」

「フォル様の仰る通りです。最初のパーティでは、ドミナ様は慰み者にされかけました」

「えぇ!? そんなの犯罪だよ!! おかしいのは相手だよ!!」


 テーブルを叩きながら、レウィスが立ち上がる。

 

「そんなのはわかっている。しかし女性であれば、奴隷の様に扱われることも多いんだ」

「でも、賢者だよ? ドミナは強いじゃん!」

「強いからだ。女性が自分たちよりも地位が高く、優れた職業であることを許せない者もいる」

「そんなのさ、そいつらがクズなだけじゃん……。ドミナは悪くないじゃん!」

「だからドミナ様は嫌な女を演じている。自分を人前でゴミの様に扱えば、相手を選別できるからな」


 その言葉に、僕もレウィスも何も返せなかった。




 ♦︎


「ファファ!!」


 メデリの声が響き渡る。

 少女は祈るように手を組んでいた。

 ファファの身体から溢れる魔力が、辺りをふんわりと明るく照らす。

 

「だいじょうぶだよ、メデリ先生」

「大丈夫って……メデリいつの間にこんなの教えてたの!?」

「教えてませんよ! それに攻撃魔法とも、治癒魔法とも違います!」

「じゃあなんなのこれ!」

「わかりませんが、ルディアに近い感じがします」


 踊り子は舞いで祈りを捧げ、地脈を通じて相手に魔力を送れる。


 ファファは、あれが祈りってこと!?

 でも、こんな祈りを捧げる支援職なんてあったっけ……。


「とりあえず、支援職なのはわかった! メデリ、まだ大丈夫?」

「えぇ。ファファのおかげでまだ踏ん張れます」

「ファファもまだ頑張れる?」

「うん、大丈夫だよ」


 全く……。

 か弱いレディがこんなに頑張ってるのに、男どもは何やってんだか!


 ルディアが二人の方に視線を向けると、相変わらずアルデオはレシと言い合っていた。


「ちょっと! いつまで喧嘩してんのさ!!」

「だって、アルデオがひどいんだ!」

「俺は、あいつらにも事情があるだろって言ってんだよ!」

「うるっさい! アルデオはさっさと斧拾う! レシ、あんたはあの魔牛の言葉通訳して!」

「でもよ、ルディア。あいつらが襲ってこなかったら——」

「そん時は斧降らなきゃいいでしょ!? 襲ってきたらどーすんのよ!」


 フンッとルディアは鼻を鳴らす。

 そんな彼女の姿を見て、アルデオは渋々斧を構えた。


「……そっか、お前たちもそうだったんだな」

「なんて言ってんの、レシ」

「前住んでた村が襲われて、みんなで新しく住むところを探してたんだって」

「やっぱり、理由があったじゃねぇか……」

「でも、人間が怖くて攻撃しようとしてたって言ってる。ごめんなさいだって」

「そっか! もう攻撃しないって約束できるなら、みんなここに住んだらいいじゃん!」


 クリスもキュルもいるし、みんなも今更反対しないでしょ。


 そんなルディアの考え通り、アルデオもメデリも首を縦にふる。

 レシがその条件を魔牛たちに伝えた。


「ブモウウウ!」

「ありがとう、きっと役に立ちますって言ってる」

「まじ? 毎日牛乳出してくれるとかかな〜。それなら助かるな〜、レパートリー増えるし!」

「そんなことよりも、ファファの身体が心配です……」

「だいじょうぶだよ、メデリ先生! なんでできたのかはわからないけど……」

「すごかったよファファ! でも無理はしないんだよ〜」


 ファファの頭をわしゃわしゃと撫でると、にっこりと微笑まれる。

 そんなあたしたちを、アルデオは少し離れた位置から眺めていた。

 

 


 アルデオ……



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