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第17話 ウイスキー

 ???  


 果て、この人は一体何を言ってるんだろう? 


 ここまで話が噛み合わない会話をしたのも小学校の学級会以来だ。


 大体この人達があたしを助けてくれたんじゃ無かったら『HUMMER』でお堀の中に突っ込んだのも、時速300キロであたしを拾ったのも何だったのか? って事になる。考えてるだけで頭がおかしくなりそうだ。



「そう思ってるに決まってるじゃない! 他に何か有るって言うのよ!」


 そんな風に怒鳴り返した時、あたしの目からは大量の涙が垂れ落ちてた。


 何で泣いてるの? って聞かれても、ちょっと一筋縄じゃ答えられない。


 精神状態が極限に達していたせいも有るだろうし、この人があまりに小バカにしたような話し方をするから、怒りを覚えたって事も要因してる。


 とにかく色んな感情が混ざり合って、我を忘れていた事だけは間違い無かった。



「あら、そう......ならば......あなたにちゃんと話しておかないといけないわね」


「ちゃんと話すって......一体何をよ? グスン、グスン......」


 取り乱しているあたしに対し、『美緒』さんは至って冷静。実に落ち着き払った様子で何やら背負っていたリュックからボトルらしき物を取り出し始めたの。それは間違いなくウィスキーのボトルだった。



「まぁ、まずはこれでも少し飲んで。身体が温まるわよ」


「あんがと......」


 何でバイク乗るのにこんな物をリュックに入れてるのかは甚だ不明だけど、この寒さにもいい加減嫌気が差して来たところ。


 ここは素直に頂戴する事にした訳さ。 あたしは小さなコップに注がれたウィスキーを、一気に飲み干した。割る水なんて無いからもちろんロックよ。


 ゴクッ、ゴクッ......


 すると体温が戻って来たのと同時に、失い掛けていた冷静さも舞い戻って来た訳なの。


 そんなあたしをただ黙って見ている『美緒』さんは、一向にウィスキーを飲む気配を見せない。


「『美緒』さんは飲まないの?」


 素直に聞いてみた。


 すると、


「あたしは、バイク乗る前にいっぱい飲んどいたから......今は要らないわ」


 それって飲酒運転じゃない?! まさか酒飲んであたしを乗せて走ってたってこと?!


「冗談よ。免許取って1週間の人間が酒飲んで300キロ出す訳無いでしょう」


(※これは小説の中の話で、実際は免許を取って1年間は、2人乗り出来ません)


 いや、酒飲んで無くても、若葉マークで時速300キロはちょっと......


 大体普通のバイクって300キロも出るのかしら?(※もちろん改造バイクです)


 まぁ、もうガス欠で乗り捨てちゃった後だから今更いいんだけどさ......



「ところで......ちゃんとした話って?」


 あたしは落ち着きを取り戻した所で、改めて聞いてみた。


 正直なところ、これまでの経緯で、あたしもちょっと合点がいかない所が有ったりもしてた。


 もしこれが圭一さん単独によるあたしへの助けだったら、何となく分かる気がするの。なんつうっても、優しい人だからね。


 でもこれが一つのチームでの行動だったとしたら、普通ここまでやってくれるかな? って普通に思ってしまうわけさ。


 しかもバズーカ砲でパトカー破壊して、確かあたしがこの人のバイクに飛び乗った後、大事な改造『HUMMER』も爆発させてた筈だし。


 チームの元カノの為にそこまで普通やらないだろう。しかも、誰が死んでもおかしく無いような危険極まり無い行動の連続だったし。


 きっと今回の一連の事態について、あたしの知らない何か飛んでも無い『驚愕の事実』が影に潜んでいる......そう考えるのが妥当なんだと思う。


 だからどうしても聞きたかった。この『美緒』さんが言うところの『ちゃんとした話』なるものを。



「あなたが持ち出したそのショルダーバッグの中の物......それが一体何なのか? もちろんあなたは分かってるわね?」


 突然聞いて来たけど、そう言うあなたはどこまで知ってるの? 


 もしかしたらこれは誘導尋問であたしに話させようとしてるとか?


「ええ......もちろん。あたしはあの会社の研究員だからね」


 考えた末、差し障りの無い答え方をする事にした。すると、突然『美緒』なる人物はいよいよ飛んでも無い話を繰り出し始めたの!



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