帰宅後のあれこれ
柳田達は研究室まで戻ってきた。
入口のドアを開けるなりソファにダイブしてそのまま横になるカリン。
カリン:「ふわぁ〜、帰ってきたぁ、今日はホントに大変だったなぁ」
勘兵衛:「確かにな、まさかあんな悪霊が現れるとはな」
古橋:「ホントですよね、僕も生きた心地がしませんでしたよ」
向かいのソファに勘兵衛と古橋が並んで座る。
柳田は翔太と優太の入ったタマシーキャッチャーをテーブルに置くと
自分の作業机に移動した。
柳田:「お前は怯えて隠れていただけだろう」
柳田がいつも通り古橋に辛辣な言葉を浴びせる。
古橋:「そんなことないですよ、ちゃんと皆さんを現場までご案内しましたし
それなりにお役に立ちましたよ」
必死の抵抗を試みる古橋。
柳田:「それを自分で言っちゃうところが残念なんだよな」
柳田がとどめの一言を叩き込む。
古橋:「・・・・・」
古橋沈黙、勝負あり。
柳田:「それでお前、今日は上手く胡麻化したが
またあの連中がお化け屋敷に現れたら
何て弁解するつもりなんだ?」
古橋:「大丈夫ですよ、先輩だってすぐには来ないって
言ってたじゃないですか」
柳田:「だがいずれ来ると思うぞ、あそこにはまだ小道だっているんだからな
野風とかいうやつも小道が自分の片割れだと気付いているだろうし」
古橋:「だから、それはそうなったとき考えますって」
柳田:「言っておくが、私はもう助けないからな」
古橋:「えー、乗り掛かった船なんだから最後まで面倒見て下さいよー」
柳田:「甘えるな、それにお前この依頼を受ける前に私に言ったこと
忘れてないよな」
古橋:「え、えーと、僕何か言いましたっけ? 記憶にないんですけど」
柳田:「ふ・ざ・け・る・な! お前、私の仕事を手伝うって言ったよな
約束通りこき使ってやるから覚悟しておけよ!」
古橋が下を向いて柳田に聞こえないよう小声で
古橋:『クッソー、憶えてたかー
色々あったからもう忘れてると思ったのにー』
柳田:「なんか言ったか?」
古橋:「いえ、何も」
カリン:「あ! でもセンセー、それよりすごく大事なことを忘れてるよ」
柳田:「何だ? 大事なことって」
カリン:「観覧車、 依頼が片付いたら乗せてくれるって
言ってたでしょ、結局乗らなかったじゃない!」
柳田:「依頼が”早く”終わったらと言ったんだ
予想外の出来事で長引いたんだから乗れなくても仕方ないだろ」
カリン:「えー、すごく楽しみにしてたのにー
あいつらがまた来るんならさ
追っ払った後に今度こそ乗せてよ」
柳田:「だから、もう手伝わんと言ってるだろ」
勘兵衛:「しかし、翔太と優太を連れて来てしまったからな
万が一ここを嗅ぎつけられたら
関わらないわけにはいかんだろう」
柳田:「確かに、そういう事態はあり得るな
小道を捕らえてこの場所を吐かせることも考えられるし」
勘兵衛:「そうだな、あいつはそう簡単には捕まらんだろうが
他にも俺達の霊力の残滓を辿って来る可能性も
無いとは言えんな」
柳田:「一応最悪の事態には備えておいた方が良いかもな」
小道:「我がなんだって?」
突然空間に歪みが現れ、中から小道が現れた。
カリン:「え!?」
古橋:「あっ!」
勘兵衛;「な!」
柳田:「!! まさか小道か! 何でここにいる!?」
小道:「いやぁ、翔太と優太に渡したお札があるじゃろう?
