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月光姫~御隠し姫は自由に飾る~  作者: 兎弥
初めてのお茶会
5/5

ⅱ

 私が生まれた場所はルーディリク王国、王都ラグラリ。

 

 其処での月数えは記憶と同じく4つの季と12の月に分かれて365日と日数も一緒。ただ、全てが同じではなく30日を一の月と数え、花の季、雨の季、実の季、眠の季と呼ばれる季が三の月ごとで形成され、残りの5日はどの月にも数えられずに、実の季と眠の季の間に豊穣の祭りが三日と祈りの日が二日として分けられた特別な五日間とされていた。

 

 豊穣の祭りは中日に開催し、祈りの日は始まりの一日目と終わりの五日目に神殿で行われ、一日目は魔神様へ満ちる魔力の恩恵のお礼を、五日目は聖神様に祝福を頂く。

 その五日目にその年に生まれた子供たちが初めて祝福を授かりに行き歳を貰う事から、平民貴族関係なくその日に歳を数えて特別なお菓子-ケーキで祝う事が一般的である事から、記憶の中にあるような個々の誕生日と言う考えはこの世界では無かった。

 

 

 はず、なのになぜか今私の目の前には小さいけれど作り手が趣向を凝らして作成したとわかる特別なお菓子(ケーキ)が鎮座していた。

 

「何で、って顔してるラティ様。ご自分の貴族位はご存知ですか?」

 

 料理もおいしくいただき、ようやくお茶会の様相をしたセッティングになった所で出てくるとわかっていたメインのお菓子の予想外の華やかさに目を丸くすればアゲートから質問された。

 

 オラケウス家はルーディリク王国でも有数の公爵家の名を頂いている。ただ、他の公爵家と違い父様のお母様が先代国王の妹様で、お父様は現国王様のいとこと言う王家の血も混じっている少し特殊な家。けれど、王族ではないので結局は貴族の括りになる公爵家も聖神様の日に祝っている筈なのでは?と首を傾げる私にセレスタが小さく笑う。

 

「そうですね、ラティ様。貴族様のお屋敷でも普通は御祝いたしません。が、近頃は政権も安定してきたので他の公爵家や侯爵家の一部では個々の生誕を祝う事も増えつつあるそうですよ」

「なので、僕達ラティ様を驚かせたくてお茶会っていう事にしてこっそりお祝いの準備をしてたんです!…でも、やはりふつうのお茶会の方がよかったですか?」

 

 ラナスがセレスタの言葉に付け加えるように体ごと乗り出して説明するも、自分の最後の言葉で眉尻を下げてしまう。

 その顔を見ながら、驚きはしたけれど嫌なんて少しも思っていない。普通のお茶会だと思ってきてみれば、普通は祝わない私個人の生誕祝いもしてくれるというのだから、飛び上るほど嬉しいという気持ちを皆に伝えようとして、始まってから何も伝えていない事に気が付いた。

 

「ううん、とっても嬉しい。ありがとう、ラナス。アゲートもセレスタも素敵なお茶会を考えてくれてありがとう。カチアとブルームもお料理とお菓子を作ってくれてありがとう。今日は忘れられない生誕日、最高の贈り物を貰えたわ」

 

 一気に伝えて良いものかとは思ったけれど、言いたい気持ちが気づけば溢れて沢山ありがとうを繰り返せばラナスの眉が上がって笑顔になり、他の大人組もまた祝いの言葉を返してくれた。

 

「さぁラティアナ様、ケーキを切りましょう。何処を食べたいですか?」

 

 最後にケーキを持って参加してくれた料理人でありラナスの父であるブルームが、そのラナスの頭を邪魔だと引っ込めながら差し出してくれたケーキの味は忘れられない幸せの味になった。


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