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触れる罪〜殺人に同行する女〜  作者: 後星/畑中葵
触れる罪

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6/12

極上のプレゼントはあなたのために

日が暮れ、銀座の街が暗くなり始めた頃。

佐々木國則は店の前に立ち、OPENの札をCLOSEに裏返した。


「すみません、佐々木さん」


背後から声がした。振り返ると、茶色いロングコートの男と、黒い帽子を深くかぶった女が立っていた。男の顔に見覚えがあり、佐々木は記憶をたどる。


「あぁ、えーと東雲様ですね」

数か月前に来店した、モデルのような男だった。


「はい。完成した靴を取りに来たんですが、日を改めた方が宜しいですか?」

東雲は相変わらず端正な顔つきをしていたが、以前より鋭い目をしていた。


「いえ、大丈夫ですよ。連絡先が繋がらなくて困っていたので良かったです。どうぞ中へ」

佐々木は扉を開けて案内した。


「お連れ様もどうぞ」


黒い帽子の女に声をかけると、東雲が代わりに答えた。

「あぁ、彼女は人と話すのが苦手でして。外にいたいようです。どうか気を悪くしないでください」

女は小さく会釈をしたが、声は出さなかった。


「そうですか、靴をお持ちしますので、こちらへどうぞ」

佐々木は椅子を指さし、東雲を座らせた。


――昴は店を見渡し、胸を躍らせていた。


「お持ち致しました、こちらになります」

佐々木は靴の入った袋を差し出した。

「確か、ご友人にお渡しされるんでしたよね?」

「えぇ。喜んでくれますかね」

東雲は白い歯を見せて笑った。

「自分のために選んでくれたっていう気持ちが嬉しいんですよ」

佐々木も笑顔で返す。


「そうですか」

東雲は左手で靴を受け取った。


「このプレゼントを渡す、“友達”の話をしても?」


「えぇ、是非」


「知り合ったきっかけは...そう、互いの“芸術”が交じり合ったから」


「ほう」

面白い言い方をするな、と佐々木は思った。


「名は確か...」


東雲は考えるふりをしてから、佐々木をまっすぐ見た。



「佐々木國則」


はっきりとした口調だった。


「はい...?」


意味が分からず、佐々木は東雲を見つめた。

東雲の瞳は凍るように冷たかった。


「これは、私からあなたへのプレゼントです。佐々木國則さん...」


東雲は高ぶる声を抑えるように、ゆっくりとそう言った。右ポケットから銃を取り出し、佐々木に銃口を向けた。



「このままだと死にますが、私に命乞いでもしますか?」


東雲はひどくこの状況を楽しんでいた。

佐々木が声を出そうとした瞬間―

彼はいつの間にか地面に倒れていた。

遠くで聞こえる男の高笑いも、意識が薄れるにつれ遠ざかっていった。

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