夕食の後片付け
「トンポーロー、美味しいわねぇ」
と透明なお酒をグラスで飲みながら感想をもらすおばである。私がお皿を洗っているとカウンターの向こうでおばが飲み食いを始めたのだ。
「柔らかいけど、少し歯ごたえがあるのがまたいいわね。なにより、ほとんど手を付けてないのよね。シリコンスチーマーで出来るのも大きいわぁ」
カチャカチャとお皿を重ねる音と、おばが食事をする音が鳴る。おばの向かい側には紅茶の用意がされており、すでに蒸らしまで終えている。茶葉は茶こしで取られているので、これ以上お茶が渋くなることはない。強いて言うなら、猫舌の私が飲むのに丁度いいくらいの温度になるかもしれない。
「お皿洗い終わったよ」
「ありがとう、さちちゃん」
おばの向かい側に座り、紅茶をカップに注ぐ。ミルクも砂糖もない、ダージリンのストレートだ。一口飲むとまだ熱かったのでスプーンでかき混ぜて冷ますことにする。
「明日はさちちゃんはお休みだったかしら」
「うん、この間の件で休日に行かされたからね。課題をしておけば出席扱いにしてくれるって」
「たまにはお菓子でも作りましょうか」
「今日のデザートも皆よく食べてたしね。フルーツヨーグルトが一瞬で消えてたね」
「さちちゃん、大丈夫かしら?」
「なにが?」
沈黙。今の『大丈夫』には色んな意味があった。
先日の件で影響は受けてないか。
体調は崩してないか。
休日扱いである日に、付き合わせてもいいか。
「大丈夫ならいいの。無理はしないでね」
「うん、それは大丈夫。無理そうなら言うし、危なそうなら早めに助けを求めるよ」
紅茶で食後のお茶を飲む私と、晩酌をするおば。込められた意味を汲むくらいなら、問題なくこなすことが出来る。ある意味、母親同様に過ごしやすい人である。




