表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
爆虫の召喚士  作者: 天野 雪人
第三章 イレギュラー編
21/158

第二十話 宴会終わって

「へべーらが、見えたでござるよ!」


 桜が、小高い丘の上から叫ぶ。俺達は、可成り濃い旅を経験して、やっと帰って来られた。


 あの後、夜まで飲み明かし。コボルトキングの解体などをして、帰路に着いた。

 あの蛙とも仲良くなり、お土産に下位竜レッサードラゴンの干し肉などを貰ったりした。


「冒険者ギルドに着いたら、コボルトキングの事を報告しないとな」

「そうだねー。ボクは何も出来なかったし、LVも上がらなかったよ」


 エルは一人だけLVアップが出来なかった事を気にしてるみたいだが、あまり気にしなくて良いと思う。


「確かにあれは死闘だったでござる。けど、蛙殿の事が印象に残りすぎて、それほどの事じゃないんじゃないかと思い始めているでござるよ」

「さすがにコボルトキングと、二つ名持ちを比べるのは止めてさしあげろ」


 二つ名持ちは相手が悪すぎる。確かにそれは一理あるけど。あの蛙(笑)を見た後だと、コボルトキングなんて問題じゃない。あれは死を具現化したような存在だし……。


「確かにカエルさんは強そうだけどさあ。宴会を経て考えてみると、本当に強いのか疑問に思う」


 エルがそう言うのもうなずける。あの宴会の後で、強く思えなどというのは無理がある。あの蛙(笑)は酒が回ると寒いネタを連発したり、突然泣き出したりしたからな。


「早くギルドに行くよ」

「おーでござる」



 ◇



「えー! コボルトキングが居た!」


 受付のお姉さんのその言葉に、ギルドがざわめく。


「それで、コボルトキングはどうしたのですか」

「討伐しました」

「Bランクの魔物を!」

「あれは死闘だったでござるな」

「しょ、証拠品を見せてください」


 受付のお姉さんに急かされて、討伐証明部位と、角を取り出す。


「少し調べて来ますー」


 受付のお姉さんは、他の人に受け付けを頼んで、置くへと引っ込んでいった。


「矢っ張り信じられないものかな」

「Dランクに上がりたての俺達じゃ信じられないのも無理はない」


 一応ユニークスキルと、いう物があるので、高ランクの魔物を狩ってくる低ランク冒険者が居ない訳ではない。しかしそれも全体の一握りだ。


「お待たせしました。確かに、コボルトキングの素材でした」


「まじかよ」

「あんなガキが!」

「運が良かっただけだろ」


 等というコメントがギルド中から聞こえる。嫉妬が5割。賞賛が4割。無関心で酒を飲むのが1割だ。


「おい! ガキ」

「なんでござるか」


 いろいろな話が飛び交うなか、一人の男が俺達に、話しかけてきた。


「運が良かっただけだろ。その素材は先輩冒険者の俺によこしな!」

「運が良かったのか?」

「実力でござるな」

「そうだよね」


 こいつは何を言ってるんだろう。何でこいつに素材を渡さないといけないのか理解できない。

 あの死闘を思い返してみても、いろいろな犠牲の上の勝利だ。桜はサブスキルを使ったし、俺も魔法が使えなくなった。エルも体を刺されたし、あれは偶然ではない。運が良いでかたづけられるのは腹が立つ。だけど、こいつみたいに自分の失敗を棚に上げて、他人の成功を妬む様な奴はいくらでも居る。反論しても無駄だと思うので、俺達は無視を決め込む事にした。


