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sideフレデリック②

ソフィの様子を見たい?

何故?その意図は?

こちらの醜態を見て嘲笑いたいのか?

いや、レティシアはただの馬鹿な女だ。

そんなことは考えているまい。

では何故?

いつもの彼女ならソフィの泣き声なんて気にせず、ただ私との時間を阿呆みたいに喜んでいるだけだろうに。


───…まぁ、いい。

能天気女の適当な思いつきだろう。

考えるだけ無駄だ。

特に何らかの支障があるわけでなはないし。




そうしてレティシアと共にソフィの部屋へと向かったわけだが、室内は私が思っていたよりも悲惨な状況だった。

ソフィが暴れ回って物を投げ散らかしていたのだろう。

物があちこちに散乱していて、壊れている物も多々あった。

怪我をしている侍女もいるかもしれないな。

後でフォローしておかないと。


惨状を見ながらそんなことを思っていると、私の横を何かが横切った。

レティシアがソフィに駆け寄ったのだ。

驚くべきはその後だった。

あれだけ泣いて暴れていたソフィが、落ち着いたのだ。

いとも簡単に。

まるで催眠術にでもかかったかのように。


これは一体どういうことだろう。

同じレベルの人間同士同調している…わけではなさそうだ。

彼女はどうやってソフィを鎮めたんだ?

会話の内容も特筆するようなものではなかったのに。

ただ、何と言うべきか。

漠然とした表現を使うならば、理由は分からないが暖かみを感じた対応だったような気はする。

それが言葉の内容なのか、表情なのか、態度なのか、はたまたレティシアの人間性そのものによるものなのかは分からないが。


───…


ソフィはすっかり彼女に懐いていた。

彼女が傍にいれば、あれだけ嫌がっていた勉学にも意欲を取り戻す程に。

そしてソフィを励ますレティシアの傍に、私もいた。

妹の勉学になんて興味はないし、何かしら理由をつけて私だけお茶会に戻ることはできた。

けれど、気になったのだ。

レティシアがソフィをすんなり落ち着かせたカラクリが。

つまらないお茶会に戻るより、ここでそのカラクリを解明すべく彼女の傍にいる方が、余程有意義な時間になると考えたのだった。




こうして読書をしている振りをしながら彼女を冷静に観察してみると、改めて思う。

やはり彼女はいつものレティシアではないな、と。

いつも私がレティシアに感じるのは能天気さと馬鹿丸出しなご令嬢だということ。

そして、例え周りがどんな状況でも目をハートにして私を見つめてくる鬱陶しい女だということ。

しかし、今日の彼女は違う。

私に対して何処かおどおどとしているし、私に夢中な"振り”をしているように感じる。

現にレティシアはソフィの部屋に入ってから、私の方を殆ど見ていない。

私を見ている時も、特に私に媚びるような気持ち悪い目付きはしていない。

やはり恐らく、今の彼女は私に夢中というわけではないのだろう。

その方がこちらとしても万々歳だが。


しかし、当のレティシア…。

一応ソフィを励ましてはいるが、何処か集中していない。

4歳の相手を長時間させ過ぎて疲れさせてしまったか?

流石にもう切り上げさせるか。

そう思った矢先のことだった。

ソフィが丁度、文字書きを終えた。

満足気な顔をしているが、ソフィの手袋は汚れてしまっていた。

「おやソフィ、手袋が汚れているよ。新しい物に替えなさい」




手袋を脱がせた後ふとレティシアに目をやると、彼女は固まっていた。

そして何かをじっと見ていた。

私は彼女の視線の先を辿る。

…ああ、ソフィの痣が物珍しいのか。

「コレが気になる?珍しいでしょう?」

「い、いえ…とても…可愛らしい形だと思って…」

顔面蒼白している彼女は、全然そう思っている様子ではないが。


一体どうした?

体調でも悪いのか?


気遣いの言葉を掛けようとしたその時、彼女は手を震わせながらソフィへと手を伸ばした。

"何か”を確認しているようだった。

そして…。




───突然、わんわんと泣き出したのだった。


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