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爆虫の召喚士  作者: 天野 雪人
第三章 イレギュラー編
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第二十五話 VS大蜘蛛のイレギュラー

「ここがエルキ平原か」


 大蜘蛛討伐の依頼を受ける事を決めた日から二日後の朝。俺達“果てなき夢”は、指定された平原へとやって来た。もちろん俺はくろまめに乗っている。

 あたりを見渡すと、他の冒険者らしき人達が、二組ほど居た。


「君たちは。冒険者か?」


 平原を見ていると、一人の大鎧を着た冒険者が話しかけてくる。


「俺達はDランクの果てなき夢です」

「もしかして、Bランクの魔物を討伐した経験があるからって、特別に許可されたパーティか?」

「そうです」

「おお」


 冒険者の男は、感心した様な表情を浮かべ、自分のパーティに戻って行った。


「いい人そうだねー」

「そうだな」

「じゃあ、他の人達が来るまで待とうか」

「そうだな」


 それから、桜は夜桜の手入れ。エルは荷物を整理し、俺はくろまめの装備を点検することにした。




 それぞれ手入れをしていると、他の2パーティがやって来た。


「おまたせしました」

「少し遅かったか?」

「――よし、集まったな。では、それぞれ自己紹介をしよう」


 全員が集まると、最初に声をかけてきた男が取り仕切る。


「まず、俺はCランクパーティ“風の団”のリーダー、リュスカだ」


 最初の自己紹介は、取り仕切っている男だ。後ろに三人ほど控えているのはパーティーメンバーかな? リュスカって竜と聞こえるし、ドラゴン。いや、ドラさんと呼ぼう。


「俺はカルマ。……ソロだ」


 次は、俺達より先に来ていたもう一人。覆面をして、口数が少ないが、これが原因でソロなんじゃないかな? 取りあえず覆面さんでいいや。


「私はレイジュ。“聖杯の提示”のリーダーで神聖教の司祭でもあります。まだ修行の身でありますが、よろしくお願いします」


 神聖教か。神聖教会とは、ユニークスキルの力を引き出す神を崇める教会だ。世界一の宗教で、様々な国に根付いている。そのため、人間、異種族問わず、大体が信者だ。俺は信者ではないし、月光国ではそんな宗教はなく、普通に神社で儀式を受けるらしい。

 そんな宗教の司祭なら、多分結構な地位だと思う。後ろには、おなじ格好をした女の人が、五人いるから、珍しい六人パーティなのだろう。あだ名はレイさんでいいや。


「俺はジクス。“火炎の牙”のリーダーだ」


 特に特徴はないし、他のパーティの人も剣士、魔法使い、盗賊、僧侶といった定番だ。そうだな。……シンプルさんと呼ぼう。今までのあだ名はもちろん俺の心の中だけだ。


「最後俺達か。Dランクパーティ“果てなき夢”のリーダー? あれ、俺達のパーティのリーダーって誰だ?」


 俺達の自己紹介をしていると、ふとリーダーの事を思い出した。パーティを作った後も、誰がリーダーかちゃんと決めてない。


「もちろんせっしゃでござるよ!」

「おまえだけは却下だ!」


 俺はローブからハリセンを取り出して、桜の頭をたたく


「うーん、いつもボク達を引っ張っていくのはバベル君だし、バベル君でいいと思うよ」

「はあ。仕方ないから譲ってやるでござるよ」

「おまえは何様だ!」

「桜様でござる」

「うん、もうおまえは喋るな」

「ガーン」

「ゴホン、あらためて“果てなき夢”のリーダーバベルだ。よろしく」


 無難に自己紹介をすると、舌打ちが聞こえてきた。


「おい、なんでDランクのパーティが居るんだ」

「彼らはBランクの魔物を討伐した経験があるから呼ばれたんだ」


 シンプルさんの疑問にドラさんが説明する。事前に連絡が行くと聞いたけど、シンプルさんみたいにシンプルな馬鹿はいるんだな。


「ふーん。まあ、おまえ達に出番はないから、後ろで休んでいろよ」


 シンプルさんが馬鹿にしたように言うが、Bランクは甘くない。Cランクの一つ上と考えていたら、痛い目を見る。


「主殿、あの馬鹿を殴っても良いですか?」


 案の定ムカついたのか、桜が聞いてくる。確かにあの馬鹿にはBランクのすごさを教えておかないとな。


「よし! 許可する」

「ダメだよ!」


 殴る許可をすると、エルが止めに入った。


「ああいう馬鹿にはBランクのすごさを教えておかないと」

「うん、そうだけど。殴るのはやめておこう。小一時間教育するぐらいで……」

「ふむ、確かにそうだ」

「いや! やめろよ!」


 話がまとまりかけていると、ドラさんがツッコんでくる。


「ゴホン! では、大蜘蛛は北東の方角から来るという事になっている。戦闘準備をし、大蜘蛛の元に向かうぞ。俺達が討伐を失敗すると、ヘベーラが襲われ、多くの犠牲が出るだろう。死力を尽くして討伐を成功させる!」


 ドラさんの言葉が終わり、それぞれ戦闘準備を整えていく。

 さすがはCランクパーティ。戦闘の準備はすぐ終わり、いつでも出発できる様になった。


「良し! では行くぞ」


 ドラさんのパーティと、シンプル馬鹿さんのパーティが前衛。レイさん達“聖杯の提示”は全員魔法使いらしく、水の回復魔法が得意という事で、後衛。覆面さんが遊撃に、俺達は背後の警戒のという布陣で、大蜘蛛の居るらしい方向に、出発した。



 ◇



 平原を歩く事、(俺はくろまめに乗り)二時間ぐらい。俺達の500mほど先から、大蜘蛛が歩いてくる。普通の大蜘蛛は黒色だが、あの大蜘蛛は赤色だ。いや、赤黒いといった方が良いか。そして、ただの大蜘蛛ではないと思わせる事が一つ……。


「なんで歩くだけでクレーターが出来てるんだよ!」


 大蜘蛛が歩いた後にはクレーターが出来上がり、どれだけの力を持っているのか分かる。


「ッ……戦闘準備だ!」


 大蜘蛛の足跡を見て呆然としていたが、ドラさんが大声で戦闘準備と叫ぶ。


「くっ、あれはやばい。だが、やるしか無いな」

「そうですね」


 それぞれ剣を構えたり杖を構えたりしながら、大蜘蛛との戦闘が開始された。

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