表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
チートがあるとは限らない(打ち切り)  作者: 黒乃瀬 綾斗
3章 魔法使いの弟子編
29/30

26話 賊退治

あらすじちゃん「前回のあらすじ!」

前書きちゃん「前回は、街についてセレンの勘違いをミリアが訂正」

あらすじちゃん「その後は馬車に乗るんだけど、ここで異世界テンプレ発動! 馬車が襲われる!」

前書きちゃん「しかし、残念ながら襲われたのはセレンの方で人質として捕まってしまう」

あらすじちゃん「そのせいでミリアも捕まって、賊のアジトに連れていかれます」

前書きちゃん「そして、アジトに着いて放り込まれた建物には先客がいたよ」

あらすじちゃん「さあ今回も始まるよ」

 声をかけてきた女性の顔は、目元が赤くなっていて先程まで泣いていたのが分かる。女の子はその女性の後ろに隠れてこちらを見ていた。

 女の子の紫色の髪の毛の中から見える耳は、少し尖っていてエルフのハーフであることが分かる。女性は見た感じエルフではないので、恐らく父親がエルフだったんだろう。


「貴女達も捕まったの?」


 そんなことを考えていたら、師匠がそう女性に聞き返した。


「はい。主人が商人だったのですが、街に向かっている途中に賊に襲われて……」


 女性はそこまで言うと、旦那さんが殺されたのを思い出したのか泣き出してしまう。女の子は泣いた母を見て同じように泣いた。






「すみません、取り乱してしまって」


 しばらくすると女性は泣きやみ、取り乱したことを謝罪する。


「いえ、大丈夫よ。それよりも他に生存者はいないの?」


「私達だけだと思いますけど……」


「そう、なら話は早いわね。セレン、悪いけどここで待機していてくれる?」


「はい、分かりました。お気を付けて行ってください」


 僕は師匠が何をする気かすぐに理解する。


「ウィンドカッター」


 その魔法は過去にエレイナ姉さんも使っていた魔法で、僕達の手を縛っていたロープだけを切ると消える。


「それじゃ行ってくるわね」


「えっ? えっ!?」


「???」


 師匠はそう言うと建物から出る。

 女性と女の子は何が起きたかわかっていないようで、ただ困惑する。僕はその困惑している2人に優しく伝える。


「ロープを切ったのは師匠の魔法です。そして、賊は師匠が倒してくれるので無事にここから出られますよ」


「本当?」


「うん、必ず」


 女の子は期待の眼差しでこちらを見ている。こういう時は、大人よりも純粋な子供の方が適応しやすい。

 僕は空いた手で頭をポンポンと撫でながら答える。


「むぅ……撫でないで、子供じゃない」


 頭を撫でるのはお気に召さなかったらしい。

 ごめんねと謝り、手をどけようとすると、女の子はそれを自分の手で抑える。


「むぅ……撫でて……」


 どっち?

