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必要なのは男手!!!そしてコケッコよ、是非とも活躍してくれぇ!!!と、今から願おう



小鳥の囀りと共に優雅に起き上がる貴族令嬢の朝とは、とても優雅で洗礼され、欠伸ですら高貴な雰囲気醸し出し...



って、そ・ん・な・わ・け・あるかーい!!!


どんな人間だろうと起きたばかりの口臭は臭いんだよ!雑菌ウヨウヨ居るんだよ!



けっ、ごめんなさいね、夢も希望も無くて!



でも、こちとら朝から不機嫌なんだ!



夢見悪く、借金取りに追われ、逃げ回る悪夢を見たのさ


そして極めつけは



「巫山戯るんじゃないわよっ!!!」


このキンキン声



朝から大きな声で叫ぶのは一人しか居ない



横で、かわゆい寝顔のユーリたんが顰めっ面してるじゃないかい!


ああ、こんな顰めっ面もかわゆい



が、あの人の声は朝から聞きたいモノじゃない



ああ、こんなに空は清々しく、空気はマイナスイオンを放出してるのに、あの人はと言えば



「なぜ私に言わず勝手にっ!」


何かあったらしい継母の声はマイナスイオン所かプラスイオンを吐き出す


そう、それはまるで掃除機のバックフィルターから吹き出るハウスダスト



ああ、朝から聞いて居たくないけれど、ユーリたんの神聖な眠りを妨げるのは遺憾だ



私はノッソリと起き上がりフゥーと溜め息を吐き出すとモコモコの上着を身体に覆う



昼間はそうでも無いが朝方と夜は頗る冷え込むのだ



後一月もせず華の季節がやって来るまでの辛抱だが、この寒さは幼い身体に毒だ



あ、因みに華の季節と言うのは地球で言う所の春だ


華の季節になると雪は一気に溶け、瞬く間に色とりどりの花が咲き誇る



ゆっくりと雪が溶け、ゆっくりと穏やかな気候になるのでは無く、この世界の四季と言うモノは一気に変わるのだ


そう、それはまるでマジックでも使った様に



因みにこの世界の四季は華の季節と雪の季節の二種類だ


お察し通り雪の季節とは冬だ



少し補足するなら、この世界は華の季節が長い地方と雪の季節が長い地方で別れてる



ウチの領地は雪の季節のど真ん中だ



華の季節が長い地方はウチの領地とは正反対に位置する


そしてその丁度中間地点が父が仕事に出掛ける王都がある場所


更に更に付け加えるなら、華の精と雪の精と言うモノ(精霊)が居て、その者達が交互に四季を巡らせると言う、何とも不思議な異世界!



その精霊が見えるのは一握りの人物で、彼等は神殿で毎日祈りを捧げてると聞く



そう言うのも、その加護を受けた人達にあった事が無いからだ



その見える人達は産まれて直ぐに分かると言う



生まれた瞬間、精霊の加護が降り注ぐとリリィに教わった


華の精の加護ならば花が空からその者に降り注ぎ、その存在を教え、雪の精の加護なら空から綿雪が降り注ぐと聞く


ああ、一度で良いから見てみたい



え、どうせ主人公のアンタにも加護があるんでしょ?しかも二つとか言うチート持ちでしょ?



いや、残念な事に、全く、コレっぽっちも加護は持ってない



いやぁ、そんな加護を持ってたら今頃此処に居ないって



神殿で保護され、今頃祈りを捧げてるって!



はっ、良く考えれば加護など持って無くて良かったじゃん!



だってかわゆいユーリたんとお別れだよ!?


そんな事っ...姉様は耐えられないっ



ああ、危ない危ない!



何はともあれ、加護が無くて良かったぁと一安心し汗を拭う



ホッと胸を撫で下ろした瞬間ガシャーンと何かが破壊された音が響き渡る



そして聞こえくる継母の雄叫び



「っ...クビよ!クビっ!!!今日限り此処を出てい来なさいっ」



行きたくないけど行かねばと、私は足を踏み出す



だって明らかに一戦やり合ってるでしょ



まぁコレはいつもの事で、誰とやり合ってるのか検討は付いてるんだけどね



私はソッと扉を開け廊下を真っ直ぐに進む


ああ、息を吐き出す度に真っ白な空気が飛び出す



防寒出来てない耳と顔と手が少し痛い



耳当てと手袋を忘れた事に気付くも目的地は目と鼻の先で諦める事にした私だった



何時もの様に扉を開けひょっこり中を覗くと


予想通り人物が二人居た



その一人の足元には割れた陶器の欠片


この光景は何時もの事で大して驚きはしない



「ですから、ワタクシは無理だと申し上げました。それにクビとは承知しかねます。何度も申し上げておりますが、アンネリア様のお言葉に従いは致しません。ワタクシの雇い主は旦那様でございます」


