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食欲は、稀に人の頭脳を呼び起こす。

 稀に、頭がいきなり冴えて、途中式を半分すっ飛ばして、考えた過程は解るのだけど、ほぼ、いきなり答えが頭に浮かぶ経験は有りませんか?


 この時の斗矢はまさにそれです。

 流石に敵陣後方からとはいえ、大軍に一人は無謀。

 と思われたが、ファイアウォールが働き、向こうも派手に魔法を使えば同士討ちになることを警戒して中々攻めあぐねているようだ。

 しかし、ここで厄介なのが正面からやって来た。


 意外にも盾。


 短絡的なならず者なら棍棒や斧ばかりだろうという俺の読みはハズレ。

 棘の付いた盾を装備したならず者たちが5人くらいで俺を抑え込みに来た。

 隙間の無い並びで押し込みに来た。

 あくまでファイアウォールは俺と一定距離を保つ壁。

 俺と連動している。俺が動けば壁が動き、逆に壁が動けば俺も動いてしまう。

 「押せ!押し潰せ!」

 五人の盾が俺の前の見えない壁とぶつかり、押される。

 「ヌ ガガ オマエラ……………ジャマ!」

そう言うも五対一では分が悪く、後退させられる。

 いくらそれなりの性能がある武器でも非チート。

 レベルと数の差の暴力で幾らでも押し切られる。


 しかし、人の、否、この時の明日野斗矢の食欲は思考を加速させた。

レベル差、人数差を押し切るだけの最善手を凡人の頭脳で、一瞬で考えた。

 最善手を一瞬で、

 自身の頭が自身のモノで無いかのように。

 思考の途中が吹き飛び、勝手に最善手が出来上がっていた!


「フン!」

俺はその時跳んだ。

 棘付きの盾目掛けて跳んでいった。

 前のめりに、飛び上がり、飛び込んでいった。

 「な…………………!」

 驚く盾持ち達。

 ファイアウォールは自身を中心に固定されたように壁を作る。

 ならば、相手を飛び越えればいい!

 棘の盾を踏み台に、ファイアウォールが守りながら、俺は盾を飛び越えた。

奴等は、俺が空を飛んだように見えただろう。



 パンパンパンパンパン!

 剣を一瞬、銃に変え、後ろに向けて発射する。

 5発。全て命中。

 「ガ」

 「ゴ…………」

「な!」

 「くソ……」

 「こぉ、」


 5人が倒れ、他の連中は怯えた。

 チャンス!その時の、本能に身を任せた俺は善くも悪くも冴えていた。


 『因幡の白兎』


 魔法でもなんでもない。

 ただ、ならず者共の頭の上をファイアウォールを利用して闊歩しただけだ。


 何だか、主人公がどうしてか狂戦士と化すのは………………なんででしょう?

 方向転換しないと不味そうですw

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