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チートがあるとは限らない(打ち切り)  作者: 黒乃瀬 綾斗
2章 使用人見習い編
21/30

20話 追いかけっこの終わり

あらすじちゃん「前」

前書きちゃん「回」

あらすじちゃん「の」

前書ちゃん「あらすじ」

あらすじちゃん「冒険者組合に行き、そこで遂にドーラドアの情報を入手するセレン」

前書きちゃん「しかし、魔物討伐依頼を受けているため数日は帰らないとのこと」

あらすじちゃん「また来るねと冒険者組合にお別れをし、歩いているといつの間にか路地裏に迷い込んでしまう」

前書きちゃん「そこで出会った男と始まる追いかけっこ。セレンは撒くことに成功するが、路地裏から抜け出すことが出来るのか」

あらすじちゃん「2章も今回で最終話、さあ最後まで続きみて!」

前書きちゃん「2章最終話ということはネタバレみたいなものだよ、あらすじちゃん……」

 朝起きたら捕まってるなんてことはなく、凍死していることもなかった。


 捕まっていたら案外楽しかったかもな……。


 一人ぼっちの寂しさから、そんなことを考えてしまう。


「いや、そんなこと考えちゃダメだ!ドーラドアさんと会うためにも絶対に帰ってやるぞ!!」


 頬をパンパンと叩くと、気合をいれてえいえいおー!と叫ぶ。

 使った布を出来るだけ小さく畳んで回収すると、帰り道を探し始める。


「塞がってる……」


 もはや定番の行き止まりに着くと、木の板とロープで道が塞がれていた。刃物があれば通ることが出来たかもしれない。


 短刀、持ってくればよかったな……。


 ルードスの街に置いてきた短刀。今回のような時に必要なはずなのに……服も忘れたりで忘れ物が酷すぎるな僕。

 自分の記憶力が低すぎることに落ち込みながら、もと来た道を戻る。


 十字路に出ると、遠くから足音が聞こえてきた。急いで近くの物陰に隠れると、十字路を窺う。


「くそっ!確かこっちから声が聞こえたと聞いたはずなんだけどな」


 あの男だ。

 どうやらまだ僕のことを諦めてなかったらしい。

 声が聞こえたとは、恐らく朝の掛け声のことだろう。まさか自分からピンチを作るとは……。


 男は十字路の右側の道、僕の反対の道を走って進んでいった。

 男が見えなくなると、こっそりと物陰から出て、来た道の真っ直ぐ先を進む。


 こっちに来ないでよ……。そして、もう掛け声なんてしないからな。


 来ないことを祈りつつ、早歩きで進む。

 走らないのは音で気づいてこっちにこないようにするためで、早歩きなのは、もしこっちに来たとしても距離があれば隠れることは出来るかもと考えた結果だ。


 しばらく進むとまた曲がり角に出る。

 普段ならまた曲がり角かよと文句を垂れるところだが今はチャンスだ。

 もし男がこっちに来たとしても、他の道を選ぶ可能性が高くなったからだ。

 僕はいつも通り左の道を選ぶ。


 多分、安心していたんだろう、あの男が他の道を選ぶことを信じて。

 そして、忘れていたんだ。

 ここは路地裏で、あの男以外にも人が住んでいることを。


 だから、見つかった。


 見つけたのは、最初に話しかけてきた男ではない。全く知らない男だった。

 だけどその男は僕を見つけると、いたぞー!と叫び周りから人を呼ぶ。

 急いで僕は逃げたが、曲がり角を曲がって逃げた先は高い壁があって行き止まりだった。

 足音が近づいてくるのが分かる。隠れる物陰も無ければ、何も無い。壁も凹凸が少なく登れない。万事休すというやつだ。

 最後もの抵抗で持っていた布を被ると、出来るだけ目立たないように丸くなる。


「本当にこっちにいたのか!」


「ああ、間違いねぇ。だからもし見つけたら分け前はちゃんと分けろよ!」


「分かってるよ!」


 話しかけてきた男の声と、見つけてきた男の声が聞こえる。


「だが行き止まりだぞ!」


「いや、逃げ道はねえ!ここを探せば出てくるはずだ」


「分かった、じゃあお前はここをクソガキが逃げないように塞いどけ、俺が探す」


「分かった」


 男の足音が目の前に来るのが分かる。心臓の音がバレないかと思うほど大きくなる。


「ああ?布がなんでこんな所に」


 ああ、気づかれている。男の声が、嬉々に染まっているのが分かる。分かっていた上で言っているんだ。僕が恐怖で出てくるのを見るために。


 それでも、僕は出ない。ほんの小さな可能性にかけて。

 しかし、現実とはそう上手く運ばないものである。


「出てこいよ!オラァ!」


 なかなか出てこない僕に痺れを切らした男は布に包まっている僕ごと布を蹴り飛ばす。


「カハッ……ウップ、ゲエェェ」


 男の足は丁度お腹の溝うち部分を捉えた。その痛みに耐えきれなかった僕は、思わず吐いてしまう。


「うわっ!こいつ吐きやがった!」


「蹴ったからだぞ、どうすんだよ、下手に怪我をしたら安くなるぞ!」


「分かってるって!でもこの俺の手を煩わせやがったんだから、一発ぐらい蹴ってもいいだろうが!」


「でも安くなったら困るのはお前もだろ!?」


「ああ、分かってるさ、もう蹴らねぇよ。さっさと、連れていくぞ。おら!立ちやがれ!」


 男が僕の手を引っ張ると、無理やり立たされる。

