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創魔の黒狼  作者: あけぼのわこん
5/26

05 死の匂い、血の匂い

 あまり気にしていなかった。

 田舎の山では兎や鹿、猪を狩ってはその場で血を抜き、渓流で腸を洗い、皮まで剥いでいた。

 だがここは地球では、ましてや日本の田舎ではない。


 キーキーと甲高い鳴き声のようなものが聞こえた時には、既にゴブリンが10匹ほどこちらを窺っていた。

 距離にして約10m。ここからではウォーターも届かない。


「モノカーボン」


 仕方がないので、ゴブリンとの中間に一酸化炭素を集めた空間を作る。


 眩んでいる場合ではないので、1だけ魔力を残し全力で発動するが、

 効果範囲は先頭のゴブリンの頭の高さを基準に縦30cm横20cm程度しか作れなかった。


 魔力回復が高いおかげで、発動までの間に9まで全回復する魔力。

 慎重に進んでくるゴブリンの群れ。

 慎重なおかげで何度も何度も重ね掛けをしてその空間上にある一酸化炭素濃度とその範囲を上げていった。


 距離にして一酸化炭素空間まで数歩分、というところで立ち止まる。


「ギャオ!」


 先頭のゴブリンが棍棒を振り上げて吠える。掛かれ!という指示なのだろう。逃げる準備は万端だ。

 あいにくモノカーボン(一酸化炭素を集める魔法)で瞬殺できるとは思っていない。

 運よく酸素呼吸する生物で足止めとか出来たらいいな、って程度のつもりなんだ。

 せっかくの魔法使い人生、こんな所で終わるわけにはいかない。


 後ろのゴブリンたちが一斉に前に駆けだす。

 先頭のゴブリンから1歩、2歩、3歩と5歩目で空間に入った。

 そして6歩目が踏み出されることなく、指示を出したゴブリン以外が全て倒れた。


「???」


 突然のことで意味が分からなかったのだろう。

 目の前でいきなり倒れ伏した仲間を見て狼狽えるゴブリン。


 その隙に射程範囲内に入ったゴブリンたちをウォーターで窒息させていく。


【魔力2をテイクしました】

【魔力2をテイクしました】

【魔力2をテイクしました】

【魔力2をテイクしました】

【魔力2をテイクしました】

【魔力2をテイクしました】

【魔力2をテイクしました】


 徐々に増えていく魔力のおかげでウォーターも射程が伸びる。

 更に伸びた射程で次のゴブリンを仕留める。

 五匹、四匹

 ついに指示したゴブリンの後ろにまで届くようになった。その間にも無機質な声は魔力を回収していく。

 三匹、二匹

 後ろで倒れる音に振り返る指令ゴブリン。

 忍び寄る死の足音。

 最後には自分の番だと悟ったのだろうか。

 こちらに向き直って駆け出し、突然できなくなった呼吸に意識を手放した。


 その後は討伐報酬である右耳を切り取り、兎を回収する。

 ゴブリンの死体は一か所にまとめ、周りの藪を集めて延焼を防いだ後で燃やした。


 ここは異世界。獣ではない魔物も存在する。

 血の匂いに充てられた魔物から不意打ちを食らわなかったのは不幸中の幸いと言えるだろう。

 今になって思えば一歩間違ったら伏せっていたのは自分だと思うと、震えが止まらなかった。


 気を取り直してギルドカードを更新するまでは暫く震え続けていた。



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レベル 1

筋力 … 10

体力 … 10

器用 … 10

敏捷 … 10

魔力 … 31

魔力回復 … X


技能:魔力接収、創製魔法

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