代役
結局この2Qは冴島が攻め続け、41-19。冴島は12得点4アシストと爆発。一宮商工ベンチはどんよりしていた。
「やりすぎだ冴島。梅丘が見てるぞ」
鈴木監督が冴島を注意する。観客席を見上げると、梅丘高校のディアプの姿が目立った。
「これ以上見せる必要はない。冴島、後半お前はベンチだ」
冴島はしょんぼりしていたが、それも仕方ない。なるべくなら手の内を晒したくない。後半のスタメンは冨田、石山、俺、佐倉、大内。ウイングを変えてのスタート。
3Q、冨田から左45度でボールを貰い、ローポストの佐倉にパス。その直後、佐倉の元へ走りボールを受け取ってミドルシュート。シュートは外れたが佐倉がボールを弾いて大内がリバウンド。そのままゴール下のシュートを決める。良いリズムでシュートを打てると、オフェンスリバウンドもとりやすい。
続くディフェンスでは石山のところから崩されミドルを決められる。そして相手の監督から何か指示が出る。
俺がハーフラインを越えると俺のマークマンが寄って来る。そしてディナイで守る。さっきシュートを外した俺に何故、と思ったがおそらくこれは冴島用の作戦。冴島が下がったために一旦止めたが俺が攻撃の中心になると踏んで作戦を再開したのだろう。本来なら俺はコートの端にいてディフェンスを引きつければ充分。だが、俺は燃えた。冴島の控えとしての起用だが、冴島と同等に見られているような気になった。冨田に目線をやり、アイコンタクトをとる。俺は素早く左右にフェイクを入れステップバックしてボールを受ける。右手でドリブルを始め、右にステップを踏みながら左にクロスオーバー。半歩抜きレッグスルーでストップ、右にワンドリ入れてジャンプシュート。ボールはネットを揺らし俺は思わずガッツポーズ。
「ナイッシュー!」
冨田が盛り上げる。俺は冴島の代わりだ。得点を求められている筈。控えの俺まで止められないのなら相手の心を折れる。