 意識が朦朧しながらも抵抗しようとするが、子供の力では大人の男を振りほどくことすら出来ずに連れていかれる。

 それでも抵抗はしていたが、苛立った男に殴られたことによって、意識を失ってしまった。


 意識が戻ると、僕を捕まえた2人の男と胡散臭そうな顔をした男が話し合っている。


「へえ、確かに若いですがこの顔だと成長性はありそうですね」


「だろ!だから高く買ってくれよ!」


 何を取引しているのかが分からない。でも、僕のことを見て言ったことから僕が関係していることは分かる。


「ですが、そこまで成長する間の食事や面倒などのことを考えると……」


「じゃあ、高くは売れねぇってか!?」


 男は怒りに身を任せ、テーブルを叩く。


「最後まで話は聞いて下さい」


 胡散臭そうな男は、テーブルを叩かれようと動じることなく対応を続ける。


「なんだ言ってみろ」


 偉そうな態度を取る男に胡散臭そうな男は顔を変えずに提案をする。


「高くは買取りましょう。ですが、奴隷にするのにかかる金額を貴方様には負担していただきたいのです」


「お前らが勝手にすることだろ?なんで俺が払わなければならないんだよ」


「そうは言ってもですね、普段私たちは善意で奴隷代にかかる金額を負担しているんですよ。それを今回だけは貴方様に支払っていただきたいのです。安心してください、今回支払われる金額と比べたら、奴隷代にかかる金額なんて微々たるものですから」


「ちっ!なら仕方がねえ、払ってやるよ!ただし、今度売る時は高く買取れよ!」


「はい、分かっております。それでは、奴隷代を引きまして金貨5枚、100万シアでございます」


「うおっ!マジかよ!」


「ちょっ、それ俺にもちゃんと分けろよな!」


「うるせえな!分かってるって!」


 僕を捕まえた男達は扉を豪快に開けると何処かへと去っていった。


「さて、と。どうやらお目覚めのようですね」


 胡散臭そうな男は僕が起きているのに気づくと、手元にある紙に何かを書きながら話しかける。


「僕はどうなったんですか?」


「貴方は奴隷として売られたんですよ、100万シアで。良かったですね、普通の人なら1万シアが妥当なんですよ」


 100倍ですよ100倍。男はそう言いながら、ここ喜ぶべきところですよと答えた。


 奴隷?売られた?


 しかし、僕の頭の中ではそこだけが入ってあとは入ってこなかった。

 奴隷。この国でも奴隷制度はあるが、基本的には犯罪者が落ちる犯罪奴隷か、借金を背負った人が落ちる借金奴隷しかない。

 このように、人を捕まえて売り買いされる奴隷制度はなかった。


「うそだ」


 思わず、口に出てしまうその言葉。


「ウソじゃないですよ、貴方は奴隷です。いや、正確にはもうすぐ奴隷になる人でしょうか。貴方は明日私と一緒にこの街を出ます。そしてとある街で奴隷にされるのです。そのあとは売りに出されて、新たに出会うご主人様に仕えるのですよ、一生」


「じゃあ…お前…は……奴隷…商人……?」


 声が震えて、途切れ途切れになってしまっている。

 このままここにいたら奴隷にされて売られてしまう。それも一生。

 今度はその言葉が僕の頭を支配する。


 怖い、逃げたい、でも逃げれない。

 いやだ、なりたくない、奴隷になりたくない。


 逃げようとするが、意識がない間に体は壁の柱に縛られていたため逃げることが出来ない。

 奴隷にはなりたくないが、逃げれないということは奴隷になってしまうということ。


「そうですよ、私は奴隷商人です。それも闇の、ね」


 男は得意げにそう言うと、明日は朝早くから馬車に乗るので今日は早く寝た方がいいですよと言い、ぼろ布を僕に被せると、部屋を出ていった。


 声を出すことは出来るが、出したところで何も意味が無い。

 もしかしたら、誰か気づいてくれるかもしれないが、気づかれなかった時のリスクが高すぎる。

 それに今のところ、奴隷商人は丁寧に対応してくれているのだから機嫌は損ねたくない。

 それでも、何もしない訳にはいかない。

 僕には待ってくれている人がいるから。


 まずは、布をとろう。

 身動き一つ取ることは出来ないが、息を吸うことは出来る。鼻から息を沢山吸うと、それを口から思いっきり吹き出す。

 布は動くことなく、朝を迎えた。

桐原優「いやー、終わりましたね2章」

後書きさん「早くない?ねえ早くない?」

桐原優「実はここだけの話なんですが、2章はもっと長い予定だったんですよ」

後書きさん「何があったの?ねえ何があったの?」

桐原優「後書きさん怖いです。あのですね、2章を書いていたら、いつの間にかセレンが捕まって終わってしまいました」

後書きさん「馬鹿じゃないの!?ねえ馬鹿じゃないの!?」

桐原優「分かっています…。本当だったらモルスとか、ルクスおじさんとか、王都編とかでもっと内容があるはずなんですよ」

後書きさん「作者、今からでいいから書き直しなさい」

桐原優「いや、このまま突っ走ります。作者は振り返りません」

後書きさん「どうすんのよ!これからのお話は!」

桐原優「これから考えていきます!だから、3章が始まるのはしばらく先になりますが、頑張っていきたいと思いますので、どうか応援よろしくお願いします!」

後書きさん「あっ、こらっ!逃げるなー!」

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