強さ
冨田はスタメンの円陣に加わり、鈴木監督の話を聞いていた。しばらくするとブザーが鳴り、鈴木監督がスタメンを送り出す。
ジャンプボールは冴島。相手のジャンパーも190cm近くはあったが、圧倒的な高さでマイボールにする。蛇川がボールを運び、キャプテンの佐倉のスクリーンを使ってフリーになった冴島がパスを受け、左にフェイクを1つ入れ右に進みレイアップを決める。この時、冴島のマークはジャンパーのセンターだったため、まるでついていけなかった。
開始2分、冴島のオフェンス力と蛇川のスティールからの速攻で10-2と圧倒。海津南がタイムアウトを請求。
「上出来だがジャンプシュートへのチェックが甘い。全員厳しくいけ」
鈴木監督から支持が出る。
「それから冴島、ダブルチーム来るかもしれんが上手くやれよ」
「はい」
ここまで冴島8得点、蛇川2得点。当然マークは集中するだろう。
タイムアウト明け、セットプレイで得点を許しこちらのオフェンス。冴島にボールが渡り、ドリブルを1つついた瞬間にダブルチーム。センターとSFの選手だった。冴島はもう1つドリブルをつき、逆サイドコーナーにキラーパス。冨田が受け取り、コーナーからスリーを決める。
「しゃあ!どんどんください!」
冨田が大声で言う。
試合はその流れのまま進み、1Qを28-10。冨田も2本のスリーとミドルを決め8得点、冴島は14得点と何本かのアシストを記録した。