10話 いざ!ユートリア魔王国へ!
早速ユートリア魔王国へ向かおうとしたのですが、メナが何か策があるとか言って、ギルドに一度向かうことになりました。
レミハとアユサを外に待たせてギルドに入る。
ちなみにレミハには認識阻害のフードを着させているので、バレることはありません。
「ユートリア魔王国へ向かう商人の護衛依頼があるよ!」
そういってメナは一枚の依頼書を取り私に渡した。
依頼内容はミクシア商業組合の商人の護衛・セルアリア王国からユートリア魔王国。
出発は今日の11時で必要ランクはC。
「……そんな都合のいい依頼があるんですか?」
「昨日のうちからもうあったよ」
「……見落としていました」
昨日は初心者用のクエストしか見ていませんでしたからね。
「でも二人も一緒に連れて行って大丈夫かな?」
「大丈夫だと思います。必要ランクはC。私たちはBランクですから、ある程度の融通は利くはずです」
「よかった!」
アユサはそもそも冒険者に登録していない。レミハは転移者として登録した際にギルドカードをもらっているようですが、それだと、テクロノアスだとバレてしまう。そのため二人を護衛メンバーとして登録することは難しいですが、まあ、何とかなるはずです。
そういえばレミハの案内役はギルドで支部長と話していた時は案内役を引き受けると言っていたそうですが、ギルドから出た瞬間にレミハを蹴り飛ばしたそうです。
わざわざ引き受けた意味が私には理解できませんね。
そんなことを考えながら、依頼書を持って受付へ向かう。
「この依頼をお願いします」
「商人の護衛依頼ですね。わかりました」
「あと二人、ユートリアへ行くために同行させたいのですが大丈夫でしょうか?」
「リシアさんの実力なら多分大丈夫だと思いますが、詳しくは依頼主に確認を取ってください」
「わかりました」
では早速商人のところに行くとしましょう。
◇ ◇ ◇
「初めまして。ミクシア商業組合のセドリックです。今回の護衛依頼を受けてくださる方ですね?」
「はい。私、リシアと……」
「メナです!」
「Bランクの冒険者とは頼もしいですね。道中魔物が出たら頼みますよ」
「はい、お任せください」
「それで、あと二人同行させたいという話でしたが……」
「はい。こちらの二人です」
そう言って、外で待っていたレミハとアユサを呼ぶ。
「初めまして。アユサと申します」
「……レミハです」
「よろしくお願いします。……お二人は冒険者ではないようですが?」
「はい。ですが、私たちの同行者です」
「なるほど。まあ、リシアさんたちが責任を持っていただけるのであれば構いませんよ」
「ありがとうございます」
ミクシア商業組合。
この世界、ミクシアにおける物流の大部分を担っている巨大な商業組織です。
各国の商人や商会が所属しており、商品の売買だけでなく、各地への輸送や商人同士の取引の仲介、街道の情報共有なども行っています。
ミクシアには国境を越えて活動する商人も多いため、こうした組織の存在はこの世界の経済を支える上で欠かせません。
……そして、今回私たちが護衛するのも、そのミクシア商業組合に所属する商人というわけです。
「では私が運転しますので、どうぞ馬車に乗ってください」
セドリックさんの言われたとおりに馬車に乗り込むと、馬車が動き出した。
馬車に乗るのはだいぶ久しぶりかもしれません。
馬車の荷台のほとんどは売り物の入っているであろう木箱などが占領していた。
しかも、その木箱のすべてが魔法によって容量が拡張されているようなので、見た目に反して多くの商品を運んでいるということになる。
「これ、全部商品なんですか?」
「ええ、ユートリアで売る物ですよ」
「こんなにたくさん……」
「魔法で容量を拡張しているので見た目以上に入っていますからね。魔法様々ですよ」
「やっぱり魔法って便利だなぁ……」
メナが木箱を見ながら目を輝かせている。
空間を拡張するほどの魔法を扱えるようになるのはまだまだになりそうですけどね。
「もう少しでミクシア勇魔平和記念祭がありますから、そのために資金を集めないといけませんからね」
「ミクシア勇魔平和記念祭?」
「はい。1000年前に起きたミクシア勇魔大戦が終結したことを記念する祭りです。10年ごとに行われ、毎回開催国が変わるんですよ」
「勇魔大戦……」
「ミクシア勇魔大戦は7人の勇者と7人の魔王が全力で戦ったこの世界で最も大きな戦争です。この世界に異世界人が多く訪れるようになったのもその大戦が影響していると言われています」
「へぇ……!」
「特に今年で1000年目ですからね、かなり大規模になる予定です。商人にとっては稼ぎ時でもありますからね」
メナがまた目を輝かせている。
勇魔大戦はそれほど魅力的なものだったのでしょうか。
「この世界ってやっぱり勇者もいるんだね」
「はい。魔王と同じく7人の勇者がいますよ」
「でも、今は勇者と魔王は戦ってないんだよね?」
「はい。人間と魔族の関係は平和そのものですね」
アユサがそう答えた。
「えっ、じゃあ魔王はまだ国を統治する役割があるからいいとして勇者の役割って……」
「ほとんどの勇者は冒険者として魔物を狩りまくっていますね」
「ほとんど?」
「はい。神器に選ばれているにもかかわらず何もせず引きこもっているようなヤツもいるらしいですね」
「勇者に対してヤツ呼ばわりって……って神器って何?」
「神器は、勇者を選ぶ特別な武器ですよ。詳しいことは私も知りませんが」
セドリックさんが馬を操りながら答える。
「へえ……じゃあ、その神器に選ばれたら勇者になれるってこと?」
「正確には、神器に選ばれた者が勇者と呼ばれますね」
「なるほど……じゃあ魔王はどうやったらなるの?」
「魔王は基本的に代々子に称号が受け継がれることが多いですね」
「へえ、じゃあ魔王は世襲なんだ」
「いえ、正確には少し違います。魔王版の神器が存在していて、その神器が次の魔王を選ぶんです」
「じゃあ、なんで子供が選ばれるの?」
「今の魔王が持つ神器は、その持ち主の子しか選ばないからです。なので結果的に、代々子へ受け継がれているように見えるんですよ」
「なるほど……」
「ただ、その魔王が子を作らずに亡くなった場合は、別の者が選ばれることになりますが……」
「結構ややこしいんだね……」
「そうですね」
この神器を作った神はいったい何を考えながらこれを作ったのか、勇魔平和記念祭で出会ったら聞いてみましょうかね。
「あっ、リシア様、魔物の気配が……」
「……ゴブリンが4体ですね」
「へぇ、さすがはBランクの冒険者ですね、魔物の種類や数までわかるなんて」
まだ森や茂みに隠れていて肉眼では見えませんが、魔物は少なからず魔力を放つ。
その微小な魔力を感知することで魔物の種類や数はわかるようになります。
「メナ、一体は任せますね」
「えっ、私が?」
「はい。ゴブリン程度なら今のメナでも倒せるでしょう」
「ほ、ほんとかな~」
メナにゴブリンが一体で孤立している位置を伝え、私は三体が集まっている位置へと向かった。
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