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キルユー キルミー!  作者: 星崎咲也
殺し屋の日常
23/50

幕間 その2

 4月の始め、春休みの真っ最中である。

 家に帰ると少女が死んでいた。

 いや、この表現は間違っている。

 少女というには彼女は年を取っていて、しかも死んではいない。

 彼女はうつ伏せに倒れていて背中にナイフを何本も刺されているが、僅かに身体が上下していた。

 誤りを正すなら、『家に帰ると女子高生が死んだ振りをしていた』という事になる。

 いや、だとしても。

「一般人なら発狂しているだろうな」

 と言って、俺は死に損ないの女子高生の腋をくすぐった。

「ふふふはは…やめてください、セクハラですよ」

「家に帰って死体を発見させられる方がよっぽどハラスメントだっつーの」

 俺は手を止めて天井を見上げた。

「器用にやってるなぁ」

 上には何かを吊り下げた跡があり、ひもが近くに落ちていることから、恐らくナイフを何かしらの方法で天井に固定し、うつ伏せになってから紐を引いてナイフを落としたのだろう。

 俺は罠を張ることはあまりないので、仕組みはざっとしか分からないがかなり手が込んでいる事は分かった。

「おかしいな、帰る時間は少ししか違わないはずなのに」

 時間をずらして家に帰ると言っても、部活に所属していない俺達は時間を潰す場所も不自由するので、20分から30分程度しかずらせない。

 それぐらい違ったらクラスメイトに勘ぐられることもないだろう。

「ええ、なので急いで準備しました」

「何がしたいんだよ、俺に早く殺して欲しいっていうアピール?」

 頑張って俺も殺す方法を考えているんだけど、全く思いつかないんだよ。

 実際、これだけナイフが刺さっているのに血溜まりが思いの外少ないから、止血がかなり早かったのだろう。

「若干、アリスさんにも手伝ってもらいましたし…」

「アリスさん何で助けたの!?」

 ドアを開けようとしたが内側から鍵がかかっていた。

 声を何度もかけたが、物音ひとつしてない。

 全く、狸寝入りしやがって…


 結局、40分近くかけて、玄関の仕掛けを片付けた。

 終わって居間に戻ると、入れたてのココアが置いてある。

 恐らく、アリスさんが作ってくれたのだろう。

 近くにあるメモには『ごめんなさい、見てたら楽しそうだって思っちゃって』と書いてあった。

 何恥ずかしがっているんだろう。

 面と向かって言いなさい。

「ココアって甘くて冬にはピッタリですよね」

「俺はホットコーヒーの方が好きなんだけどな」

 2人でこたつに入りながら暖かいものを啜るのは至福だ。

 殺し屋でも不死鳥でも、嫌な事は忘れて束の間の幸せに浸れる。

 と言っても、3月よりは暖かくなってきた。もう少しで衣替えもし無ければいけない。

「そういえば、ひかるくんはこの前の進路希望調査ってどうしたんですか?」

「ああ、俺は適当に進学って書いておいたよ」

 2年生の三学期ということもあって、終業式の前には進路を大まかに決めておかなければならない。

 勉強の方はあんまり自信が無いけど、涼輝に手伝ってもらえば成績は上がるだろう。

「未来は?」

「一応、私も進学ですけど…」

 卒業する前に殺してくれませんか?と彼女は言った。

「……」

 だから努力してるって言ってるじゃん。

「進学を目指しているなら勉強を教えても良いですよ」

「そんなに賢いの?」

「自慢ではないんですけど、学年で1桁ぐらいの順位はいつも取ってますよ」

「マジで!?」

 結構人数いるぞ。うちの高校。

「じゃあ、今度新学期のテストを教えてくれ」

「ええ、良いですよ。その代わり」

 行きたい所があるんで一緒に行きませんか?

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