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人魚無双~幼女になって転移した先で推しの幸せのために私は生きる~  作者: 景華
第3章 そして少女は彼と出会う

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私と彼の1週間ー6日目ー本音で語り合う乙女達ー


「ここよ」


 しばらく登った先でエリーゼが扉を開けると──そこには楽園(パラダイス)が広がっていた──……。


「わぁ……!! すごい!!」

 連れて来られた先は体育館裏でもなんでもなく、彼女の寮の部屋。


 全体的に白を基調とした色合いに、キラキラとした宝石が散りばめられた絵画が壁に数点飾られている。

 そしてなんと言っても、ベッドの上の溢れんばかりのぬいぐるみの存在感!!

 くまやうさぎやペガサスなどの可愛いぬいぐるみ達がベッドを占領している。


 女子だ!!

 女子の部屋だ!!

 ベッドの上には先生の実物大抱き枕しかないシンプルな私の部屋とは大違いだ。


 私が部屋の雰囲気に驚いていると、

「あぁ、これ? 貴族からの聖女へのプレゼントよ」

 よくくれるの、と付け加えて彼女は部屋を進んでいく。


「断らないんですか?」

「どうして? 私は彼らのために日々祈ったり、治癒魔法を使ったりしているのに」


 一点の疑いもない彼女の思考に、私は言葉を失った。


「それに、皆私が聖女で、しかも可愛いからって言ってプレゼントくれるのに、人の好意を無下(むげ)にはできないわ」


 うーん……。

 そりゃまぁ確かにそうだけど……。

 純粋な好意の中に聖女とお近づきになりたいって下心が紛れ込んでいるのは間違い無いだろう。


 そういえば前にクレアに聞いたことがある。

 聖女に賄賂(わいろ)を渡して来るような人はいないのかって。

 すると彼女は

『賄賂? あるわよ。一部の貴族がね。ま、全部突っぱねてるけどね。思惑が透けて見えるもの』

 と言ってカラッと笑ってたっけ。


 同じ聖女でも性格の違いなんだろうか。


「大体、聖女からって色々我慢しないといけないなんて、おかしいと思うのよ。聖女だって人間だもの、可愛くありたいし、宝石だって好きだし、夜会でダンスだって踊りたい。恋だって自由にしたいわ。ま、その点は好きな人と結婚相手が一致してるから良いんだけどね」


 あぁ、シリル君のこと……。


「まぁ座って」

 私が勧められるがままに丸テーブルに備え付けられたチェアへ腰掛けると、机の上に置かれたコースターの上に紅茶が出現した。

 おぉ、すごい。

 さすが魔法の世界。


「あの、それで、私を呼んだのは何の話がしたいからですか?」

 わざわざ私たちの後をつけて私の部屋を探したのだ。

 それなりの理由があったんだろう。

 私は息を飲んで彼女の答えを待つ。


「そうねぇ。あなたと一度ゆっくりと話したかったから──じゃダメかしら?」


 へ?

 予想してたのとだいぶ違う……!!

 『私のシリルに付き纏わないで!!』的なのを予想してたのに。


 拍子抜けをくらって私が(ほう)けていると、ふふっとエリーゼが笑って、私の向かい側の椅子へと腰掛けた。


「一体なんだと思ったのかしら?」

「あ……えっと……。てっきりシリル君と一緒にいることについて問われるのかと……」


 正直な口が、躊躇いがちに考えていたことをバラしてしまう。


「そうねぇ。でも私結婚前の火遊びには寛容なのよ」


 そっかぁ。

 すごーい。

 ってえー!?

 火遊び!?


「ご、誤解ですよ!? 私にシリル君はそんな関係じゃ……!!」

「わかってるわよ、まだそんなじゃないってことぐらい。でも、仲はいいわよね、あなたたち」


 体育館裏じゃなくても修羅場になりました。

 ど、どうする?

 どうする私!!


「ヒメ、私はあなたと本音で話がしたいの。二人でね」

 思ったよりも真剣な表情に、私は困惑しながらも「はぁ……」と弱く応えた。


「ヒメはシリルのこと、どう思う?」

 

 いきなりのド直球!!

 どうする?

 いつものように誤魔化して──……。

 いや、それは嫌だ。

 彼女にだけは、先生のことについて誤魔化したりしたくない。


「はい。好きです。いえ……愛しています」

 ローズクォーツとアメジストがぶつかり合う。

 この愛だけは偽っていたくない。

 私の“好き”は私の大切なものだから。


 しばらく瞳が交差しあってやがてエリーゼは表情を和らげて「そう」と小さくつぶやいた。


「ねぇ、いつから? 出会ったばかりでそんな愛しているとか重い感情、わからないわよね? それとも一時(いっとき)の気の迷い?」


 挑戦するように言葉を並べるエリーゼに、小さく眉を顰める私。


一時(いっとき)の迷いなら、どんなに良かったか──」

 それなら苦しむことなんてなかった。

 何も気づかず、知らず、ただ生きていけたらどんなに楽だったか。


「もうずっと前から……。私は、彼しか見てないんですよ。ここで出会うよりもずっと前から──」


 ずっと見てきたんだ。

 この世界で、彼の背中を。

 ゲームで、彼が死ぬところを。

 そしてゲーム中に覗いた、彼のエリーゼへの想いの記憶を。


 ずっと。

 何度も。

 繰り返し。


 ここでのエリーゼへのシリル君の反応を見て『もしかしたらエリーゼを好きにはならないのかもしれない』と淡しい期待もしてみたけれど、きっとそれは私の都合の良い想像だ。


 これから何かが起きて、二人の距離が縮まる。

 そんなところだろう。

 いっそのことずっとここに居座って、シリル君とエリーゼの仲を邪魔したら?

 そんなこと、できるはずもないのに。


 運命を変えようとしている私が、1番運命に囚われている。

 我ながら滑稽だわ。


「……そう。ありがとう。本音を話してくれて。でも、私も負ける気はないけどね」

 そう言っていたずらぽく笑ったエリーゼは紅茶を一口飲む。


 私もつられて一口いただく。

 修行後の紅茶はすっきりと感じられてとても身体が癒されるように感じられた。


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― 新着の感想 ―
[良い点] なんだろう……修羅場なのに、お互い腹を割って話したからか、そんなに後味が悪くない(*'ω'*) エリーゼちゃんは、別に意地悪でも性格悪くもないんだもんなぁ(´・ω・)話してみても「普通の女…
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