絶望の遠征
あかん…データ飛んだ…
「毎日、夢を見るんです。」
「緑の人が来てくれる夢を。」
14日目
灰色の砂漠、を幼女と一台が進む。瓦礫を超え、座礁した船の中に入る。秘密の財宝があるわけもなく。資源を探し続ける。使えそうな物ならなんだって持っていく。
落胆する間もなく、外に出て探索を続ける。進み続けること数時間、奇妙なものを見つけた。大人が入れそうな溝が、あたり一体を駆け巡っている。ところどころに横穴があり、支柱で補強されている。発見と同時に鼻をつんざく匂いを感じ、全てを理解する。
「塹壕…じゃあこれは…」
人間だ、それも身体中に蛆虫が沸いて悲惨な姿の。腹から湧き上がるものを必死に堪え、英霊の骸に手を伸ばす。
「必要なんだ...生きるのには」
超えかけた一線を、一型がすんでで止めた。戸惑う幼女を前に、それは淡々と理由を鳴らす。
「警告、負傷シタ、要救助者、死亡シタ、人体、ヘノ、接触、ハ、危険、デス。」
「負傷シタ、隊員、ノ、場合、ハ、触レナイヨウニ、シテクダサイ。」
出血した負傷者や遺体に下手に触れると、傷口から感染する恐れがある。医薬品による本格的な治療が受けれれない状況では、最悪の場合し死につながる。
「でも...必要なの...」
今にも泣きだしそうな顔をしながら懇願するが、機械は冷酷に判断する。
「触レナイヨウニ、シテクダサイ。」
わかったよ...うん。機械は絶対に間違えない。私は、納得したんだ。早くここから離れよう。もう見たくない。
塹壕を超え、有刺鉄線を切り開き先に進む。次に見えてきたのは、りゅう弾砲の陣地だった。天を見上げるはずの砲口はうなだれて、下を向く。哀愁漂う空間に触れながら幼女はつぶやく。
「役目...果たせたかな...」
言葉に言い表せないような感覚に見舞われながら、さらに先に進む。より後方へ、さらに後方へ進む。こうほう後方なら、食糧を備蓄している施設があるかもしれないからだ。火事場泥棒のようにも感じ、気分はあまりよろしくないが仕方ない。これも生きるためならなんだってやってやる。
「朗報、コノ先、前線拠点、アリ。保護、ノ、可能性、アリ。」
これは思わぬ収穫だ。
「教えてくれる?その基地を。」
どれだけ歩いたのだろう。いっこ一向にそれらしい建物も見えてこない。夜までには帰れるようにしないと。そんなことを思いながら背中で揺られていると、一型の足が止まる。
「目的地、到着。」
そこには、巨大な瓦礫の山があった。周りにも、当然瓦礫にも人がいた痕跡もなく、ただそこにあるだけだった。
「もうない...いや、まだ希望はある。」
幼女は必死に瓦礫を調べた。ここまで来たんだ、少しの可能性すらあきらめたくない。ふと、瓦礫の隙間を見つける。明らかに瓦礫同士をる投げて支えている柱のようなものがあった。それは偶然でもなくいたるところに存在した。
「希望はある。」
ある場所だけ、柱が門のようにつながっていた。その間にある下歴に触れてみると違和感に気が付く。材質はコンクリートのように見えたが、簡単に動いたのだ。おそらくは見た目だけで、車輪付きの木材なのだろう。「希望はある。」青髪の幼女は、瓦礫の隙間の闇に吸い込まれていった。
暗くてよく見えない。だが、ちっとも怖くはない。飛び出して鋭利のはずの鉄筋は丸くされており。所々が柱で支えられている。足元のタイルは並行で、とても歩きやすい。そんな違和感たちは幼女を導き、光ある出口を指示した。
「ついた...」
吹き抜けの大広間に出る。たくさんのテントに机、看板に張り付けられて大きな地図、野外炊具まである。喜ばしいことだ。静寂が支配していることを除けば。
「...いない。」
人っ子一人いない。
「そうか...誰もいないんだ。」
希望は消えた、張り詰めていた何かがぷりりと切れ、けだるさと虚空が胸を支配する。幼女の体は、ゆっくりと白い光に包まれていった。
ここはどこだろう、見られない空が広がっている。どこだ、私は、何をしていた。これは地図か。現在地が分かれば帰れるかもしれない。ひとまず安心だ。
とりあえず、使えそうな物は持てるだけ持っていこう。金属は思いから無視するとして、これは缶詰?「白飯」「赤飯」「鳥飯」これは、「たくあん漬け」たくあんナントカけ?とりあえず持っていこう。一通りまとめたからそろそろ出よう。どうやって?
出入口を見つけ、少女は外に出る。周りを見渡し、安全を確保する。何かいる。ピンク色をした人型の何かがそこにいる。素早く物陰にひそめるが、奴はこっちに近づいてくる。見つかるのも時間の問題だ、別の物陰まで隠れて移動はできなさそう。一矢報いるか?いや、もういいや。
「分類、ガンマ、個体番号、06、本部、通信途絶、指揮下ニ入リマス。」
奴が音を発してきた。06?私が?私の名前は美空虹心だ。何を言って...
「あなたの名前は...えっと...ニコ!美空虹心だよ!」
琴音が教えてくれたんだった。違うのなら、私って誰だ?
気に入ったらブックマーク(保存)と高評価をお願いします。