 結局、師匠が戻ってくるまで女の子を撫でて過ごした。


「今戻った」


 師匠が、まるで夫の帰りを待っている妻に、帰宅したことを伝える感じで戻ってきた。


「お帰りなさいませ。それで……どうなりましたか?」


 僕は師匠に賊をどうしたかを聞く。


「全員気絶させて捕らえたわよ。ただ、この後生き残れるかは彼ら次第だけど」


「あ、あの! 助けてくださり、ありがとうございました!」


 女性は師匠に助けてもらった感謝をする。


「感謝なんてしなくていいわよ、元々はこの弟子が捕まったのが原因だし。それに……」


「それに?」


「それよりも、貴女達はどうするの? もし、この先にあるスウィムの街に行くなら一緒に行くのもありだけど」


 僕がそれに?と聞くが、師匠は話を逸らしてしまう。


「いえ、まだ街が近いので戻りたいと思います」


「そう、ここは街から遠くないし安全だと思うけど、一応気をつけてね」


「ありがとうございます!」


 女性はどうやら来た道を戻って街に戻るらしい。


「ねえ、また会える?」


 そして、女の子は僕とまた会えるか聞いてくる。


「僕は師匠の弟子として魔法を学んでいるので、魔法について学んでいればきっと会えるよ」


 僕は冒険者ということは言わず、師匠の弟子で魔法を学んでいることを言う。結局のところ、冒険者として会うことはないだろうからだ。


「そっか! じゃあまた会おうね!」


「それでは、また何処かで」


 女性と女の子はそう言うと手を振り、来た道を戻って帰っていった。

 僕と師匠は、賊が使っていた建物に何かないか調べる。結果は何も無し。

 せいぜい10日分の食料と、盗賊が使っていた武具が得られたぐらい。そして食料はともかく、武具は旅の荷物の邪魔になるため持っていけなかった。

 だから、一本の短剣だけ貰うと他の武具は諦めることにする。


「セレンは短剣を使えるの?」


「はい、過去に使っていたことがありまして」


 正確には短刀だったが、使いこなす前に奴隷となった僕には、短刀も短剣も余り変わらない。


 そして、気絶している賊から剣帯を取って短剣を腰に差すと準備完了。


「準備できた?」


「出来ました」


「それじゃあ歩いて、次の街に行くわよ。また馬車代を払うのはあれだしね」


 心の声が漏れていた気がしたが、気にしないで賊の根城を後にする。

 

 そう言えば、名前を聞いてなかったな……。

 今更ながら、あの女の子の名前を聞いてないことを思い出した。

 まあ、また会う時に聞けばいいか。……また会う機会があれば、だけど。






 その数日後、僕と師匠は無事にスウィムの街に着いた。スウィムの街は、水が綺麗な街で過ごしやすい。

 本来だったら、ここで3日滞在した後に隣国行きの馬車に乗る予定だったのだが、既に馬車から歩きとなって数日の遅れが出ている。

 なので、着いたあとはすぐに手続きをすると馬車に乗る。食料に関しては、賊が持っていたのがあるので何とかなるはずだ。


「乗れてよかったですね」


「本当よ……本当にぎりぎりだったわ」


 ガタガタと揺れる馬車の中で、ようやく僕と師匠は一休みすることが出来た。


 街についた時が既に手続き終了10分前だったので、師匠の言う通り本当にぎりぎりだった。少しでも寝坊していたら間に合わなかっただろう。

 そしてここから隣国にまでは4週間掛かる。途中で街にも寄るし、更に時間はかかるだろうが、そこまで行けばドーグライの街はすぐ目の前にある。

 なのであとは、馬車の旅を楽しく過ごすとしよう。まあ、修行があるのは変わらないんだけど。


 ☆☆☆


 side アルマ


 魔法について学んでいれば会えるよ。

 あの子はそう言った。だから、あたしは魔法を学ぶことにした。


「ねえねえ、ママ」


「なあに? アルマ」


「あたし、魔法について知りたい!」


「そうね、あなたもハーフだけどエルフだもんね。魔法について知りたいよね」


「うん!」


「じゃあ今度お父さんのことを報告しに行く時に、おじいちゃんとおばあちゃんに一緒にお願いしてみようか」


 ママはそう言うとあたしの手をギュッと握る。

 パパのこと……。ママとあたしを守って死んじゃったパパ。帰り道、あたし達が乗っていた馬車を見たけど、パパはいなかった。

 もうパパと会えないのは悲しいけど、今のあたしなら大丈夫。

 あの子がいるから。また会えると言ったあの子……名前はセレンって言っていた。

 セレンは可愛かったし、かっこよかった。あたしと同じぐらいの年で捕まったのに動揺しないで、師匠と呼んでいた女を信頼して、あいつらの退治を任せていた。

 多分あの女はセレンが一番信頼している人。


 ずるい……ずるい、ずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるいずるい!!!


 そして……羨ましい。

 セレンに信頼されているのが、羨ましい。

 だけど、あたしは大丈夫。セレンが言っていたから……魔法を学んでいればきっと会えると。

 だから、あたしは魔法を学ぶ。

 おじいちゃんとおばあちゃん。多分パパの方のおじいちゃんとおばあちゃんだ。2人はあたしに魔法が得意って言っていた。

 だから2人の魔法の全てをあたしに吸収して、次にセレンに会った時に、師匠になってください言わせてあげる。そして、あの女から師匠の座を奪う。

 セレン、すぐにあたしが師匠になってあげるから。だから、あたしを信頼して甘えていいよ。そして、あたしから二度と離れられないように……。

今日は後書きさんがいないのでアルマの裏話を1人でします。


桐原優「アルマはお父さんが死んで自分も捕まったので心に深い傷が残ってしまいます。

しかし、自分と同じ年齢のセレンが捕まったのに余裕な態度でアルマの頭を撫でたので、つい父親と重ねてしまいました。

そして、彼女は元々父親がすごい好きだったのですが、死んだことで死者は生き返らないことを知りました。そしてセレンを父親に重ねたため、また失わないようにしようとした結果、ヤンデレに近い状態になった訳でした。それではまた次回」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