ラブリーポシェット
すると、部屋のどこからかかおるちゃんの声が聞こえてきた。
「おわりましたか〜? 」
部屋の中を注意深く目で探すと、タキじぃの本棚に座って足をブラブラさせているかおるちゃんがいた。
「おぅ。終わったよ。長くかかってしまったな。退屈だったろう。あぁ、そうじゃそうじゃ。大事なことを忘れとった。最後に、この書類にサインをしておくれ。」
タキじぃは、かおるちゃんに返事をすると、書類の間から紙を一枚僕に渡した。
僕は、その紙に書いてある内容を読んだ。その内容はつまり、規約を守りなさいというようなことが書いてあった。ほうほう、サインをしないといけないのか。
「他にも大事なことはあるのじゃが、わしも歳じゃ。全部説明するんは疲れる。あとは、ホームページを確認しておくれ。あ、このペンでサインをしておくれ。」
最後の方になると、少し適当になるタキじぃであった。
僕は、今までの人生でサインなんてしたことがなかった。だから、少し緊張した。こんな僕が、契約? みたいなことをしてもいいのかな。お母さんに確認とかしなくてもいいのかな? あ、でも秘密厳守だから話しちゃいけないのか。僕は、迷いながらもタキじぃからペンを受け取り、書類にサインをした。
「よろしい。」
タキじぃは、眼鏡をクイっと上にあげて書類に目を通した。
「そうじゃ、これを持っていると良い。」
そう言ってタキじぃは、訳の分からない小さなお守りのようなものを僕にくれた。形は確かにお守りだ。でも、何かが変だ。透明な袋?というか、人間界では見たこともないような布だ。
「これはフェアリーの世界では有名なラブリーポシェットじゃ。人間界では、お守りのようなものじゃ。可愛いじゃろう。若い子たちに人気があるんじゃ。インスタ映えしそうじゃろう。」
タキじぃは、ニヤニヤしながら話した。若い子好きなタキじぃは、流行りには敏感なようだ。それにしても、ラブリーポシェットって……。なかなかのネーミングセンス。フェアリーの世界って一体どんな世界なんだろう。




