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キルユー キルミー!  作者: 星崎咲也
殺し屋の日常
16/50

幕間 その1

 アパートの4階のドアを開ける、鍵はかかってない。

 「ただい…」

 挨拶をすると同時に視線が上の方に引っ張られる。

 何処にあったのか分からない突っ張り棒には紐の先の方がきつく縛り付けられており、紐のもう1つの先は円状になっている。

 その円の中には頭が突っ込んでおり、足は宙ぶらりんになっている。

 ああ、これはどう見ても『首吊り自殺』だ。

 やっている人が彼女じゃなければ、だが。

 「おかえりなさいです」

 「何やってるの?」

 声に反応したのか未来は顔を上げる。

 なんで首が絞められているのに、こんなに血流が良さそうなんだ。

 青白い肌は元々なのだが、全然辛そうに見えない。

 「いや、少しは苦しいです」

 「なら尚更なんでやってるの?」

 本当に意味が分からない。

 取り敢えず、近くに放ってあった椅子を持ってきて未来の足元に置いた。

 首に掛かった輪っかを外して未来は、ストンと椅子に座った。

 「…」

 「…」

 いや何なんだよ、この沈黙の時間は。

 未来は俺を無表情でじっと見つめている。

 遂に耐えきれなくて目を逸らした。

 人の心を読むのは割と得意な方だが、彼女の意思は本当にわからない。

 「家に帰ってきたあと、自分を殺す方法を考えていまして…」

 彼女は呟いた。

 「私、自分自身のこの特殊体質について考えてみたんですけど、傷口を塞いだり毒に順応していくみたいに、致命傷を取り除くよう作用するみたいなんですよね」

 そうか、一口に『不死』と言っても、どのような力なのかはあまり深く考えていなかった。

 というより、俺自身がそんな超能力を持った人に出会ったことなんてないから、まだまだ情報不足である。

 「なので、一気に死に至る殺し方ではなく、永続的に殺され続ける方法なら私も死ねるのかもしれないと考えて、こんなことをしたのです」

 「ああ、それで『絞殺』をやってみたってわけか」

 「はい、でも最初はどんどん苦しくなっていくのですが、喉以外の所から呼吸をしているような感じがしてきて、いつまで経っても酸素不足のような症状にはならないのです」

 未来は自分の首を絞める素振りをしながら淡々と話す。

 まるで、実験結果のように。

 いや、これは実験結果そのものなのか。

 自分の身を使った、自分を殺す方法を探る為の。

 「恐らく、皮膚呼吸が異常に作用するようになったんだろうね」

 普通の人間の身体でも皮膚呼吸は常に僅かながら行われている。

 水の中に入る時、少し息苦しく感じるのはその為だ。

 「やっぱりそう上手くはいかないものなんですよね…」

 少しながら未来は悲しそうな顔をした。

 「安心しろ、俺がいつかちゃんと殺せる方法を考えてやるから」

 「はい、期待してます」

 ぺこっと下げた頭はまるで事務的のようでありながら、彼女の精一杯の誠意を表しているようだった。

 「それでもどんな方法があるんでしょうか?」

 「うーん…殺し続けるのは良いアイデアかもしれないな」

 いろんな死に方で殺す、身体が順応しないうちに殺し続けるのはかなりの手間と技術が必要だろう。

 出来ないとは言わないけど。

 「終わりのないのが終わり、それがゴールドエクスペr

 「はい、ストップ」

 それ以上言わないで。

 そして、中途半端なキメ顔と奇妙な立ち方をしないで。

 こいつと居ると、本当に調子が狂ってしまう。

 「相変わらず変な人だな」

 俺は吐き捨てるようにそう言った。

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