方向性
「………ここはね、魔法の歴史の中で様々な偉業を残し、聖人に指定された人達をまつっている神殿なの、ガーべリュクスさんとかもここにまつられているわ。」
「………なんでここに連れてきたんだよ。」
「あなた、魔法使いになってから何年も立つのに未だにここに来たことないらしいじゃない、気晴らしに来ようかなって。」
「はぁ………。」
俺はどこまでも真っ白な神殿の中を進んでいくと、何体もの石像が並ぶ場所に出る。
「さっ、祈りましょ、両手を目の前で握って、目を瞑ってお祈りするの。」
「………。」
俺は黙って言われたとおりに祈る………ところで俺は悩む。
祈ることは簡単だ、だが俺は何を祈ればいいのだろうか?
「………。」
俺は考えた末、結論を出す。
どうか、俺に幸せをください、と。
「で、俺はどうすればいいんだよ。」
「………あっ。」
「まさか………思いつかなかったのか。」
「テヘッ!」
「………。」
俺は頭を抱えるが、だが、当然だろう、俺自身、どうすればいいのか、どころかどうしたいのすら分かってないのだ。
俺はどうすればいい、不殺の誓いでも建てて、全員を生きたまま無力化していくのがいいのか?いっそ修行僧にでもなるのか?
「………あぁ、わっかんねぇ。」
今の俺には金がある、盗賊の賞金を荒稼ぎして、金貨50枚ほどの金があるのだ。
だから俺はしばらく仕事はしなくていい、俺はその時間をひたすら考えることに使っていた。
俺は何がしたいんだ、そうずっと考えていた。
俺はその考えを考え続け、その思考は何度も出発点に戻ってくる。
俺はそんな中、ついに小さな悟りを得ることに成功した。
今までの俺は、結局のところ罪から逃げたいだけだったんじゃないだろうか、それをどう体よく取り繕うか迷っていただけなんじゃないだろうか。
そして、サンティシナはそれで果たして首を縦に振ってくれるだろうか。
「そんなのは駄目だ………。」
俺は、罪と向き合うことをその時決めて、何をするべきか考え始める。
「サンティシナ、俺は決めたんだ。」
そういって俺が考えた結論を話す。
「なるほど、で、あなたはどうしたいの?」
「俺は、もうこんな事を起こさないよう、正しいことをしない、もう道を間違えたりしたくない、だから俺は、正しいことをできるよう強くなりたい。」
「ふーん、な〜るほど、でもそれだと私の出番が無いわね………。」
「………笑わないんだな。」
俺は予想とは違う反応に少しびっくりしてしまう、こんな臭い台詞を履いたら、ふつう笑われたっておかしくない。
それを話すと彼女は、
「前に行った言葉なんだけどさ、付け足すね、私はあなたの事を死ぬほど考えてるから、そんな笑ったりしないから。」
「………はい、魔導書持ってきたわよ。」
「結局俺が最後に頼ることになるのは魔法か、思えばいっつもそうだな全く。」
「………これなんか面白いんじゃない?シールドで全身を鎧のように包み込んじゃうなんて。」
「はぁ………?………うわっ、これリューゼさんのパッシブシールドじゃん、ていうかタイトルだけでどうやって内容わかったんだよ。」
「へっ?そんなの読んだに決まってるじゃない。」
「へっ?これ呪文文字で書かれてるんだが………読めるの?」
そう言うとサンティシナはニッと笑い、
「私、凄いでしょ。」
「さーて、これはギガファイヤの魔導書か。」
「なんかさ〜、人殺しまくって悩んでるのに威力の高い魔法練習するのもアレじゃない?」
「それもそうか………。」
「こうっ、こうかっ!!」
「ファイト〜!!頑張ってね〜。」
「いやなんかやってくださいよ………。」
「そんなこと言われたって、実戦じゃ私やることないし………。」
「………ふっ〜、やっぱりここの料理は美味しいな。」
「この満腹感、はぁ〜幸せ〜。」
俺は窓の外をぼ〜っと見ながら考える。
「正しいって、何なんだろうな、俺は何すりゃいいんだろうな。」
「そりゃあもうあれよ、騎士としてお姫様を助けたり悪いドラゴンをやっつけるのよ。」
「俺はヒーローじゃないんだよ………。」
俺はそういって頼んだパスタを全部食い切る。
「………すするのやめたほうがいいよ?」
「やかましいっ!!」
???視点
「ほう、ここがあの男のくらす街か。」
「はい、そうでございます。」
彼らは裏の世界の人間だった。
それも、盗賊のような下っ端ではない、もっと上位の、深層に潜む者達だった。
「さて、ボスはお怒りだ、これからブツを流すはずだったシンジケートをやつの手で潰された上、その取引の存在が資料を回収されてバレちまったんだからな。」
「仮にも『百人切り』の男ですから………私達の手に負える人間なのでしょうか。」
「ふっ、真正面から戦えば、負けるだろうな、だが、そんなことをすると思うのか?」
「しないでしょうなぁ………。」




