第15話…旧ルルヤの村
ルルヤの村に向かったアキラとメグ。村に着いたのは酒場の話を聞いてから10日後だった。
すぐ準備をして町を出たのだが、ルルヤの村は遠かったのだ。
村に着いた二人がまず見たものは、廃墟…いやもはやそれが家だったのかもわからないほどに壊された瓦礫の山だった。
焼けた後や魔法だろうか、地面がえぐれている場所も有った。そして黒く固まった血の後が至るところにある。
確実にここで虐殺まがいの事が起きた事がわかる。
「酷いな。本当にこんな事が数人で出来たのか?」
「………」
黙っているメグはゆっくりと村に入って行く。
その後ろをアキラが追いかける。
村の中にはもう死体は無く、埋葬が済んでいるのだろう町の中央に土が盛られた場所が複数有った。
手を合わせ黙祷を捧げたアキラ。
メグは手をおでこの位置で握り、目を閉じて何かを口ずさんでいた。
この世界の黙祷だろうとアキラは思った。
村の中を手掛かりを探しながら歩きまわる。
さすがに埋葬が有っただけあり、赤目に繋がりそうな手掛かりはなかった。
日も暮れて来たので、今日は村の隅で見つけた小屋…おそらく埋葬や調査に来た人達が建てたものだろう。そこで休む事にした。
夕飯を食べる時もずっと黙ったままのメグは近くの川で身体を洗いに行った。
アキラは一人小屋から出た。決して覗きに行った訳ではない。
一人で村の中を歩き一番血の後が多かった場所に来た。
そこでしゃがみ手を地面に付けた。
『レトロコグニション(過去視)』
アキラの頭の中に凄まじい量の情報が流れ込む。
アキラは眉間に皺を寄せながらも必要な情報のみを探す。
そしてついに見つけた。
村人や冒険者と戦う複数の人物達。
「ファイヤーボール」
「アイスニードル」
「ウィングスラッシュ」
村の人だろえエルフや冒険者の魔導士が魔法を放つ。
向けられた人達は5人。
一人目は、赤髪の狼の耳を着けた狼人族の男。右手の甲に赤目がある。
二人目は、青い髪の40代の男で、全身を鎧で包んだいる。背中には大きな剣が背負われていた。赤目の場所はわからない。
三人目は緑の髪に褐色の肌。ダークエルフの女だ。鎖骨の間に赤目がある。
四人目は頭にはフード付きのローブを被り、全てが不明の人。
そして五人目を見てアキラは息を飲んだ。
「…………神川……力也」
アキラが見た人物は、黒髪で額に赤目がある日本人だった。
そして中学時代に突然行方不明になって話題になった同じ学校の生徒だった。
ついに登場した三つ目君。
次回に続きます。