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爆虫の召喚士  作者: 天野 雪人
第六章 エンシャル帝国編
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第八十六話 武闘大会団体戦

 ――暇だ。本当に暇だ。


 死の森での依頼から五日が経った。金貨四十枚という破格の依頼料を受け取った俺達は、しばらく仕事をせずにいたが、なにもないというのは凄く暇だと分かった。


 ――仕事をしたらどうだ?


 ――働きたくない。


 ――ニャルカみたいなことを!


 あー。働きたくねー。金は今一杯あるし働く必要ないんだよなー。なにか面白いことないかな。

 俺が宿のベッドの上でそう考えていると部屋の扉を勢い良く開け、エルが入ってきた。


「バベル君! 桜ちゃん! ついでにニャルカ!」

「我はついでにゃ!?」


 最近扱いがひどくなってきたニャルカはベッドでにゃーにゃー言っている。


「なにかあったのでござるか?」

「うん! みんな! これに出よう!」


 エルが手渡してきたのは闘技大会のチラシだった。


「武闘大会だと?」

「うん。国が開く武闘大会! 大武闘大会じゃないけど、結構大きな武闘大会さ」


 大会は団体戦。五人のチームを作り、優勝を狙えか。そういえば最近街が騒いでいたのはこの大会があるからか。


「すみませんでござる。せっしゃ大会当日は予定があって……」


 チラシを見た桜がそう言う。


「あー。そうなんだ。いいよいいよ。急に言った事だし」

「五人なんだろ? 桜が抜けたら人数がさらに少なくなるぞ」

「その場合は誰かスケットを呼ばなきゃね」


 参加するかは分からないんだけど。なになに。優勝チームには優勝商品に副賞として白金貨十枚……。


「すぐに参加するぞ!!」

「わ!」


 ――急に声をだすな馬鹿!


 マモンが急に声を出した事に怒る。


「優勝が白金貨十枚! これは参加するしかない」


 日本円で約一億円。これは笑みがとまりませんなあ。


 ――金欲に目がくらんでるバベルさん。知ってる? 賞金は優勝しないと手に入らないんだよ?


 ――は!


 金に目がくらんでいたが、賞金は優勝しないと手に入らないんだった。こんな大会があるんなら強い奴もぜったいに居るよな。


「はあ。エル。俺達の実力で優勝はねらえないだろ?」

「いや、大丈夫だと思うよ」

「え?」


 エルは普通に言い放つ。


「個人戦ならともかく、団体戦って数を集めるのが大変なんだ。だから、数合わせになっちゃうし、強い人って総じて頭のネジが外れていたり、性格が個性的だったりするから、協力する事が少ない。それに大武闘大会ならまだしも、たまにある武闘大会なら世界レベルの強者が参加する事はないよ」


 なるほど。まとめると、強い奴はバラバラだから五人集められないし、集めても数合わせ。俺達なら楽に勝てる。それに、大武闘大会レベルじゃないと世界の強者は集まらないと。