「っ、ああ言えばこう言う!私はこの家を取り仕切る公爵夫人なのよ!」


「公爵夫人だろうとなかろうとワタクシの雇い主は旦那様です。旦那様が辞めろと言われない限り死ぬまで働く所存です。それに何度も申し上げましたが旦那様は既に王都へ出発なされました。それを連れ戻せとは一介のメイドには出来かねます」



「なんでよっ!昨日漸くお戻りになられたばかりで、ろくに話しもしないばかりか、あの子供に真っ先に会いに行かれるし、最近では、公式な場でさえ滅多お会い出来ないのよっ!」


「何も旦那様にお会いしなくともアンネリア様には数多くの殿方がいらっしゃると思いますが?それとも、寂しいと仰るのでござますか?慰めて下さる愛人の殿方の元へ行かれては如何でしょ?」



「何ですって!一介のメイド風情が調子に乗るんじゃないわ!ルーク様に今すぐお伝えしてクビにして頂くわっ」


リリィは無表情で「ええどうぞご勝手に」と腰を折る



継母が所詮、訴えた所でどうにもならないとリリィも私も分かってるのだ


昔居たメイド達も言うなればこの継母の癇癪や我儘に付き合いきれず辞めて行ったとも言える



私は息を小さく吐き出し口を開く



「リリィ...」




両手を口の前に持って行き暖かな息で掌を温める様に吹き掛ける



私の声に今気付いたのか、二人が振り返る



どんなだけ集中して言い合ってたのか分からないが最近腰が痛いと呟いてたリリィには何と非情な仕打ちだろうか



「まぁまぁお嬢様!そんな姿でっ!」


リリィがご老体とは言えない速さで飛んで来る


そして剥き出しの私の手の平をそのシワシワの小さな手で温める様に包んでくる


私はニッコリ笑いリリィに話し掛ける



「リリィ、お腹空いたわ」


恥ずかしそうに照れ笑うと途端に顔を崩すリリィ



「それは早く朝食をお持ちしなくては」


「ちょっと!話しはまだ終わってないわっ!」


しかし、罵倒し足りないのか継母がツカツカとやって来る



その出で立ちは昨日と変わらず派手で露出が激しい



この寒い季節そんな格好が出来るのも恐らく高い金を払い華の加護を買ってるのだろう



一般貴族だったら痛くも痒くも無い金額だが今の我が家では痛い出費だ



因みに華の加護とは様々な恩恵が有るが、母が見に纏ってる華の加護は温度調節か何かだろう



全くも羨ましくないと言ったら嘘になるが、今はそんな余裕すら無いから仕方ない



まず、金を稼いだら、ユーリたんに華の加護を買ってやろうと思う



子供と言うのは直ぐに風邪を引く



かわゆいユーリたんが風邪で倒れでもしたら大変だ!



この世界、子供が育つ確率が極端に低い


五歳まで生きられる子供が少なく、王都ではその原因解明に精を出してるらしい



私は一日も早く解明される事を望む!



私は現在五歳で、この雪の季節を抜けると一安心だと思う


だが弟のユーリはまだ三歳


まだまだ余談が許さい歳頃だ



「ちょっと!聞いてるのっ!?」


目と眉を釣り上げ、真っ赤な唇を大きく開き、継母が叫ぶ


「アンネリア様、ワタクシに話等はこれ以上ございません。これ以上は仕事に支障が御座います。この事を旦那様にお伝えしても宜しければどうぞご自由に言ってくださいませ」


「っ、もういいわよっ!」


キッとリリィを睨み付け、最後は肩でぶつかり出て行った継母


リリィはハァーッと盛大な溜め息を吐き出し向き直る



基本無表情のリリィは年々頭が痛いと呟いてるのを知ってる私



どうしたのかリリィへ聞くと、何時もの事で朝食が気に入らないから始まって父親が王都へ帰った事を知り癇癪を起こしたらしい



「さ、今日は一段と寒うございますから暖かくして朝食を頂きましようか」


リリィは何事も無かった様に割れた陶器を一瞬で片ずける


そして、かじかむ私の掌を痛ましそうに見つめるリリィは私の冷たい手を少しでも温める様に握り締め先を急ぐ




その前にお召し換えと朝の支度を致しましょうと言われ部屋へと戻ると、リリィは暖かなお湯を持って来て直ぐ様、私の冷たい手をお湯に浸す



まだ夢の中に居るユーリたんをその後優しく起こし、リリィに世話をされながら朝食を取った私達姉弟



父親はどうやら忙しいらしく、昨日は漸く時間を作って私達の顔を見に来た様だった



継母はどうせ愛人の所でも行ってるのだろうと気にも止めない私



そして今日の予定だが、前々から約束してたユーリとのピクニックだ


コックを雇う金が無いから、リリィと私で作った手作りの弁当を持ってのピクニックと言う名の領地視察


公爵令嬢が料理など思うなかれ!


