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爆虫の召喚士  作者: 天野 雪人
第四章 王都編
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第三十七話 脱獄準備

「あー」


 牢獄生活二日目。桜が突如声を上げた。


「どうした桜」

「宿屋に置いてきたせっしゃのぷりんはどうなるでござるか?」

「……ニャルカが食べるか、そのまま腐るか。十中八九ニャルカが食べるだろうな」

「ガーン」


 いつもは倒れてもすぐに復活する桜が、今は絶望で倒れ込んでる。


「はあー。此所は牢獄だぞ。何でそこまで気楽に過ごせるんだ」


 俺達の掛け合いを見て、ジュカルが腕を組みながら聞いてくる。


「そりゃー。絶望しながら過ごすより、楽しく過ごした方が良い」

「……俺はそこまでポジティブになれん」


 そうだな。俺も前までは絶望してたかもしれないが、エルや桜。ニャルカと冒険して、いろいろ変わった。


「はあ、それにしても刑務所のご飯は不味いね」

「本当でござるよ。それに、量も少ないでござる」

「そうだな」


 兎に角不味いのが、このご飯だ。多分この肉はゴブリンの肉だと思う。


「よし、脱獄しよう」

「そうだね」

「お前達はご飯が不味いだけで脱獄するのか」

「もちろん。それに、もう脱獄の準備は出来ている」

「! どう言う事だ」


 俺は、昨日の内に脱獄の準備は整えていた。


「まず、ここを脱獄するには、手錠。外のAランク魔物。見張っている小人をどうにかしないといけない」

「そうでござるな。でも、無理でござろう」


 外に出るには、手錠を付けた状態で、Aランクの魔物と小人を相手にする必要がある。ここまでやったら、Sランク冒険者も突破は難しいだろう。しかし、見ていたら分かるが、ここの者達は舐めている。看守達もそれに傲っていては、何時か脱獄される。今がその時だ。


「まず魔物だが、それはこいつで対処出来る」

「それは!」

「しっ! 静かに」

「ご、ごめん」


 エルが大声を上げそうになったのを、急いで口を塞いで止める。


「それってニャルカの粉だよね」


 ニャルカにこの前貰っておいた粉だ。


「おい、それってシュナの粉じゃないか?」


 ジュカルがそう、声を上げる。シュナの粉って確か図書館で見た世界一辛い粉だっけ?


「まあ、この粉をあの魔物の目と鼻にぶっかける」

「鬼畜でござるー」

「バベルくんは容赦ないねー」

「だが、どうやって持って来た。入る前に荷物検査があったはずだ」


 確かにそれで、俺もローブやナイフを取り上げられたし、桜も夜桜を没収されて、暫く沈んでたし。


「それが、小人と手錠をどうにかする方法に繋がる」

「どうやって繋がるのでござるか?」

「こいつだ」

「「「な!」」」


 俺が呼ぶと、石のベットの影から、一匹の爆虫が出現した。


「お前はユニークスキルが使えないはずだろ、何で召喚系で呼び出した様な物が居るんだ?」

「もちろん、もともと召喚していたのを、こっそりと付いてこさせたんだ。可成り神経つかったぜ。何時ばれるかヒヤヒヤしたが、意外と警備はザルだったな」

「そいつにシュナの粉を運ばせたのか。それで一体どうするんだ?」

「爆虫を使って、手錠と牢を壊す」


 今度の言葉で、三人とも言葉を失っている。


「ほ、本気なの?」

「もちろん。あ、手錠を壊すのは俺だけだ。召喚した主なら爆発の影響をあまり受けない」

「……せっしゃも壊して欲しいでござるよ。せっしゃなら爆発に耐えられるでござる。主殿一人だけでなく」

「……何言ってんだ。お前は元々巻き込むつもりだったぞ」

「そうでござるか。主殿は相変わらず優しいでござ……え?」


 桜がショックを受けているが、桜なら怪我をしない事は計算ずみ。まあ、桜が言い出さなければ俺だけ爆破するつもりだったが。


「ジュカルも行くぞ」

「お、俺もか!?」

「計画をここまで聞いたんだ。来てもらうぞ」

「はあー。分かったよ。どうせ俺もこのまま処刑される。最後に博打を打つのも良いな」


 ジュカルも覚悟を決めたようだ。


「決行は、今日の昼。職員達が昼休みに入る、気の抜けた時だ」

「え、夜じゃないのか?」

「もちろん。こんな所一秒も居たくないでござる」

「はあー。分かった。この大博打に乗ろう」

「では、決行は昼だ」

「「「おー」」」


 俺達は、気づかれることなく、脱獄の準備を始めるのだった。そして、他の三人も顔に不安の表情はない。脱獄は、無理だと疑った奴から失敗していく。


 ――さあ、脱獄を始めよう

桜「今日は奮発してぷりんを買ってきたでござる。でざーとに食べるから、ここに置いておくでござる」


 ~そしてラーメン屋へ~


ニャルカ「にゃ、これはプリンではにゃいか! ここに置いてあるという事は、食べて良いという事。我が食べるに相応しいにゃ」


こうして、桜のプリンは、とあるケットシーの胃袋に消えていった。

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