「まあ、この大会も小さくはないんだけどね」


 強いやつが来ないのならいける。


「参加するぞ。金は俺のもんだー!」

「バベル殿は相変わらずでござる」


 くっくっく。金がたまったらなにしよう? 普段出来ないいろいろな事をうひょひょひょひょ。


 ――完全に不審者だぞ。


 ――し、失礼な。


 俺は不審者ではなく平凡な人間だ。


「楽しそうにゃ。われも参加!」

「じゃあ、後は二人だね」


 二人か。数合わせにならないように強いやつがいい。


「……メンバー集めは俺に任せておけ」

「じゃあ、ボクは大会について調べたり参加申し込みしておくね」

「ああ。俺も早めに集める」

「うん。期限は五日間だから」


 楽しくなってきた。


「ニャルカ。いくぞ」

「にゃ!」


 俺達は部屋に桜だけを残して帝都にくりだした。



 ◇



「よおジュカル」


 俺達が来たのは建設現場。その一画の、作業員が休憩している場所だ。そこにはジュカルが居た。


「バベルに。……ニャルカだっけか?」

「にゃ!」


 ジュカルは俺が説教してからスリは止め、まっとうに日雇の仕事をして路銀を稼いでいる。『あと少しで貯まる』と、この前一緒にご飯食べに行った時、言ってたっけ。


「何か用か?」

「ああ。頼む、俺達のチームに入ってくれ」

「チーム?」


 ジュカルが聞き返してきたので、説明をする。


「……なるほど。分かった。だが、断る!」


 ジュカルはそう言い放つ。


「なんでだ!」

「メリットがない。俺は武闘大会に興味はないからな」

「優勝したら白金貨十枚。五人で山分けしても二枚ずつだ」

「うーむ」


 ジュカルは悩むが。


「断る。優勝するとはかぎらないだろ?」

「いいや。優勝する確率は高い。この戦いに強い奴は出ないらしい。俺とエルはBランクだし、ジュカルのほかに呼ぶもう一人も強い」

「強い奴が出ないね」


 よく見ていなかったが、ジュカルは一人で黒獅子を相手にして時間を稼いでいた。Aランク相手に時間を稼げるぐらいにはジュカルは強いということ。


「白金貨二枚あれば路銀の分を除いても、しばらく遊んで暮らせるぞ」

「むむむむむ」


 もう一押しだな。


「三位まで賞金は出るから、優勝しなくても一発で路銀が貯まる」

「……はあ。分かった。チームに入ってやる」


 よし! 一人目は落とせた。


「にゃ? 終わったかにゃ?」


 蝶々を追いかけて遊んでいたニャルカが聞いてくる。


「ああ。次行くぞ。じゃあな! 詳細は後で説明するから」

「おう」


 俺はジュカルと約束を取り付け、二人目の所に向かった。



 ◇



「ああ。すまん。試合当日は依頼で出かける予定なんだ」


 俺が声をかけたのはガントだったが、あっさり断られた。


「そうか。いいよいいよ。急に声をかけたのはこっちだし」

「おう、すまんな」


 俺はそう言ってガントと別れ、今まで居た冒険者ギルドを出る。


「どうするにゃ?」


 ギルド内で受付嬢さんに撫でられてお菓子を貰っていたニャルカが俺の肩に乗って聞いてくる。


「どうするかなー」


 五人そろえないといけないし。

 もう一度試験のルールを確かめる。五人のチームを作り、出場する。予選を行い、そこから十六組が本選進出。トーナメントで勝ちあがり、最後まで勝ったら優勝と。チームメンバーの条件は13歳以上じゃないとだめ。それに…………。


「これだ」


 このルールを使えば五人そろえられる。


 ――本当だな。それに、デメリットが大きいがメリットも大きい。


 ――いける。


「ニャルカ。ちょっと耳かせ」

「にゃ?」


 俺はニャルカに説明する。


「にゃるほど」


 ニャルカも納得する。


「しかし、エルと桜にも協力してもらわないとな」

「にゃー! 我が波動の力があれば我一人でだって出来るにゃ!」

「じゃあ一人でやってみるか」

「……しょうがないから愚民どもにも活躍の機会をあたえてやらんでもにゃい!」


 結局ニャルカはニャルカだった。

 しかしこの計画の前にマザースライムを倒しておいてよかった。少し忙しくなるぞ。

強い人達の場合①


強い人A「俺がリーダーだ」

強い人B「いいや。俺がリーダーだ。お前みたいな雑魚にリーダーは務まらない」

強い人A「よろしい。それなら戦争だ」


 こうして森が一つ消し飛びました。

 (こいつら譲り合いの精神がない)


強い人の場合②


強いモブA「あのー。私とチームを組んでくれませんか?」

弱いモブA「はっ! お前みたいなひょろひょろと組めるか! ガキンチョとでも組んでろ」

強いモブA「よろしい、ならば戦争だ」


 こうして町の一画が半壊しました。

 (こいつら煽り耐性がない)

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