久しぶりなのでな、ちゃんと機能するか試してみたんじゃ
どうやら上手く転移できたようじゃの」
柳田:「え、あれは翔太か優太が呼んだとき、それに応えて
あんたが転移して来るっていう話だったんじゃ・・・」
小道:「いや、別にそんなこと決まっておらんよ
我が来たいと思えばいつでも自由に来れるぞ」
柳田:「だったら先に言っといてくれよ、ビックリしたじゃないか
・・・でもそうか、だからあのとき一緒に来るかと誘ったのに
断ったんだな、好きな時にいつでも来れるから」
小道:「そうそう、あの場所も居心地良いからの
ここと自由に瞬間移動出来た方が便利じゃろ?」
柳田:「ということは、お化け屋敷の方にもお札がある訳か」
小道:「いや、あっちには我の紋を刻んでおいた
お札だと誰かに捨てられてしまうかもしれんからの」
柳田:「紋って、まさか人目に付くところじゃないだろうな
見つかったらまた心霊現象だとか言って騒がれかねないぞ」
小道:「大丈夫じゃ、その辺りは抜かりない
ちゃんと見つけにくい場所に刻んでおる」
柳田:「・・・まぁ、それなら良いか・・・いや良くないけど
とにかく騒ぎだけは起こすなよ」
小道:「分かっておるわ、それより翔太と優太はどうしたんじゃ?
せっかく我が遊びに来たというのに姿が見えん様じゃが」
柳田:「遊びにって・・・ついさっきまで一緒にお化け屋敷に居ただろう
まだ2時間も経っていないぞ」
小道:「そうなんじゃが、二人がどんな姿になったのか気になってのう
我慢できずに来てしもうたんじゃ」
カリン:「二人共まだタマシーキャッチャーの中で眠ってるよ」
小道:「なんじゃ、まだ新しい身体に移ってはおらんかったか」
柳田:「あいにくすぐに使える子供の身体は無くてな
大急ぎで作るつもりだが、それまで暫定的に
使える身体を見繕っておかないとな」
そう言うと柳田は奥の工作室に入っていく。
柳田:「えーと、今使えそうなのは・・・」
数分後、何かを抱えて柳田が工作室から戻ってきた。
柳田:「とりあえず、すぐに動きそうなのは
こんなのしか無かった」
そう言いながら柳田が床の上に並べたのは
一つがカリンと同じくらいの大きさの猫型のロボットで
もう一つはロボットと聞けば誰の頭にもすぐに思い浮かぶ
テンプレート的なイメージ通りの四角い頭のブリキのロボットだった。
古橋:「先輩、これは流石に・・・・」
小道;「・・・可愛くないのう」
カリン:「猫はカワイイよ、猫は」
勘兵衛:「・・・・俺、この身体で本当に良かった」
並べられた身体に対するみんなの反応は否定的だ。
柳田:「なんだよみんな、仕方ないだろ他に無かったんだから
新しく作る身体が出来るまで
ほんの4、5日の間なんだから
コレで充分じゃないか」
小道:「・・・・まぁ、他に無いなら致し方ないのかの」
カリン:「二人がどんな反応するのか・・・」
柳田:「あー、もーうるさいな!
じゃあ、早速二人をこの身体にセットするぞ」
古橋:「誰をどっちに入れるんです?」
勘兵衛:「そういえば、優太の奴は
ロボットに強い関心を示していたな」
柳田:「そうか、じゃあ優太はこのブリキ君にセットするか」
カリン:「ブリキ君・・・・出た、センセーの最悪ネーミング」
柳田:「カリン、うるさいぞ」
小道:「では翔太は猫ということじゃな・・・
なんか嫌がりそうな気がするのう」
柳田:「そうか、じゃあゴネられないように
寝ている内にセットしてしまうとするか」
勘兵衛:「なんか、少し心が痛むな・・・」
柳田は猫型ロボットの背中を開くとマジックでカタカナの”シ”と書いてある
翔太の霊魂が入っているタマシーキャッチャーをセットした。
柳田:「翔太はこれで良し、じゃあ次は優太だな」
続いてブリキロボット(通称ブリキ君)の胸のパネルを開いて
同じくマジックで”ユ”と記してある優太の入ったタマシーキャッチャーを
セットする。
柳田:「よし、これで二人共セット完了だ、じゃあ起動させるぞ」
柳田が起動スイッチを入れると2体のロボットがゆっくりと動き出す。




