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触れる罪〜殺人に同行する女〜  作者: 後星/畑中葵
触れる罪

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1/12

殺しを楽しむ男と殺しに付き添う女

「はぁ、はぁ...頼む、待ってくれ、俺は何も...!」


夜の非常階段に、荒い息と足音だけが響きわたる。

錆びついた赤い階段を、前島実は必死に駆け上がる。彼の白かったジャージも、土汚れで茶色くなり、靴のブーツも先についた泥汚れが目立つ。


「前島さん?もうそちらは行き止まりですよ」


冷ややかに愉悦を含んだ声が下から追いかけてくる。

茶色いロングコートを着た霧島昴が、ゆっくりと階段を上ってきていた。


前島は階段を登りきり、屋上へと続く錆びたドアに飛びつく。

だが、ドアノブは固く閉ざされている。


「おい開けよ......なんで開かねぇんだよ......くそっ!」


必死に何度もドアノブを回すが、ドアはびくともしない。


「だから言ったじゃないですか、そちらは行き止まりだと」


昴がゆっくりと近づいてくる。右手に銃を持ち、左手はコートのポケットに手を入れている。


「待て!俺は何もしてない、何も知らない!頼む、待ってくれ!」前島は扉を背に、必死に叫ぶ。


「あなたの話は聞いてませんよ。僕があなたを殺すと決めた。それだけの事だ」


昴の声は弾んでいた。近くの電球が、彼の微笑んだ白い歯を不気味に照らす。サイレンサー付きの銃口を、前島の額へと近づける。


「さようなら、前島さん」


乾いた銃声が、静かな夜にかすかに響いた。



「終わった?」


昴が駐車場に戻ると、柱の影から茶色く長い髪を束ねたポニーテールの女が静かに現れた。全身黒い服に身を包み、帽子を深く被っている。


「あぁ。“完璧”だよ」


昴はまだ興奮の残る声で答え、彼女のそばに立つ。

女は昴の前に立ち、右手で昴の頬にそっと触れ、じっと見つめた。昴は一度目を閉じ、深く息を吸ってから目を開き、彼女に微笑み返した。女も同じように微笑んだ。


「そう、良かった」


女はゆっくりと手を下した。


「さぁ行こうか、朔良」

昴は落ち着いた声で言い、彼女の腰に手を回した。

朔良はその腕に身を預け、2人は黒いセダンへと歩いて行った。



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