一緒に帰らない?
とは言ってみたものの、イケメンIKEくんを誘うなんて…そんなことができるのであろうか。でも、やるしかないんだ。でないと、ストーキングする羽目になる。
「それはそれは、素晴らしい案ですね!縁あってずっと一緒のクラスなんだし、そろそろ一緒に帰ってみるのも良い事かと思います!」
と、かおるちゃんは能天気に答えた。
放課後になり、部活組は部活動へ向かい、帰宅組は帰る準備をしていた。
僕とIKEくんは、高校生活が始まってからずっと帰宅部であった。だから帰る流れが何となくわかる。IKEくんはたまに塾へ行ってるみたいだけれども、今日は帰る日だと予測された。
僕も今日はバイトもないし、直帰して寝る予定だった。
僕とIKEくんは、なんとなくペースが似ているから、なんとなくわかる。誕生日だって関係ないと僕は思う。IKEくんは、きっと帰ってゲームをしたりして、ゆっくりするタイプだと思う。
なんて、考えていたら、
「たけしさん!IKEくん行っちゃうよ!」
と、かおるちゃんが教えてくれた。
かおるちゃんは、カバンからヒョッコリと顔を出して、僕の制服の裾をピョコピョコと引っ張っていた。
「あっ、はい!」
僕は慌ててIKEくんを追いかけた。
「待って!」
とっさに呼び止めると、IKEくんが振り返った。
「ん?なに?」
IKEくんはキョトンとしていた。
「今日さ、そこまで一緒に帰らない?」
僕は勇気を出して声をかけた。緊張して顔が赤くなった。高校3年生にもなって、一緒に帰ろうと誘うなんて。まるで小学生のような誘い方だった。
するとIKEくんは、不思議そうな顔をしながらも答えた。
「えっ、いいけど。どうしたん?」
僕は、不思議がっているIKEくんを相手に当たり障りのない会話を何とか繋げながら校舎を出た。
「えっと、いつも駅で見かけるからさ。同じ駅だし、家も近いのかな?と思ってさ。いや〜、深い意味は無いんだけどさ。そういえばさ、この前、あそこに新しいお店できたよな?」
僕は、こんなに気を使って人に話しかけたのは人生で初めてだった。高校に入ってからは、友達は何人かできたけれども皆んな席近かったっていう理由で話していただけだ。深い話もしたことがないし、一緒に帰ったり、遊びに行ったりもしたことはない。僕は、そんなに社交的ではない性格だ。ましてや、フェアリーだっているし、秘密も守らないといけないし、直帰するしかなかったんだ。




