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キルユー キルミー!  作者: 星崎咲也
殺し屋の日常
17/50

殺し屋と詐欺師と暴力団 その1

 コツ、コツ、

 靴音が外の廊下に鳴り響く。

 俺は狭い部屋の隅で震えている。

 仕事が終わって家に帰る途中だった。

 何も無かった所から突然、黒い影のような男が現れたんだ。

 しかもあなたを殺しに来ましたなんて言われたから、薄気味悪くてしょうがない。

 俺は一目散に走って、自分の住んでいるマンションに逃げ込む。

 でも、靴音が徐々に近づいている。あの男だろうということが何となくわかった。

 なんでこんな目に遭わないといけないんだ!

 確かに俺は、お天道様の当たるような商売はしていないさ。

 でも、ちゃんと対価は払っているじゃないか。詐欺なんて、ハイリスクハイリターンだ。1歩間違えたら即終了。甘い商売じゃないし、大体において情報を手に入れるための初期投資だって少なくない。楽な仕事じゃないんだ。

 それに、

 「騙される方が悪い ですか?」

 扉の前で声がした。

 数秒後、鍵が開きガチャという音とともにあの男が入ってきた。

 なんなんだよこいつは!

 「く、来るな!」

 「分かりました、じゃあこの距離でやりましょうか」

 そう言うと男は左から拳銃を取り出し、俺に向けた。

 「嘘だろ、やめてくれ!」

 「残念ながらそれは出来ません、こっちも仕事なんで」

 「し、仕事!?」

 何?こいつは殺し屋なのか!?

 こんな現代にそんな職業が存在していいのかよ!


 「お願いだ、頼む!金なら払うから」

 「そういう訳にも行かないのです、依頼は受けた以上遂行しなければなりませんから」

 どんどん血の気が引いていくのがわかる。

 「それではそろそろ殺させていただきます」

 「う、うぅ」

 俺は涙が出てきた、なんで殺されなきゃいけないんだ。

 しかも、誰かが俺を殺すようこいつに依頼したって訳かよ。

 そんなに恨まれる事なのか、ちっぽけな詐欺じゃねーか。

 「あ、そうだ」

 男は何かを思い出したかのように呟いた。

 「騙される方も悪いですけど、騙す方がもっと悪いに決まってるじゃないですか」


 完全に脈が消えていくのを確認しながら、俺は部屋を出る。

 鍵は彼が持っていたのを拝借し、掛けておいたから密室殺人の完成だ。

 まあ、気配は限りなく消してあるので目撃者もないし、防犯カメラにも映らないよう死角を歩いてきたから大丈夫だろう。

 「終わったんですか?」

 「ああ」

 マンションを出ると、白い少女が俺を待っていた。

 「それにしても意外と慎重なんですね」

 「一応バレたら不味いからな、警察は関わると厄介だから」

 白い彼女 大堰川未来おおいがわみくは感心したように声を出した。

 「ちゃんと一流の殺し屋しているんですね」

 「本当に舐めてるのか」

 これでも稀代の殺し屋、死神のライト様なんだぞ。

 …自分で言ってて恥ずかしいな。

 「そういや、今回の依頼はなんだったんですか?」

 「詐欺グループの抹殺だよ、詳しくは家に帰ってから話すから」

 3月の半ば、まだまだ寒い夜は続く。

 そろそろ身体の芯が冷えきってくるので俺たちは早歩きで家に戻った。

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