師匠と弟子
早速だがキリジャロの街の建築家達がやってきた。
……全てにおいて仕事が早いな。
シグマと話してから三日しかたっていないんだぞ。
総勢百人ちょっと。
うちの建築部隊の倍以上だ。
彼らはみんなカルナの知り合い。
そのうちの一人、ラルシュと呼ばれる老人はカルナの師匠らしい。
挨拶をしようかと思ったら早速揃いも揃って行ってしまった。
計画と違い役所から作っていくらしい。
のちに聞いた話だか、ラルシュは人間関係について熟知しているらしくそのため権威の象徴である役所を先に終わらせようとしたとのこと。
設計図についてもよくできたものだとカルナを褒めていた。
ここまでは微笑ましかった。
問題は資材不足が露呈したとき。
作りたくてもすぐに作れないことがわかるとかなり怒っていた。
ラルシュとしては在庫管理をしっかりとできなかったカルナに喝を入れたかったのだろう。
だがあまりにも怖すぎたのかみんな怯えてまともに仕事が手につかなくなってしまった。
こうなった以上もう何もできない。
時刻もいい頃合いになったことだし歓迎会を開くことになった。
「申し訳なかった」
……それは周りの目も気にせずカルナを叱ったことと挨拶をしなかったことに対する謝罪だろう。
そんなことはあまり気に差なくてもいいのにな。
せっかくの歓迎会なんだ。
あまりそう言ったことには触れるつもりはない。
街としてもこれからを頑張ってもらえれば何もする必要はないとする認識を持たせている。
「ありがとうございます
我が生涯をかけてそのご恩をお返しします」
だからそんな重くしすぎなくてもいいのにな。
俺はそこまで大した人間ではないよ。
「……ドラゴンを娶った方が何を言ってるんでしょうね」
「ハハハ
大したことはない」
そうだよな。
うん。
翌日。
朝早くから作業は始まった。
計画の精査と資材集めだ。
資材集めは南の海に向けて作る道沿いの伐採の一環としてやっている。
計画の精査は新たな街をどこに作るかだ。
港町は少し後回しにして先に農村を作りたい。
キリジャロに供給する農産物の生産も兼ねてかなりの広さを必要とするため十分な広さの土地を見つけることが焦点になっている。
北は山。
西は鉱山があり鉱毒を防ぐためにも避けた方が良いと言われた。
南は海。
ならば残すは東側だけだが畑を作るのに水源がいる。
魔法で水くらいなら出せるが頼りすぎるわけにもいかない。
だから探しているのだがうまくいかない。
農村の予定地からさらに東に川があるのだが周辺の土地が起伏だらけで農業には向かない。
ならどうするかという話だ。
「やはり水路を作るしかないかのぅ……」
ラルシュまでそんなことを言い出すのだ。
まぁ考えすぎても仕方ないから水路を作ろう。
川から予定地までは二十キロ近くあるが仕方ない。
他にあんが出ないのだから作るしかない。
幸いラルシュ率いる援軍がいるのだ。
時間はかかるがやれるだろう。
「私が率いる建築部隊である程度の下準備をしておきます
師匠達は少し遅れて計画の完遂にお力をお貸しください」
「そうか、わかった
少し見ないうちにかなり大人になったんだな
立派な弟子だな」
昨日までバチバチしていたのが嘘みたいだ。
さすがはプロ集団。
師匠と弟子だな。




