砂漠のヌシ
「今度は砂漠………なんか火山地帯と違いってあるんですかね。」
「地形的には相当変わるが、最大の問題である気温が被ってるからなんだかなぁ。」
「なんだか気持ちよくないですよね、似たポジションのものが2つあるの。」
カーラスと俺はそう言いながら歩く。
周囲はキレイに砂だけだ、丘の一つも見当たらない。
「………ん?」
「お、魔物ですか?」
遠くの方に、のしのしと歩く生物が見えた。
それは全身茶色く、やたら足が細長く、背中にコブを持ち、なんだか眠くなりそうな顔をしている………ラクダだ。
「へぇ、ラクダですか、自分は見たこと無いですね。」
「あぁ、俺も見たことがない、当たり前の話だが。」
こういう迷宮はいろんな地域の魔物と戦えるからいいよな、ただ、手に入るのが魔石だけなのがな………。
近づいていくが、攻撃する気配がない、どうやら中立系の魔物のようだ。
「………どうする?」
「ここは狩りましょう!!」
「それもそうか。」
俺とカーラスは剣を構え、いつものようにカーラスが先行する。
だが。
ザッバァァァァン!!そう大きな音を立て、砂漠から何かが顔を出し、あっという間にラクダを飲み込む。
「!!!」
お互い、その光景に思わず後ずさりしてしまう。
「………まずいっ!!」
俺はその何かが動く音が近づくのがわかり急いで走り出す。
再びそれは顔を出す。
魚、それは魚だった。
「かいひぃっ!!?」
俺は情けない声を出しながらフルに体をつかい回避する。
「なんだあれ………!!魚の形をしていたぞ………!!」
「あれが、砂漠の魔物なんでしょう………!」
「………っひとまず下がるぞっ!考えるにしてもこんな危険地帯じゃどうしようもない!」
俺たちはひとまず入り口まで下がる。
いざとなったらすぐに逃げる。
………一応Dランクの範疇なのだろうが、こいつは特性がヤバすぎる、普段は地面の中に潜っていて、攻撃どころか何処にいるかすらまるでわからない。
「仮に倒すとして、どうします………!」
「とにかくこの地面から引きずり出すしかない、だが、俺の手持ちの魔法でそんな魔法は存在しない、である以上、やつの方から出てくるのを待つしかないだろうな………。」
「じゃあ、俺がやります。」
「いいのか?だってあんなだぞ………。」
俺が指さした先には、食われたときに残された、青い粒子を出しているラクダの頭があの魚モドキに食らいつかれるところだった。
「………まぁ、なんとか?なるでしょう、ただ、自分は回避に専念するしかできないので、攻撃はコーイチさんがやってください!」
「わかった。」
その時、俺はカーラスにいつの間にか指示される立場にいることに気づく、だがそれを考える前にあいつをなんとかしなければどうしようもない。
「行ってきますっ!!」
カーラスはそう言って走り出す。
やつがいるであろう場所に行ってもそれをやめない、達人じゃあるまいし、そんな静止から、いきなり襲う敵をなぎ倒す、なんてことはできない、これが一番回避できる。
ゲームとかでないだろうか、普段だったら、つまり戦ってるときではどうしても食らってしまう攻撃も、ただ走っている時は全く喰らわなかったなんて経験は、そういう事だ。
僅かに音がきこえ、音量の増大が気のせいでは無いことをわからせる。
「来るぞぉっ!!」
ザッバァァァァン!!
さっきは間近だから分からなかったが、こうして遠くから見ると全く持って大きいのなんの。
「うぉぉぉぉっ!!?」
カーラスはそれを回避して、やつが地面に潜る前に俺のメガファイヤが直撃する。
あっという間に火だるまになり、それは地面に潜りかけた状態で動きを止める………。
「………しかし、カーラス、お前中々言うようになったじゃないか。」
「!?!?いや、あの、なんかすみません!!」
「いやいや、褒めてるんだよ、何だかな、甘く見てたのかもな、俺は、どこかでお前をまだ格下と思っていたのかも知れない、一回やられかけたのにな。」
「いやぁ………その………。」
「ありがとな。」
「………へへへ、こっちこそ。」
そう言うと、カーラスはニカッと笑う。




