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キルユー キルミー!  作者: 星崎咲也
殺し屋の日常
31/50

幕間 その3

 今、ひかるくんは外に出ています。

 急に唐揚げが食べたくなったって言って、コンビニに向かっていきました。

 さて、そろそろまた死んでみることにしますか。

 私は、ルーズリーフとシャーペンを出して机に向かいます。

 ひかるくんに殺害を依頼してから、自分でも死ぬ方法を模索しているのです。

 とはいえ、プロの殺し屋が出来ないことを私に出来るかとなると、それは不可能に近いとしか言えません。

 だって、一般的な方法は研究所での日々を含めて片っ端からやり切っているのですから。

 私を隅から隅まで調べていたあの忌々しい彼ら彼女らも、私の身体については仕組みが理解できていなかったみたいですし。

 それに正直なところ、これはひかるくんが帰ってくるまでの暇つぶしのようなものです。

 最近は彼を驚かせたいだけになっています。

 ということで、今日は豆腐の角で頭を打ったようにしてみましょう。

 実際、一般人に音速を超える速度で豆腐を飛ばしたら流石に死ぬんじゃないでしょうか?

 豆腐を音速で飛ばす装置なんて、それを作る方が大変ですし、空中分解するんじゃないかとは思いますが。


 と、設計図を書いたところでアリスさんが扉を開けて出てきました。

 アリスさんが部屋を出るのは、ご不浄の時ぐらいです。本当にメイドなのかと疑うくらい引きこもってます。

 そういえば、アリスさんがこの家に居る理由を聞いたことがありません。

 何でひかるくんの世話(私が見たところ世話をしているのはひかるくんの方だと思うのですが)をしているのか、未だに謎なのです。

 思い切って聞いてみることにしましょうか。

 トイレから出てきたアリスさんに私は詰め寄りました。

「どうしたの急に?」

「あの、アリスさんがひかるくんと一緒に居るのって何か理由があるんですか?」

 面食らったような表情のアリスさんは、少し考えて答えました。

「あるよ、ひどく単純で悲しい理由がね」

 彼女は微笑みました。

 その眼は私に警告しているようでした。

「これ以上聞かない方が良い」

 細めた眼でそんな風に訴えているようでした。

「……そうなんですね」

「大人にはいろいろあるのさ、まだミクっちが知らなくて良いことが」

 ミクっちってどうなんでしょうか…。

「お、また実験でもするのかい?」

 アリスさんは机の上に置いてあったルーズリーフを見て私に聞きました。

「はい、どうしたら豆腐の角で頭を打って死ねるのかを考えていました」

「ミクっち、もう死ぬ気ないんじゃないの?」

 アリスさんの表情は呆れたものに変わりました。

 これだけ、顔をコロコロと変えられるのは羨ましいものです。

「大丈夫さ、大人になるときに色々経験したら表情くらい変わるようになるよ」

「その前に殺して欲しいものですが」

 そういうと、彼女は大きく口を開いて笑いました。

「それは、うちのご主人様次第だね」


 外の廊下を歩く音が聞こえてきました。

「ピッチャー 代わりまして4番、山城アリス」

 ウグイス嬢がどんな感じなのか、聞いたことはありませんが適当に真似してみます。

 私はボウルを構えて座っています。

「ピッチャー、第1球…投げました!」

「ただいまー」

 アリスさんが声を上げながら投球すると同時に後ろのドアが開きました。

「あ…」

 投げたものは私の頭上を越え、ベシャっという音ともに立っていた彼の顔に当たりました。

「だ、大丈夫ですか?」

 私は恐る恐る振り向きました。

 顔に何か当たったのかを彼は確認しました。

そして、

「食べ物を粗末に扱うな!」

 アパート中のカラスと鳩が逃げ出すような大声が辺りに響きました。

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