コックを雇う金が無いから仕方ない!し、前世で節約料理は大得意だった!



十人家族の長女として産まれれば家事に育児に掃除洗濯、etc...得意にもなる!


ああ、所帯染みた五歳児など出来ればなりたくなかった!


出来ればリカちゃん人形で何も考えず遊びたかった!


でも、そんな所帯染みた五歳児でも、出来ない事はいっぱいある!



まずこの小さく、ひ弱な身体は力も無く←当たり前、


上手く力仕事が出来ないのだ



だから早目に男手が必要だと思う


ああ、我が家にはリリィの他に庭師のジョンじぃが居るんだがリリィより歳下の60代にも関わらず、ヨレヨレのヨボヨボだ


子供の目で見てもとても力仕事を任せられないと思う


ジョンじぃも古くから居る一人で、家族の一員だと言っておく




リリィとキッチンで節約弁当を作ってると、ユーリがやって来て、羨望の眼差しを送ってくる



「ユーリもやってみる?」


試しに卵を混ぜる役を与えたら嬉しそうに混ぜるユーリたん



そのユーリたんを見ながらハァハァと悶えたのは言うまでもない



いや、ね、ユーリたんが一生懸命ボウルを持って混ぜる姿は可愛さを通り越して地面をゴロゴロと転げる位の悶絶モノだよ?



変態と言うなかれ!弟が可愛すぎるからいけないんだ



火の扱いはまださせて貰えず、野菜を洗ったりしてユーリたんと弁当作りを楽しんだ



ああ、料理上手なイケメンに育つ事を夢見て今日から少しづつユーリたんを仕込んで行こうと思った瞬間



ぐふふ、料理上手な男性はポイント高いよね!



そして卵は雪の季節にも強いコケッコと言う種類の鶏が産んだ卵だ


栄養豊富で、雪の季節を乗り切るのに欠かせない存在だ!



主に庭師のジョンジィが世話をしてくれてて、ジョンジィが世話するコケッコはどれも元気いっぱいで丸々と太ってる



そのコケッコが美味しそうだと思うけれど、生憎コケッコの肉は固く苦い!ただ卵は別で食べれない事は無い



食用に出来る鶏は別に居るが、雪の季節に弱い品種で我が領地では育たないのだ


栄養豊富なコケッコの卵だが難点は少し臭みが鼻に着く


その為あまり人気が無い


だから大きな収入にはならない



ああ、なんと残念なコケッコ



そのコケッコが産んだ卵は領地運営にも貢献してる貴重な存在だ


まぁ、あの継母は何時も文句を言うけどね


臭いだの、毎日同じ卵料理だの!



卵はな!卵はなぁ!色んな料理に使える優れものなんだぞ!まぁそりゃ少し臭みが有るけど、殻だって色々な活用法が有るんだぞ!



有るんだ...ぞ



そうだ!



そう!卵の殻は色々なモノに使える



食器洗いの研磨剤(傷付けたくない物は別)にだって使えるし、ガラス食器の曇り落としにも使えるんだぞ!それに洗濯物にも使えるし、何より



何よりな!畑に撒ける!そう、細かーくして畑のカルシウム補給に持ってこいじゃないか!!!



そして一番良い事は...酸性の土を中和してくれる!正に過ぎれもの!!!コケッコの卵



そう、ウチの領地は酸性の土なのだ



水捌けも悪くオマケに酸性の土


でも、水捌けは後で考えるとして、酸性の土はコケッコの卵で何とかなるんじゃない?


今現段階でコケッコの卵の殻は棄てて、有効活用はしてない



今、我が領地ではコケッコを大量に...



そう、それはそれは大量に飼育している



殆ど売れないから自分達で処理しているのが現状だけどね!


殆どのコケッコの卵はウチの領地で収穫したものだけどね!



まぁ卵の殻が上手く畑を中和させるのは時間と労力が居る


その間にコケッコの卵の臭みを何とかして、固く苦いコケッコの肉を何とかしたらいいんじゃないか?



良し、そうと決まれば、今日の視察を兼ねたピクニックはコケッコを見に行こう!



私はお弁当を籠に入れながらガッツポーズし、ぐふふと笑う



その姿をユーリたんに見られてるとも気付かず



ありがとうございます。何処かおかしな箇所は教えて下さると助かります。あまり見直しが出来ないので...

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