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「わかりますよ。全国行けば、全国で優勝すれば間違ってなかったって事でしょ」
俺は冴島に反論する。正直に思った事を言い返した。すると冴島は笑う。
「大和、お前意外と熱い奴なんだな」
俺は少し恥ずかしくなる。
「そうだな、優勝しような」
冴島は爽やかな笑顔を俺達に向ける。
「俺はチームを引っ張る。お前ら2人はたぶんスタメンだろうし、ちゃんと支えてくれよな」
「はい!」
冨田が元気よく返事をする。機嫌は直ったようだ。
「具体的には何かするんですか」
「そうだな、とりあえず皆にはもっと食べてもらうし、ウエイトも増やして貰いたい。うちは速攻の得意なチームじゃないしな」
「良いですね、僕はピック&ロールの精度を高めたいです」
2人が今後のチームの方針を話し合う。俺と山里は置き去りだ。
「とりあえず……良かったね」
「おう、そうだな」
山里は嬉しそうだった。
冴島程の選手でも悩んだり迷ったりする。それは当たり前の事だが忘れていた。少し親近感がわいた。
翌日、冴島から練習メニューの変更について話があった。今まで月、水、金だけだったウエイトトレーニングを月、火、木、金にし、最低20分だった時間も40分以上やるように指示された。チーム全体でウエイトを増やしてパワー、スピードを上げる狙いらしい。鈴木監督も北村コーチも了承済みで、朝晩のプロテイン摂取と、食事量の増加も指示された。
ここまでは身体作りのメニューについてだ。続いてバスケットについての説明がされた。ピック&ロールの精度を高める事、それに対するディフェンスも色々試す事、ディフェンスリバウンドの徹底、またそこから速攻に繋げるための練習など。
佐倉、蛇川、大内らが抜け宮市高校はローポストオフェンス、ガードへのディフェンス、高さを同時に失った。これらは冴島と言えどたった1人の影響力ではカバーし切れない。他の選手の底上げやチームとしての成長が必要不可欠だった。
冴島のプレイは気迫が違った。高さとパワーで強引にリバウンドを奪い、ひたすら点をとる。
「そんなんじゃ全国行けないぞ!」
体育館に怒号が響く。冴島は吹っ切れたようだ。




