迎撃作戦
もう相当数入ってきているのか、かなりの数のゴブリンか入ってきている。
それらを自分達は片端から斬り殺す。
「きりがない、こっちを倒しても別の方からやってくる。」
そう一人の冒険者が漏らした。
「違いないっ!」
俺も3体一気に倒し、「次だ」というCランク冒険者の指示に従いついていく……。
「………おい、なんだあれは、火事か!?」
見れば、向こうから煙が何本もたっている。
それに妙に明るい。
俺はゴブリンマジシャンが炎を家に放とうとしていたのを思い出す。
「あいつら………街を燃やす気だ!!」
「そんな事になったら………大変だな。」
「もっと言う事あるだろっ!!」
見れば向こうからガチャガチャと音がする。
「上位種だっ!!」
いや、それだけじゃない。
子供のように背丈の低いゴブリンだが、その中でニュっと頭が突き出ているものがいる。
「ホコゴブリン………!!」
上位種とは違う、生物的に進化を果たし、強くなったゴブリンだ。
確かランクは…………D
「俺がやるっ!!」
そう一人の男が走っていく。
それを迎え撃つのはホコゴブリンだ。
「このっ………!!?」
男の剣は、なめらかなホコゴブリンの剣に弾かれる。
一撃、ニ撃、切り合いが増えるほどに優劣は明らかとなり、ついに一撃男は肩にもらう。
「グフッ………!!」
「援護するっ!!」
後ろから駆けつけた男がサッと男を引っ張っていき、そしてもう一人やってきてホコゴブリンを足止めする。
だが、そいつも劣勢だ。
「くそっ、何でこんなに強いんだっ!?」
上位種も自分達の三倍の数がいる。
それぞれが巧みに連携し合い、俺たちを追い詰めていく。
「向こうの最精鋭部隊ってところかな。」
俺もその戦いに参加し、3体のゴブリンウォーリアーが俺を阻む。
奴らの剣をすべて薙ぎ払って弾く。
だがホコゴブリンほどではないにせよ、そこそこ剣が立つコイツらは斬らせる事を許しはしない。
煙玉………は一人ならともかく、味方にも被害が出てしまう。
「粘っていくしかないか………!」
幸い攻撃力以外はDランクである、なんてことはない。
「ここは………力押しか?」
俺は一気に突撃し、力任せに斬る斬る斬る。
一体がバランスを崩した。
「ハァッッ!!!」
俺は会心の一撃を繰り出し、それは見事に敵を真っ二つにする。
その後数を減らされたゴブリンウォーリアーを俺はどんどん追い詰めていった。
「フン!!」
もう一体を倒せばもうなんてことはない。
あっという間に最後の一体を倒す。
「すごいいい動きだな新米!!ついこの間までドレッドの親方にケツけられてたのが嘘みたいだ!」
そう冒険者の一人が褒めてんだかけなしてんだがわからん事を言ってくれる。
「くそっ………このホコゴブリン、ただのホコゴブリンじゃないぞ………。」
そう言うのはCランク冒険者だ、ホコゴブリンはボロボロではあるがまだ立っていた。
「Dランクモンスターじゃないんですか?」
「事実そうだ、だがこいつ技術がやべえ、剣も鉄のいいやつだ………どうなってる……?」
その時、一人が弓を持ってきてそれでホコゴブリンを撃った。
それでバランスを崩す、次の瞬間にはCランク冒険者がその首を刈り取っていた。
「異常だ………ゴブリンがこんな強さを持ってるはずが………。」
………
………
………
…攻勢計画ハドウナッタ…
…ソウカ、失敗ニ終ワリソウカ…
…ヤハリコンナ弱兵デハ限界ガアル…
…数合ワセノタダノゴブリンデハダメダダ…
…訓練ヲ続ケヨ、モット育成スルノダ…
あの異常に強いホコゴブリン以外は特筆すべき敵はいなかった。
他のグループもこのような異様につよいゴブリンを見たらしい。
そんでもって冒険者ギルドに戻ってきてみれば、騎士顔負けの鎧に包まれたホコゴブリンが血塗れになって倒れていた。
訓練場で素知らぬ顔でギルドマスターが座っていたがその服の血はなんだと突っ込みたかった。
「この戦いで討伐したゴブリンは最終的に1500体に上りました、そして、今回の異常事態に際して騎士団の団長を務めるクラスト・バルト様が来ています。」
「クラスト・バルトだ、まず騎士団の対応が遅れた事を申し訳なく思う、こうして失態は謝っておく、私はこれからギルドマスターと話し合う事となる、領主はこの件で討伐に参加した者全員に銀貨50枚の報酬を授けると言っている。」
そう言うと皆がざわめく。
銀貨50枚なんて結構な大金だ、それを何百人といる冒険者全員に配るというのだ、流石に太っ腹である、それとも領主ならそれくらいポンと出せるものなのだろうか………。
「で?どう思うギルマスは?」
そう部屋に入るなり聞いてくるクラスト。
「まぁ、あの事件を思い出さないと言えば嘘になるな………。」
「ゴブリンエンペラー………。」
あの事件、とはどの事件なのか。
それは数年前、ダレイオス領の外、国外での出来事であった。
受付嬢のサーラはコーイチにゴブリンは巣にいるゴブリンの10分の1にも満たない小隊しか出さない、だから基本的に巣でもない場所にゴブリンか何百匹もいる事はあり得ない。
そう彼女は行った。
しかしこれには例外がある。
ゴブリンに限らずオーク、オーガ、リザードマンなど群れる人型の魔物には大抵キングやエンペラーが存在する。
確率的に生まれるそれは、BからA ランクの力を持ち、あらゆるゴブリンを操り、何よりゴブリンはほとんど猿、ホコゴブリンでも多少話が通じる程度の中エンペラーに限り人間と同等かそれ以上の知能を持つのだ。
このようなキングやエンペラーなどのゴブリンが生まれて以降、ゴブリンは外に大軍を率いて侵略を始める傾向がある。
エンペラーやキングは理論上1匹のゴブリンの巣にすら生まれる可能性があり、そして例え2000匹ほどのグループでもキングがその気になれば1000も1500も全員でも出す事ができるのだ。
………かつて国外で大規模なゴブリンとの戦いがあった。
受付嬢が語った数万匹ものゴブリンを抱えた巣の掃討作戦のことである。
あの巣にはゴブリンエンペラーが存在し、この巣を巧妙に隠し通して来たがついにバレ、騎士団と冒険者を送り込まれたのだ。
あらゆる手を使い掃討されたが何故かその時エンペラー及びエンペラーがいる巣のみいるBランクのガード種が全く見つからなかったのだ。
そしてそれは数カ月後、ダレイオス領に逃げ込んだという疑いが持たれたが遂にそこでも見つける事はできなかった………。
「………あの事件が関連するとなれば………。」
「ゴブリンエンペラーが、また巣を作り、群れを立て直そうとしている………?」