「それで、幾らで売れますか?」

「え!? えーと。素材は綺麗に解体されてますし「おい! 無視するなよガキが!」

「はー。なんですか?」


 エルが苛つきながら聞く。エルも結構怒っているようだ。


「それを寄越せと言っているんだ!」


 俺もその言葉を聞いて、こいつをボコボコにする敵リストに追加した。


「桜ー。やっちゃって良いぞ」

「了解でござる。せっしゃは怒ってるでござるよ。ただでは済まさないでござる」

「んだとガキが」

「すみません。ギルド内での争い事は禁止されております」


 桜があの冒険者Aに制裁を加えようとしたところで、お姉さんが止めに入る。


「なら、外ならいいでござるな。お前、付いてくるでござる」

「望むところだ!」


 そう言って、桜と冒険者Aはギルドを出て行く。その後から、賭けや観戦をするためか、他の冒険者も付いていった。


「それで、幾らになるんですか?」

「えーと。お仲間さんは良いんですか?」

「桜ちゃんがあんな人に負ける訳がない」

「だな」

「えーと。あの人はDランク冒険者歴十年のベテランですよ」


 Dランクに十年って。そこから上がれない様な奴が桜に勝てるわけがない。


「それで、幾らですか」

「は、はい。素材がちゃんと解体されていますし、傷もあまり付いていません。まだ詳しくは分かりませんが、最低金貨五枚はいけますね」

「金貨五枚か。矢っ張りBランクは違うな」

「そうですね。魔物はBランクから買い取りの値が一気に上がりますから」

「なるほど」


 魔物も人間もBランクからが凄いな。


「そうだ。Dランクの依頼にBランクの魔物が出てきた事については何か?」

「えーと」


 エルの言葉に資料をあさり始めるお姉さん。


「あ、ありました。依頼のランクを大幅に超える魔物が現れた場合。違約金はなしと、載っていますね」

「ん? 倒した場合は?」

「載っていません」


 じゃあ、どうしよう。あわよくばここで金をせしめようと、思ったのに。予定がずれた。


「まあ、良いか」

「そうだね」

「そ、そうですか。では依頼報酬の銀貨五枚です」


 お姉さんからエルが銀貨を受け取り、魔法のポーチに入れる。


「じゃあ、コボルトキングを売って、小豚亭に一旦帰るか」

「そうだね」




 ――小豚亭 宿の一室。


「全部で金貨八枚と銀貨五枚か」

「儲かったね」


 小豚亭の部屋の中。俺達は、お金の勘定をしていた。


「せっしゃもあの冒険者から、銀貨十枚スって来たでござるよ」

「じゃあ、その金は桜が持っていて良いぞ」

「ありがとうでござる」


 少し聴き方を変えれば、怪しい事に早変わりするような話をする俺達三人。


「じゃあ、せっしゃはご飯を食べに行ってくるでござる」

「ああ。安くしろよ」

「分かっているであります。この前見つけた大衆食堂、“狼の巣”は可成り安かったでござるからそこにいくでござる」

「そうかい。じゃあ、ボクも調べ物をしに行ってくる」


 そう言って、桜とエルは、部屋を出て行った。


「……俺は新しく追加された爆虫でも見るか」


 俺には特にやることがないので、爆虫の確認ぐらいしかする事がない。


「『爆虫の図鑑』取り合えず、サモン『爆虫(閃光型)』『爆虫(寄生型)』『爆虫(追跡型)』」


 そうすると、本が光り三匹の爆虫が召喚される。部屋の中なので、爆発させる事は出来ないが、確認ぐらいなら出来る。

 閃光型は、普通の爆虫と同じぐらいで、少し黄色だ。消費魔力15。

 寄生型は、大きさ5㎜程度で、多分寄生させて、体内で爆発するんだとおもう。消費魔力30と少し高め。

 追跡型は、少し細長く。羽音も聞こえない。ターゲットを追跡させて、爆発すると思う。消費魔力10と、コスパは良いかな?


 まあ、分かるのはこのくらいだ。後一匹召喚できる爆虫が居るが、それはここで召喚出来そうにない。


「よし、ローブの中に入っとけ」


 そう、爆虫に命令し、ベットに腰掛ける。


 ――なあ。


 俺は、俺の中の者に語りかけた。


 ――おーい。


 ――……なんだ。


 ――すまん。で、俺の魔法はどうなったんだ。


 あれは覚悟したとは言え、魔法が使えないのはいたい。魔法を練ることは出来るが、放出が出来ないといった状況だ。


 ――一生私の許可なく魔法は使えない。


 ――やっぱりそうなのか?


 ――ああ。そうだ。魔法の使用権は私が持っているからな。


 魔法は好きだったんだけどな-。魔法が使えなくなったと知った桜は土下座をしまくっていたが、仲間の為と思えば何となく諦めがつくんだよな。


 ――恨んでいるか。


 ――いや、感謝してるよ。あの時力を貸してくれなかったら、桜は死んでた。


 ――ふん!


 矢っ張りこいつは強欲ツンデレじゃないか?


 ――今何か失礼な事考えなかったか?


 ――いや、全然。それよりさ。お前は何なんだ。


 ――……忘れたのか? 私はお前に食われたのだが。


 ――食われた!?


 俺は断じてそんな者は食っていないはずだ。


 ――ほら、お前が五歳ぐらいかな? あのエルフィルって奴ともう一人のガキに……。


 ――……おまえって、もしかしてあの不思議な果実か?


 ――そうだぞ。


 ――えー! あの変な果実がお前だと!


 ――変な果実って、お前失礼だぞ。


 ――すまんビックリしてな。じゃあ、エルとガイにも居るのか?


 俺に居るなら、あの時食べたエルとガイにも居るはず。


 ――いや、他の奴は全部消化された。


 ――消化?


 ――ああ。相性の問題かな。


 ――俺とお前って相性良いのか?


 ――俺が出てるから、そうなんだろ。


 ――なんか条件があるのか?


 ――確か、強欲な事が条件だったはず。


 ――俺はそこまで強欲じゃないぞ。


 ――何を言っているのだお前は。いろいろ観察してたが、強欲の最低基準は満たしてるぞ。


 ――まじかよ。


 そうか、俺は強欲なのか? 自分じゃよく分からん少しお金が好きなだけなんだけどな。


 ――まあ、サンキューな。


 ――うるさい。つ、次からはもっと高く付くぞ。

エルの怒り度LV(本編とはあまり関係ないかな?)


無表情 LV100。貴方は可成り恨まれています。速やかに視界から消える事をオススメする。そうしないと死ぬ。

激怒 LV80。怒っています。速やかに全財産を差し出し、土下座をする事をオススメする。そうしなければ安全な睡眠はないものと思え。

イライラ LV50。結構怒っています。あと一押しで、激怒になります。速やかに立ち去ってください。

不機嫌 LV30。少し不機嫌ですねー。まあ、謝れば許してくれるでしょう。

プクー LV10。 これは信頼の証。ちょっとしたじゃれ合いです。



帰り際。


バベル「……桜だな」銀貨五枚賭ける。

エル「ちゃっかり賭けるんだね」スッと銀貨五枚賭ける。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