叔母の助け
「あら、康太くんも来てたのねぇ。お邪魔だったかしら?」
「いえ、もう部屋に戻るところだったので大丈夫です」
そうして、すっと部屋を出ていく康太。
私はすぐに部屋のカギをしめた。
「はぁ・・・・ありがとう、おばさん」
「大丈夫よぉ。さちちゃんこそ大丈夫?これで何回目だったかしら?」
「とりあえず3回目」
「う〜ん、男子の女子部屋への入室を禁止したほうがいいかしら?」
「それは、私だけの問題じゃなくなっちゃうからどうかな。風紀的にはいいかもしれないけど」
他愛もない話を続ける。
この間に私は呼吸を整える。
心拍も治まらない。
いつもの、冬の日で止まった私に戻る。
「そういえば、さちちゃん知ってる?あそこのお店でね・・・・・」
そう言いながらお茶を淹れてくれる。
おしゃべりとお茶の温かさに強張っていた背中がほどけるような感覚がする。
私はこんなにも力が入っていたのかと自分ながら思う。
おばさんの声は落ち着く。するり、ゆらりと心の中に沁み入るようだ。
「さ、今日はもうやることもないのかしら?早めに寝ちゃいなさいな」
「そうする。ありがとう、おばさん」
「どういたしまして」
そうすると、さっさと私の部屋を出て一人にしてくれる。おばさんも知っている。
「お風呂入ろ・・・・」
その後睡眠導入薬を飲んていること。
その上で私が殆ど眠れていないことを。




