新たなる来客
朝、目が覚めると来客報告があった。
過去形だ。
「今はもういないのか?」
「えぇ、追い返したわよ」
………追い返すって。
それはどうなんだ。
揉め事になりそうだな。
「気にしなくていいわ
あなたも戦争に巻き込まれたいわけじゃないでしょ」
戦争か……。
やってきたのは戦争当事国の人間。
しかもそこに宗教まで絡んできているときた。
そんな地雷をわざわざ踏みに行くようなことはしたくないな。
「なんかね
ここは神の地だから出て行けって言ってきたわ」
神がいるかいないかなんて今更どうでも良いが頑張って開拓している土地から出て行けなんて言われるのは筋違いだ。
「追い出してくれてよかったよ
ありがとう」
宗教を否定するつもりはない。
だがそれを言い分に要求を押し通されるのは困る。
ここはなんとしてでも守りたい。
生涯安心して暮らせるような地を作る。
それを邪魔するものは如何なる相手でも許す気はない。
「大丈夫よ
次来る時は宣戦布告とみなすってちゃんと伝えたから」
そうか。
ちょっと平和から遠ざかった気もするがいいだろう。
厄介者が来るよりマシだ。
まぁそんなことがあったせいだろうか。
街では軍隊を作ることが議論されている。
どんな状態であれ抑止力になることには変わりないからだ。
ただし懸念点もある。
そこに割く人員がまだ確保できていないからだ。
キリジャロから新たに受け入れる人員は農業に従事してもらいたい。
それに港町建設についても残っている。
……こんな状態じゃ当分先だよな。
「もしものときはドラゴンが出るから大丈夫よ」
「……それはありがたいがな
怪我とかしてほしくないしな」
別に兵士たちが怪我をしても構わないわけではない。
なんと言ったらいいかわからないがうん。
シャルロッテが悪者になってほしくない。
そんなことを考えてしまう俺は甘いのだろうか。
「……少しは戦えるように鍛えてみるか」
ゆくゆくはシャルロッテを守れるくらいに。
幸い時間だけはありそうだ。
あれからしばらく経った頃、新たなる来客と話をしていた。
魔王刻の幹部らしい。
人間らしい姿をしているが何か違いはあるのだろうか?
「詳しくは割愛しますがほとんど同じです
わかりやすい違いと言ったら保持魔力量と歳の取り方くらいです」
「もともと魔王国の人間は他の国から追放された人たちの集まりだったのよ
それがいつの間にか規模が大きくなって国として成立したわ」
……追放って。
なんでそんなことを……。
「……宗教絡みだと聞いています
ほら………、ご存知のあちらさんですよ」
……なんとなくわかった。
やっぱとんでもないとこなんだな
「かなり昔のことなんだけどね
まぁでも、腐ってることに違いはないかな」
やだなぁ。
そんなのが東にあるのか。
「何もなきゃいいがな」
魔王国幹部の名前はクリタール。
食糧管理担当だそうだ。
ここにきた理由は簡単。
友好関係を結び有事の際の懸念点をなくすためだ。
「まぁわかりやすく言うとここが敵軍の拠点になるのを防ぐためです」
そのために先回りをしていると言うわけか。
と言うかなんでここに街があるって知ってるんだ?
「ドラゴンが頻繁に出入りしているのが確認できましてね、流石に何かあるのだろうと思った次第です」
……ソッカァ、ソレガリユウカ。
ちょっと油断していたな。
別にバレたくなかったわけではないがドラゴン絡みで面倒なことになりそうだ。
「アハハ………」
クリタールも苦笑しているじゃん。
どうしようかな。
「戦争に巻き込みたいわけではないのでそこはご安心を
ただ国民の食糧確保のために協力していただけると幸いです
もちろん料金はきちんと払いますし、そちらが購入希望を出されたものの販売なども行いたいと思います」
……う〜ん、そうか。
ならいいかな。
街の特産品の販路拡大にもなるし外交ができるとなると賑わいも増すだろう。
だがまぁこちらからも条件を出したい。
きちんとした国交を結ぶことだ。
口約束ではなく公式な記録として残るものにしたい。
……ちょっと偉そうだったかな?
流石にこれは厳しいかなぁ。
「もちろんでございます
うちの王を今すぐにでも派遣いたします」
あれ?
よかったのか?
まぁいいか。




