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煌天の蒼月 第2部  作者: 天空朱雀
第2章 訪れる災厄
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第14話

「おいおい何か『ころしてでもうばいとる』みたいになってんぞそれ主人公サイドの行動としてはまずいだろ?」


「ンな事言ったってしょーがねーだろ!? ぼやぼやしてたらアイツに逃げられちまうぞ!」


「まぁそりゃそうなんだけど…」


ポリポリ頭を掻きつつそうツッコミを入れるキーゼであるが、ユトナと言えば猪突猛進な性格が災いしてまるで聞く耳持たないようだ。

一方、そんな2人のやり取りを冷淡な眼差しで見下ろしていた人影がポツリと一言。


「お前達が何をしようと…こちらにも目的があるのでな。これは渡さない」


そう言い放つや否や、人影はすっと静かに片手を上げる。

すると、2人の間に取り巻く空気に不意に熱を帯び始めたのを感じた。

反射的にその場から離れる2人。

それとほぼ時を同じくして、先程まで2人が居た場所が爆発した。


「……っ!」


巻き起こる白煙、焦げ臭い匂い、そして皮膚を焼く熱風。

直撃は免れたものの、このままでは無傷で済まないと判断したキーゼは武器に埋め込まれている魔耀石に己の魔力を込める。

刹那、キーゼを中心として竜巻が発生し、それは爆風を一瞬のうちに吹き飛ばしてしまった。


「ふぅ、危なかったぜ…ありがとな、キーゼ」


「ほらほらもっとおれを称えていいんだぜ~? …ってのは置いといて、まさか向こうから仕掛けてくるとはな。しょーがねぇ、交渉決裂、か」


やれやれ、と心底面倒臭そうに溜息を零してから、背中に担いでいる獲物に手をやるキーゼ。

だが、それより先にユトナは既に動き出していた。


地面を強く蹴り上げ弾丸のように駆け出し、そのままの勢いを殺さずに人影の懐へと飛び込む。

驚いて一瞬怯んだ事により生まれた隙を、ユトナは見逃さなかった。


勿論殺し合いに来た訳ではないので、とりあえず手にしている宝玉を奪取出来ればそれでいい。

一瞬でそれを判断したユトナは球体を手にした腕目掛けて剣を振るう。


「…チッ、入りが浅かったか…」


悔しげな舌打ちと共に確かな手応えが無かった事を確認するユトナ。

どうやら人影が咄嗟に身構えた為に皮膚を軽く切り裂いただけで終わったようだ。


一方、人影と言えば大事そうに球体を抱えている。

それ程までにその球体を奪われたくは無いのだろう。


再び人影が片手を上げると、今度は一同の周りの空間を小さな光の粒のようなものがゆったりと漂い始める。

光の粒の正体が分からず、ユトナは眉をしかめながらもそれに触れようと手を伸ばした。

とりあえず目にしたものに興味を惹かれて仕方ない、ユトナの向こう見ずな性格ならではであろう。


「ん? 何だよコレ? 見た所殺傷能力とかがありそうには見えねーけどな…」


ユトナの手がそれに触れそうになった刹那、不意にキーゼから焦りを孕んだ声が放たれる。


「止めとけ何かやべぇ感じするぞソレ!」


咄嗟にユトナの腕を引いて光の粒から無理矢理引き剥がすキーゼ。

…と当時に人影が手にした宝玉を翳せば、それから怪しげな光が放たれる。


──刹那。

初めは小さな光の粒のたった一つが爆発した、それだけなのに。

一つが爆発した事によりみっちりと密集していた他の光の粒にも次々誘爆していき、あっという間に辺りは爆炎に包まれていく。


全ての光の粒が爆発してから数十秒、漸く辺りに撒き上がっていた白煙が収まり視界が開けてくる。

爆音に紛れて、2人の咳き込む声が聞こえてきた。


「げほっ…ったく、とんでもねー事しやがるなアイツ」


「それな。いてて…一応風の壁作って直撃は免れたけど…あちこち火傷だらけだしマジ最悪だな。そっちは大丈夫か?」


「オレも火傷でヒリヒリするけどンなモン気合で何とかすっからへーきだ」


「おぅふ、根性論かよ。さーてと、問題のアイツはどうなった……アレ?」


キーゼが咄嗟に作り出した風の防御壁のお陰で何とか直撃は免れたものの、2人共身体の至る所に火傷を負い見るも痛々しい姿。

顔についた煤を手で拭いつつ、例の人影の姿を探してあちこちを見渡すものの、すでにそこに姿は無く。

此処で漸く人影の真意に気づいたらしいキーゼは悔しそうな声を上げた。


「マジかよ…アイツ逃げやがったぞ。さっきあんな派手な力使ったのも、おれ達の目くらましする為か」


「はぁ? あんの野郎卑怯な真似使いやがって! オレ達もさっさと後追おうぜ!」


「そりゃ当然なんだけど…そういやあの球体、爆発の威力上げてたようにも見えたな。ガチでヤバいだろ、アレ」


「だからそこら辺も含めてまるっとアイツに吐かせりゃ済むだろ。とっとと行くぜ!」


「……はぁ、時折あんたの行き当たりばったり思考ゼロ当たって砕けろ精神が羨ましくなるよ…ほんのちょっとだけだけどな」


「ほら、キーゼ何ボサッとしてんだよ早く行くぞ!」


「へいへい」


ユトナにとって球体がどんな効果をもたらしたのか、そもそもあの球体は一体何なのか…そんな事は元より興味が無いらしい。

清々しいくらい前しか見えていないユトナに、嫌味半分素直な感想半分の独り言を零していたキーゼであったが、ユトナに促され慌てて彼女の後を追った。

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