vs龍 その3
その後も何度も攻撃を続けるが,全くといっていいほど攻撃があたらない。さっき,ルナが龍の目を刺したことで,龍はかなりのダメージを負っているはずなのに...
攻撃をひたすらに防いでいるうちに、ルナとはぐれてしまった。
この龍倒せるのか?
「ボーっとしてんじゃねえ!」
危ない。シモンの叫び声で意識を現実に戻す。龍が怒り狂い、炎を吐き出してきた。
「っぶね。あっちいなこの火。」
とにかく竜が危険な攻撃を連発してくる。何とか攻撃を回避した俺は、近くの岩の上に飛び乗った。
体勢を立て直し、いったん遠くへと逃げる。逃げた先に大きな岩があり、その陰に隠れることにした。
「ここならしばらく安全だろう。」
そう言って、俺はシモンに視線を向ける。シモンは、龍のいる方向へ視線を向けていた。
「どうかしたか?」
俺が聞くと、シモンはゆっくりと視線をこちらに向け、尻尾を立てた。
「少し、離れる。」
「何か気になることでもあるのか?」
「ちょっとな。」
そう言ってシモンは、海の上の岩々を踏み台にして、器用にとび去って行った。
「速いな、アイツ。」
俺は、ものすごいスピードで去っていく、シモンを見送り休憩をしようと座ろうとした。
その時、背後で物音がした。
「リウスよ!」
「うわ!」
振り返ると、コジローがバンケンにくわえられて浮いていた。
「コジローか。脅かすなよ。」
コジローが俺の隣に降りてきた。コジローも逃げてきたのだろうか?
「すまないねぇ。あの龍が暴れまわっているから、君たちを追いかけて逃げてきたのさ。ところでたった今、君の相棒が飛び去って行くのを見たが、なにかあったのか?」
「いや、よく分からないが、気になることがあるとか言っていたな。」
俺が答えると、コジローは何か複雑そうな顔をした。気になったので聞いてみた。
「どうかしたか?」
「君の相棒は、いろいろと敏感ではないか。何かあるのかもしれんな。」
「何かって?」
確かにシモンは、勘が働くが…
「先ほどまでは、君たちの気配が察知できなかった。しかし今は、気配をしっかりと感じる。」
言われてみればそうだ。唯一の朗報といったところか。
「しかし妙ではないか?」
「妙?」
俺が聞き返すと、コジローはすっと真面目な顔になって前を向いた。
「その、気配を消す能力を使い続ければ、我らにとっては不利にしかならないであろう?しかしその能力を解除した。なら、別の強力な能力を発動している可能性もあるってことだろう?」
確かにそうだ。珍しくコジローが真面目なことを言っているのには驚いたが。
その時、視界の端に何か黒いものが映った。
「おぇ!?」
シモンだった。こちらに向かって降ってくる。
俺は、慌てて、構えの姿勢を取った。降ってきたシモンを受け止める。
「ガキ!」
「ガキっていうな!」
受け止めてやったのに生意気な態度だ。俺はイラッとするのを我慢しながら、シモンを降ろした。
随分と早い帰宅だったな。何をしていたのだろうか。
俺はシモンに聞いた。
「何してたんだ?ほかの奴らは見かけたか?」
ルナはさっき別れてから見かけないし、デイゴとダッシュなんて一度も見かけていない。
「あぁ、デイゴなら海岸にいたぞ。間抜けずらして寝てたよ。」
「は⁉」
「スゲェ寝相してたぞ。俺も寝てりゃよかった。」
は?寝てるだと?
デイゴの呑気な寝顔が目に浮かぶ。
何をやっているんだアイツは。
あとで、ゲイジさんにしっかりと報告しておこう。
しかし、危なかった。龍に対してよりも殺意が湧きそうになった。人がこんなに大変な思いをしているっていうのに、何を呑気なことをしているんだアイツは。逆に尊敬…できないな。
「あの坊やは面白いことをするねぇ。」
ハッハッハと笑うコジローが愉快そうに笑う。
とりあえず、コイツは無視してと…
「で、何してたんだ?」
俺は、シモンに問う。
「少し気になったことがあってな…」
「なんなんだ?」
「気配消しがなくなったから、何かと思って、龍を見てたんだ。そしたら、龍は誰かから、力をもらっているようだった。で、その力を与えている奴が何なのか見に行ったってわけだ。」
「ほう!興味深い話だな。」
コジローがいち早く反応する。
シモンは、いろいろな能力を扱うことができる。龍を観察して、おかしなことに気付いたんだろう。
だけど…龍が力をもらっている?どういうことだ?
頭の中がごちゃごちゃになってきた。
「フフン、オマエはイマイチ理解していないようだな!」
シモンが嬉しそうにこちらを見つめてくる。ムカつく…
「つまり、龍には仲間がいて、その仲間を探ってきたというわけだな。」
コジローがシモンに確認するように、説明してくれた。
というか、俺が理解していないのにコジローにはわかってるのムカつくな…
「そういうことだニャ」
まだ、理解が追い付かないところもあるが、何となくわかった。
先程、ルナと戦った時も龍は、目を失ったというのに、有利に立ち回っていたからな。
納得もできた。
でも、仲間がいるっていてたな。誰なんだ?この近くに、また別のUMAでもいるのか?
「問題は、その仲間がどんな奴かだな。お嬢さん、見に行ったといっていたが、正体はわかっているのか?」
コジローが問うた。
そうだ。あの龍くらい強いUMAをもう一匹とかなったら、最悪だ。
「もちろんだニャ。」
「どんな奴なんだ?」
一刻も早く知っておいて損はない。敵がもう一匹いるのは大変だが、ソイツも倒さなければ、あの龍は倒せず、村の人々は怯えながら生活しなければならない。
シモンは、改めて俺たちをまっすぐに見つめると、静かに言った。
「お前たちも知ってるやつだ。」
「知ってる?」
知ってる?どういうことだ?
「アイツは俺たちを裏切ったんだ。」
シモンがその人物の名前を口にした。
そのとたん、俺の体は硬直した。コジローも同じだろう。
信じられなかった。
「ダッシュ、アイツが裏切り者だニャ。」
しばらく日数が開いてしまいました。
これからは頑張ります。




